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社会・時事・他連載「高齢者における栄養ケアの重要性」①2012年11月16日19時22分

 健康な生活の基本には、食事と栄養がある。疾患や加齢によって栄養状態が悪くなると、せっかくの治療やケアも効果が上がらない。高齢期や要介護状態になった時に栄養を確保し日々の健康を維持するためには何が必要か。特にケアマネジャーや介護職の視点から、盛岡大学栄養学部栄養学科教授の笹田陽子先生に実践的なポイントを解説いただく。

 わが国の65歳以上の高齢者推計人口は3074万人となり、はじめて3000万人を超えた(2012年9月)。12年6月、厚生労働省は、10年の日本人の「健康寿命」を発表した。男性は70・42歳、女性73・62歳で、同年の平均寿命との差は男性9・13歳、女性13・32歳で男性は9年、女性に至っては13年以上も介護を受けたり病気で寝たきりになったりすることが推察できる。

 介護が必要となった主な原因は、脳血管疾患(脳卒中)が第1位で、次いで認知症である(図1)。また、65歳以上高齢者の通院者率は、男女共に第1位が高血圧症で、脂質異常症の出現も高い。脳血管疾患は、脳血管の動脈硬化がその発症の危険因子であり、動脈硬化の原因である生活習慣病を改善することが予防につながる。すなわち、肥満の解消、運動不足の解消、高血圧症・脂質異常症・糖尿病の予防・治療、喫煙・飲酒などの見直しなどである。

 また、認知症は、脳血管性認知症とアルツハイマー病で8割を占めており、脳血管性認知症の予防、アルツハイマー病の予防に、魚や野菜・果物の摂取による効果が報告されている。ぼけ予防協会では、ぼけ予防10か条を提案しているが、その中に、「塩分と動物性脂肪を控えたバランスのよい食事を」、「生活習慣病の予防・早期発見・治療を」が示されている。

 この様に成人期からの生活習慣病予防、中でも適切な栄養摂取が健康寿命の更なる延伸には極めて重要であることがわかる。しかし、健康な高齢者の栄養素等摂取量と食事摂取基準を比較するとエネルギーやカルシウム、ビタミンAなどの栄養素が低値を示していることがわかる(表1)。

 健康日本21(第2次)では、今後10年先を見据えた高齢者の健康づくりの目標として、健康寿命の更なる延伸、生活の質の向上、健康格差の縮小、さらには社会参加や社会貢献などを上げている。

 高齢者の「やせ・低栄養」は、要介護及び総死亡に対する独立した重要なリスク要因となっている。したがって、高齢者の低栄養状態を予防あるいは改善し、適切な栄養状態を確保することができれば、健康余命の延伸が期待できる。そこで、健康日本21(第2次)では、高齢者の健康づくりの指標として「低栄養傾向の高齢者の割合の増加の抑制」が設定され、「低栄養傾向」の基準を、要介護や総死亡リスクが統計学的に有意に高くなる「BMI20以下」に設定した。10年には、「BMI20以下」が17・4%出現しているが、今後、後期高齢者の占める割合が増加することから平成34年度の目標を22%と設定している。(※BMI=体重㎏÷身長m÷身長m)。

  • 1208笹田先生 (2).JPG













  •   盛岡大学栄養科学部 笹田陽子教授
  • 図1 介護が必要となった主な原因.JPG










  • 図1 介護が必要となった主な原因
  • 表1 .JPG










  •         表1

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