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社会・時事・他職員の意識に左右される感染症リスク2012年11月19日17時16分

 8月に北海道の高齢者施設などで発生した、白菜の浅漬けが原因とされるOー157による食中毒。野菜が感染症の原因になることに驚いた介護関係者は少なくないだろう。しかし感染症は「まさか!」と思われることが原因で起こることが少なくない、と専門家は注意を喚起する。目に見えない細菌やウイルスから高齢者をどう守れば良いのだろうか。堀田国元機能水研究振興財団常務理事に伺った。

対策の基本を忠実に実行しよう

 感染症予防は5Sを守ることが大原則です。5Sとは「整理」「整頓」「清掃」「清潔」および「躾(しつけ)」という5つの言葉の頭文字です。そのうちどれかひとつでも不十分な状態だと、細菌やウイルスを「持ち込まない」「増やさない」「殺す」といった食中毒感染症対策は不完全なものになります。

 日本の食品産業では食品の原材料生産から加工、流通、販売、消費に至るすべての過程で、工程ごとに危害分析を行い、危害を防止する重要管理点を定めたHACCP(ハサップ)というルールを導入することで、レベルの高い感染症対策を実現しています。このような高度な対策の実効性を確保する上で5Sは不可欠の基本ルールなのです。

 この中で忘れがちなのが「躾」。残りの4Sがきちんと守られていても、誰かひとりでも、または一つの事業者が守らないと感染症のリスクは高まります。「躾」は感染症に対する学習の必要性や、漫然とした衛生対策に対する警鐘とも言え、新人教育や感染症マニュアルの定期的な見直しなどが介護現場では必ず求められます。

有機農法の落とし穴

 8月に北海道で発生した腸管出血性大腸菌O―157による感染症事件は、外部の食品業者が納入した浅漬けが原因とされています。

 96年に堺市で経験したO―157事件はカイワレ大根が汚染したことが原因であったように、野菜でも感染源になりうるのは専門家の間では常識です。

 食に対する自然回帰から有機農法や無農薬野菜を好む人が増えています。有機農法の場合、仮に肥料に牛糞が使用されると、そこにO―157が潜んでいるかもしれません。そのような牛糞が土壌に紛れ、何らかの原因で野菜に付着し、その野菜の洗浄消毒が不十分なまま食品として供されると人に感染し発症する可能性が考えられます。

 さらに問題なのがO―157の特徴。通常の細菌感染は10万個ほどの細菌が体内に侵入することで発症します。しかしO―157はわずか50個でも発症することが知られています。わずか50個程度の汚染では、食品の色、味、臭いなどの変化は五感では全く感じられません。

 しかもO―157は普通の大腸菌に比べて耐熱性や毒性も高い。生産から食事までの過程において、何らかの原因でわずかなO―157が付着し、感染症が起こり得るのです。

 O―157は75℃で1分間加熱すると死滅します。だからといっていつも煮炊きした野菜ばかりでは食事が味気なくなるでしょう。生野菜を食べたいという欲求に年齢差はありません。ですから、確実な洗浄消毒が必要なのです。

強い殺菌力と高い安全性が特長の酸性電解水

 生野菜による感染症のリスクを抑える最大のポイントの一つが洗浄です。土などの汚れを水道水で完全に落とし、その上で次亜塩素酸ナトリウムを混ぜた水に、完全に野菜を浸して洗えばまず感染症は起こりません。ただ次亜塩素酸ナトリウムに浸すと鮮度が落ち、消毒臭が発生します。消毒臭を除くには、大量の水ですすがなければならず、その手間と水道代というコストが発生します。その弱点をカバーできるものとして食品業界などに導入されているのが次亜塩素酸水(酸性電解水)です。  酸性電解水は専用の装置で水道水に希塩酸または食塩を混ぜ電気分解することによってつくられます。食品に使用しても安全なことを国が認め、食材の洗浄殺菌料として食品添加物に指定されており、ほぼすべての病原性細菌やウイルスにアルコールや次亜塩素酸ナトリウムよりも良く効きます。

 酸性電解水の特長は①ほぼ全ての微生物を殺菌する②安全性が極めて高いので水道水と同様に使える③自然環境を汚染することがほとんどない④耐性菌(最初は効いていたのに効かなくなった菌)が生じない  などです。

 手を荒らすこともないので衛生的手洗い、清掃など使用できるシーンはいくらでもあります。これから冬場にかけてはノロウイルスによる感染が心配されますが、アルコールと違いノロウイルスも容易に死滅させますので、年間を通じて使用できます。

 弱点もあります。まず装置を導入するときの初期コストが高いこと。ただしランニングコストはほぼ水道代だけで済みます②有効成分が時間とともに減少するため、汲み置き放置してはいけません。確実に殺菌するには有効塩素濃度が規定範囲にあることを確かめて(試験紙で簡単に確かめられます)酸性電解水を使用する必要があります。

 また有機物の汚れが多いと効きにくいので、嘔吐物や下痢便などの処理は次亜塩素酸ナトリウムで行うべきでしょう(図)。

 酸性電解水は感染症対策の強力なツールです。しかしあくまでもツールであり、ましてや万全を保証するものでもありません。感染症対策の根本はやはり5Sをきちんと励行することが肝心であり、職員や作業従事者一人ひとりの心がけが高齢者を感染症から守ることになります。

機能水研究振興財団常務理事 堀田国元

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  • 堀田国元氏
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