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「第2波」の備え 利用者もテレワーク活用

「第2波」の備え 利用者もテレワーク活用

 新型コロナ感染が拡大し、一時期「特定警戒都道府県」となった千葉県でリハビリ特化型デイサービスを運営する「ONE-TO-ONE」(浦安市、栗山圭吾代表)は、通所利用の一部を自宅での「訪問対応」「電話対応」に切り替えることで、フロアの過密を緩和させた。全国的な懸案である「訪問対応」「電話対応」に切り替わる利用者の料金負担等への同意についても、デジタルデバイス活用や自宅でできる個人運動プログラム作成など付加価値を持たせることで、4月時点で全利用者361人の85%をいずれかのサービス(「通所」68%、「訪問対応」6%、「電話対応」11%)に繋げることに成功。また、緊急事態宣言が解除された6月には88%(「通所」76%、「訪問対応」3%、「電話対応」9%)までに回復させた。コロナ禍で、リハビリ特化型デイは利用控えが多い傾向があるとされるが、利用者のADL、QOL維持向上と経営の安定化を両立させた秘訣について聞いた。

利用者「訪問対応」「電話対応」の理解のために

 デイサービスは「身なりを整え外出し、みんなで体を動かし、食事し、歓談する」という一連のサイクルが、本人のADL維持向上と、家族のレスパイトケア(家族介護の小休止)を実現することから高い支持を得てきたが、新型コロナ感染予防の観点では、かえってリスクが高くなるとされる。

 厚生労働省は、懸念される新型コロナ感染「第2波」に備え、デイサービス事業所の密集を避ける目的で、通所利用に代えて「健康状態、直近の食事の内容や時間、直近の入浴の有無や時間、当日の外出の有無と外出先、希望するサービスの提供内容や頻度等」を電話などにより確認した場合や、職員などが直接訪問した場合に、利用者への説明・同意の上で一定の報酬算定を認めている。

 ただ、全国的に利用者からは「通所していないのに電話だけで利用料が請求される」「家に上がってもらいたくない」と、理解が得られにくいのも現実。

「リハビリ特化型デイ」利用自粛から休止を食い止めるために

 そうした中、栗山代表は「利用者がコロナ禍で何を思い、どう行動されるのかについて分析し、デイサービスの経営を立て直した」と話す。運営する3つのデイサービスはそれぞれに特色があるが、すべてリハビリ特化型。グループの訪問看護ステーションとともに、ICFの考え方に基づいて地域社会へ卒業させていく「卒業型リハビリ介護支援プログラム」を実践している。栗山代表は「利用者のADL維持、事業所の経営の両面で通所自粛をサービス利用の休止につなげないことが必要。訪問対応や電話対応が、通所に代わるサービスとして、満足していただけるものでなければならない」と語る。

 同デイの利用者は、運動プログラムを通じて介護保険からの卒業を目指す人が多い。一般的なデイサービスとは違い、通所の代わりとして「訪問して身の回りのお世話をすること」や「電話で安否や生活状況の確認をすること」は利用者ニーズに合致しにくく、あくまで通所で実践していた運動プログラムを家でもできることの支援の方が支持を受けやすいと考えた。

運動プログラムもテレワーク

 そこで、個別運動プログラムを作成できるクラウドサービス「リハサク」を導入し、個人専用の運動プログラムを作成。事業所職員がタブレット端末を使い、利用者の状態像などを入力し、その人に推奨される運動の解説動画を選択していく。

 運動プログラムの提供方法についても▽利用者宅のWi-Fiが整っており、タブレット端末などを使えるという条件であれば、そのまま運動動画を送信して個別プログラムとして実施▽Wi-Fiがない場合や、タブレット端末が苦手な人の場合は、プログラム内容をプリントアウトして自宅に持参する――といった方法で提供される。
 これらの取り組みのフォローについて▽自宅に訪問し、取り組み状況の確認や指導とともに身体状況、日中の生活状況などを確認した場合は「訪問対応」▽テレビ会議システムや電話などで同様の確認をした場合は「電話対応」――とした。コロナ禍で、テレワークに取り組む企業が注目されたが、同時期に利用者の一部もテレワークしていたことになる。

 また、通所ばかり、自宅ばかりといった偏りが発生しないように、ローテーションで各人に通所・自宅を振り分けた。こうした創意工夫により、ある日の利用傾向は、定員18人のうち▽午前に「通所」14人・「訪問」2人・「電話」2人▽午後に「通所」13人・「訪問」3人・「電話」1人――と分散利用が実現した。

利用者の一部が自宅参加しているため、ゆったりとしたフロア

利用者の意向を踏まえたサービスに

 「臨時的な対応であっても、利用者が満足でき、かつエビデンスに基づいた運動メニューを提供することが大切。通所利用に代わる新しい介護様式に対して、利用者が抱く不安を払拭するサービス提供が出来ることが求められる」と話す。

 実際、コロナ禍の5月に、通所自粛から訪問・電話対応に引き継げなかった利用者は7%と少ない。一般に、運動プログラム主体のデイサービスは利用休止する割合が高いことからも、利用者の気持ちを引き付ける魅力的なサービス提供ができたことがわかる。

(シルバー産業新聞2020年7月10日号)

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