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社会・時事・他ケーススタディ①歯科医師と連携 誤嚥入院4分の1に2013年2月 5日09時12分

ハピネスあだち 日本歯科大学附属病院

 東京都足立区の特別養護老人ホーム「ハピネスあだち」(特養150床、ショートステイ20床)では日本歯科大学附属病院口腔リハビリテーションセンターの協力を得て、入居者の誤嚥防止や摂食、嚥下機能維持を目的とした「摂食機能評価」を07年より実施している。歯科医師から支援方法の指導、助言を受け、適切な個別ケアを提供することで、入居者の誤嚥による入院日数を4分の1にまで減らすことに成功した。

内視鏡で嚥下状態の確認、適した食事形態を検

 摂食機能評価は月に一度、同センターの歯科医師がハピネスあだちを訪問して実施される。検査対象者は▽ムセがある▽食事形態の変更を希望している▽食事介助が困難――など施設側がピックアップした入居者や新規の入居者。歯科医師も居室をまわり食事の様子をみて対象者を探す。

 ミーティングで受診者の状況や経過を確認したのち、実際に入居者に食事をしてもらい検査が始まる。いつもと異なる環境で食が進まない場合に備えて、脇に設置したモニターに普段の食事の様子を撮影した映像を流す。一口の摂取量やムセの有無などを確認する外観評価のほか、頚部の聴診や内視鏡検査で嚥下の状況を観察して、入居者ごとに、より適した食事形態やとろみの濃度が検討される。

 また歯科医師の須田牧夫センター長は「誤嚥していても咳き込んだり、ムセなどの反射がみられない不顕性誤嚥は内視鏡やエックス線を使った検査でないと見極めが難しい」と指摘し、普段の生活から職員がみつけることは困難だと説明する。実際に同施設で不顕性誤嚥を起こしていた入居者も、この内視鏡検査で発見することができたという。

5年で入院日数を半分以下に

 検査終了後は歯科医師、看護師、介護職員、栄養士などのメンバーでカンファレンスを実施し▽提供する食事形態▽一口の摂取量や口に運ぶペースなど具体的な介助方法▽食事時の姿勢▽口腔リハビリ内容――など受診者の食事に関する今後の方針をまとめ、施設の各部署で共有。「医療的根拠に基づいた個別ケアを職員が標準的に提供できる」と同施設の看護師、小林悦子医療サービス部門マネジャーは説明する。

 この連携の成果は実際の数字に表れている。取り組みを行う直前の2006年、同施設入居者の年間入院日数は2500日ほど。そのなかで誤嚥による入院は840日だった。昨年度では全体で1069日と半分以下になり、誤嚥入院は215日と5年で4分の1にまで引き下げた。

連携によって職員の能力も向上

 また須田センター長は「施設職員も成長している」と評価する。多くのケースを経験することで、症状から誤嚥などのリスクを疑って検査に繋げたり、適切な対応がとれるようになったのだという。小林マネジャーも「利用者がしっかりと飲みこんだかを確認してから次の一口を食べさせるようになった」と例を挙げ、ケアの質が向上したと連携による成果を振り返る。

家族も立ちあい認識を共有

 ハピネスあだちでは摂食機能評価の立ちあいを入居者家族に呼びかけている。小川利久施設長は「目に見える老化や障がいと異なり、摂食や嚥下機能の低下を認識することは難しい。内視鏡の映像や歯科医師から直接説明をうけることで家族にも状態を正しく理解してもらえる」とねらいを説明。

 同施設では現在、意欲的に看取り援助に取り組んでいる。小川施設長は「看取りを行ううえで家族との信頼関係は重要。家族と入居者の状態の認識を共有することで、信頼関係を深め、施設での看取りに同意、協力を得ることができる」と強調する。

  • ハピネスあだち小川利久施設長.JPG
  • ハピネスあだち
    小川利久施設長

  • 日本歯科大学附属病院口腔リハビリテーションセンター 須田牧夫センター長.JPG
  • 日本歯科大学附属病院口腔
    リハビリテーションセンター
    須田牧夫センター長

  • 内視鏡検査。モニターで嚥下の様子を確認.JPG












  • 内視鏡検査 モニターで嚥下の様子を確認

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