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社会・時事・他連載「高齢者における栄養ケアの重要性」②2013年1月16日21時16分

 前回では、高齢者に適切な栄養状態を確保することができれば、健康余命の延伸が期待できるとお話ししました。今回は、適切な栄養摂取について「日本人の食事摂取基準」2010年版(厚生労働省)を基に解説します。

 「日本人の食事摂取基準」は国民の健康の維持・増進、生活習慣病の予防を目的に、エネルギー及び栄養素の摂取量の基準を示したもので5年ごとに改訂され、現在は2010年版が使用されております。

 我々は、生命の維持、運動や生活活動等の身体活動に、ある一定のエネルギー摂取が必要で、それを下回ると体重の減少、やせ、たんぱく質・エネルギー栄養失調症をもたらし、上回ると体重の増加、肥満を招くことになります。体重に変化のない状態がもっとも望ましいエネルギー摂取状態であり、必要なエネルギー摂取(推定エネルギー必要量)は、年齢、性別、身体活動及び体重によって決定します。摂取エネルギーは体重をモニタリングに過不足を確認します。高齢期の適正な体重はBMI20以上26未満で、標準値のBMI22は、日本人における統計的に疾患が最も発生しにくく、長生きできる数値として日本肥満学会で示しております(図1)。

 私たちは、自然界から摂取したいろいろな物質を、消化・吸収によって体内に取り込み、分解や合成によって、身体活動に必要な人体特有な成分に変換させています。この営みを「栄養」といいます。炭水化物・脂質・たんぱく質が3大栄養素、ビタミン・ミネラルを加えたものが5大栄養素です。炭水化物とたんぱく質は1g当たり4㌔cal、脂質が1g当たり9㌔calのエネルギーを発生させるパワーを持っています。ただし、たんぱく質は、平常時にはエネルギー源より、細胞、ホルモン、酵素、遺伝子、免疫抗体などの構成成分として優先的に利用されます。脂質の目標量は、摂取エネルギーの20%以上25%未満で、過剰では、糖尿病や脂質異常症、動脈硬化が、不足すると血管や細胞膜が弱くなり脳出血の可能性が高まります。

 高齢期の推定エネルギー必要量は成人期と比較し低いですが、たんぱく質の推奨量は18歳以上の年齢では男女ともに同じ値となっています(図2)。高齢期は生活活動、消化機能、味覚の低下や嚥下機能の障害などから食事摂取量が減少、特に、主食や主菜のとり方が減少するということは、たんぱく質やエネルギーの不足につながり、低栄養状態に陥る危険性が大きくなります。

 低栄養状態に陥ると、さらに生活活動が低下し、体重減少や骨格筋の筋肉量や筋力の低下、体脂肪の低下、感染を起こしやすくなります。そして血液中のたんぱくが低下する低アルブミン血症などが認められます。このように高齢者ではたんぱく質・エネルギー低栄養状態が大きな問題となっており、PEM(ProteinEnergyMalnutrition)ともいわれています。

 エネルギー摂取が少なくなる高齢期は、エネルギーの減少とともにたんぱく質も減少し、たんぱく質不足の状態に陥りやすくなります。たんぱく質の不足は、筋たんぱく質や内臓たんぱく質を低下させ身体機能・生活機能・免疫能の維持が困難となり要介護状態を招くこととなります。

 食事のバランスを整え、腹八分の食事を心がけ、ゆっくりとよく噛んで食べること、そして、何よりも生きる意欲をもって楽しく食べることなどの規則正しい食生活が脳の活性化、生活のリズム、生体機能の向上を図り、食欲の増進、生きる意欲、コミュニケーションの回復、さらには社会参加への意欲へとつながっていくことが大いに期待されます。

盛岡大学栄養科学部 笹田陽子教授

  • 図1 BMI値.JPG












  • 図1 BMI値
  • 図2 年代推定エネルギー必要量とたんぱく質推奨量(男性).JPG












  • 図2 年代推定エネルギー必要量とたんぱく質推奨量(男性)

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