ケアマネジャーはじめ介護・医療に携わる皆さまへ様々な最新
情報を深く分かりやすくお伝えする「シルバー産業新聞」です。

Care-new.jp

大中小 テキストサイズ変更RSS

シルバー産業新聞

社会・時事・他連載「高齢者における栄養ケアの重要性」⑤2013年3月28日11時57分

咀嚼・嚥下困難者用食の調理

 噛む力や飲み込む力に応じた調理にはどのような工夫が必要となるのでしょうか。前回、飲み込みやすい食事形態の5カ条を示しましたが、食材の特性(表)を知ることで、食材に適した調理で、安全に食べやすく、飲み込みやすい料理を作ることができます。

 お茶など速い速度で咽頭へ落ちていく飲み物は、寒天やゼラチンでゼリー状にしたのち一口大にクラッシュします。葉菜類も同様に柔らかく茹で、硬くてかみ砕きにくいゴボウやレンコンは、舌でつぶせる位の硬さで大きさは一口大にします。

 硬くてかみ砕きにくく、口腔内でバラバラになり、まとまりにくい肉や魚は、すりおろして卵や米粉、マヨネーズなどをつなぎに使って、咽頭に送り込みやすくしたり、すべりをよくしたりします。

 料理に片栗粉やとろみ調整食品を利用したくずあんをかけると飲み込みやすくなります。パンやカステラなど水分が少なくパサパサした食材は、だ液が混ざると粘性が高くなりベッタリとした食塊になるので水分を多く含ませるなど調理に工夫をすることで噛む力や飲み込む力を補うことができます。

 酸味の強い料理や餅など粘りの強い食材は、口腔内や喉の粘膜に貼り付きやすく不向きです。最近はいろいろな酵素が開発され、形はそのままでも柔らかくて食べやすい料理が市販されています。

 また、料理の温度に関係なく、短時間で安定したとろみが得られ、料理の味を左右しない「とろみ調整食品」が各メーカーで開発されています。その主原料は、デンプン系、グァーガム系、キサンタンガム系で、それぞれに特徴があり、汁物や牛乳など液体に適したもの、魚や肉などたんぱく質系に適したものなどがあり、少々コストは高くなりますが、利用することで料理のレパートリーも増えていきます。

 このように調理の工夫により、栄養量の確保だけでなく安全でおいしい料理を楽しく食べることができ、QOL(生活の質)の向上も期待できます。

 噛む力や飲み込む力に応じた料理の指標には、「えん下困難者用食品たる表示の許可基準」と「ユニバーサルデザインフード」があります。

 「えん下困難者用食品たる表示の許可基準」は、健康増進法に基づく特別用途食品(通常の食品では対応が困難な特別の用途を表示する機能を持つ食品)の中に医学的、栄養学的見地から見て嚥下困難者が摂取するのに適した食品の基準です。

 「ユニバーサルデザインフード」は、食品メーカーを中心とした「日本介護食品協議会」の噛む力や飲み込む力の目安の自主規格に適合した料理済み食品で、とろみの目安も示されています(図1、2)。

盛岡大学栄養科学部 教授 笹田陽子




  • 食事の特性.jpg
  • (表) 食材の特性



  • 噛む力や飲み込む力.jpg
  • (図1) 噛む力や飲み込む力の目安



  • とろみの目安の表示例.jpg
  • (図2) とろみの目安の表示例



「社会・時事・他」カテゴリーの最新記事

シルバー産業新聞購読のご案内

発展する「シニアマーケット」の動向など、確かな業界情報はシルバー産業新聞から。

1年間(12回)
7,700円(送料・税込)
2年間(24回)
14,214円(送料・税込)
3年間(36回)
19,545円(送料・税込)

購読、書籍のお申込みはコチラ

  • 福祉住環境コーディネーター検定試験
  • SSL グローバルサインのサイトシール