インタビュー・座談会

財務省「生産性向上、重点化・効率化なしにサービスは維持できない」

財務省「生産性向上、重点化・効率化なしにサービスは維持できない」

 財務省の財政制度等審議会は5月、建議「我が国の財政運営の進むべき方向」をとりまとめ、政府へ建議の趣旨に沿う財政運営を要請した。介護分野では、「限られた介護人材を有効に活用し、生産性を向上させることは喫緊の課題」として、効率的な給付の重要性を強調している。また、居宅介護支援費の利用者負担導入などのこれまでの主張に加え、サ高住などの入居者の区分支給限度基準額を特定施設の報酬まで引き下げることなども新たに求めている。財務省主計局の端本秀夫主計官(厚生労働係、社会保障総括担当)に話を聞いた。

財政論の前に人材不足をどう乗り切るか

 ――今後、目指すべき介護分野の改革について。

 財政面の議論の前に、生産年齢人口が急激に減少する2040年に向けて、いかに人材不足を克服するかが、介護分野の最も重要な課題だと認識している。厚生労働省はもちろん、この点を否定する人はいないと思う。労働集約型の介護では、他産業以上に働く人手がいなければ、サービス提供そのものが成り立たない。要介護者は今後さらに増加が見込まれる中、そのニーズに応えられるかどうかが鍵となる。

 そうした視点に立った上で財政審でも議論頂いた。ICT化や経営の協働化・大規模化などを通じて、介護現場の生産性を高め、効率的なサービス提供に繋げていく必要性について、今年5月にとりまとめた建議にも明記された。そうした形で取組が進まなければ、事態はさらに深刻になると危惧している。

 さらに、限られた人材で増大するニーズに対応するには重点化・効率化も必要だろう。例えば、要介護1・2の訪問介護と通所介護について、要支援者同様に総合事業への移行を目指す上でまず生活援助を移行させる。生活援助は、介護保険の一律の基準ではなく、地域のボランティアや民間企業などの多様な人材や資源の活用を図る。逆にいえば、そうした工夫がないと、この先、地域によっては、必要なサービスを提供し続けることができなくなる可能性がある。サービスや制度をどう維持していくかという課題が財政論の前にある。

サ高住入居者などの限度額は引き下げを

 ――今回の財政審では、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の入居者の区分支給限度基準額を引き下げる案が初めて示された。

 住宅型の有老ホームや特定施設の指定を受けていないサ高住は、介護サービスが外付けなので、入居者には通常の区分支給限度基準額が適用されている。これを特定施設入居者生活介護の月額換算の基本報酬を限度額とすべきというのが当省の主張。要介護5の場合で、36.2万円の区分支給限度基準額が24.4万円に見直されるイメージだ。

 これらの高齢者向け住まいの一部では、囲い込みなどの問題が指摘されてきた。外付けの出来高払いの方が多く報酬を得られる構造自体が、囲い込みや過剰なサービス提供の原因になっている可能性がある。これまでは、同一建物減算の拡充などで対応を図ってきたが、より根本的な対応をしていくべきという指摘だ。

 負担能力に応じた適切な利用者負担を求めることも介護保険で過剰なサービス利用を防ぐために有効である。一般論だが、利用者負担の水準が低いほど、必要性の低いサービスでも使ってしまうモラルハザードが生じやすくなる。負担能力に応じた適切な利用者負担を求める仕組みとなれば、利用者自身で必要なサービス量を見極めて利用する形によりなっていく。

 2027年度までに2割負担者の対象拡大は結論を得ることとされている。所得だけでなく、金融資産の保有状況の反映やきめ細かい負担割合なども含めて検討したうえで早急に実現すべきだ。

ケアマネジメント10割給付「違和感」

 ――居宅介護支援費の利用者負担導入について。

 居宅介護支援費はケアマネジメントの利用機会を確保するため、介護保険創設以来、利用者負担を取らない10割給付の取扱いとされている。しかし、創設から20年以上が経ち、ケアマネジャーによるケアマネジメントはすでに定着している。

 ケアマネジメントというサービスを受けるのに、利用者負担がない今の仕組みに違和感を覚える。もし利用者負担を導入することで、公正中立が担保できなくなるとか「御用聞きプラン」が増えるということであれば、そうした懸念への対応を別途考えるべきである。むしろ質を評価する手法の確立などとあわせ、利用者負担を導入することで、質の高いケアマネジメントが選ばれる仕組みへ見直すべきだ。

(シルバー産業新聞2024年7月10日号)

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