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社会・時事・他これからの地域福祉:持てる力の結集で社会コスト低減を2012年10月19日17時33分

 県立岩手大学准教授、都築光一さん(57歳)。宮城県涌谷町の職員として、国保病院を核に行政の健康福祉部門や介護サービスを一体化させた涌谷町町民医療福祉センターの立ち上げに最初から携わった。地域包括ケアの嚆矢となった広島県公立みつぎ総合病院とは姉妹縁組を結んた。その15年に及ぶ仕事を通じて、今後も地域福祉に関わっていたいと学問の世界に身を転じた。

制度はシンプルに

 福祉の制度はたいへん複雑になっているので、シンプルにしてだれにも分かりやすくものでなければなりません。そうでなければ、福祉サービスの利用者がサービス提供事業者に対して弱い立場になってしまう。福祉の分野は、判断能力が劣っている人が利用することが多いからです。

 医療は、福祉の分野に比べて、判断能力がある人が利用する場面が多い。この利用者層の違いを制度設計する人は見逃してはならないのです。緊急の患者を助けるためには、は待ったなしの判断が必要で、本人の同意なしにやらざるを得ない面もある。医療はそのための権威が必要かも知れませんが、福祉にはより添うことができる専門職が求められています。

支援事業所の在り方

 社会的な支援を行う事業所の運営には、安定的な財源のもとで、専門職と事務管理ができる人の両方が必要です。責任を取れる機関であることや、行政や民間事業所を動かすことのできる権限があることも、地域の諸課題や支援を必要とする人々への適切な対処のためには求められます。

逃げられない市町村職員

 現場を受け持つ市町村行政は、住民に対して「分かりません」とは言えません。市町村の職員は逃げられない。住民からの訴えを受け止めて、全部を解決することは難しくても、そのひとつでも相談してよかったと思ってもらえるようにすることです。

重要な当事者の視点

 3・11で避難所に福祉の必要な人たちが大挙してやった。それをみた学校の先生たちの、第一声はこうです。「このまちにこんなに多くの障がい者や要介護高齢者いたとは驚いた。どこにいたのか」と。先生方は、交通安全のための毎朝道路で旗をもって立っています。しかし障がいをもつ人たちは町に出ていないのです。福祉の施策を考えるのに、福祉の利用者が議論の中に入る必要があります。元気な人たちだけで町づくりをしていると、障がいのある人たちには住みづらいまちになってしまう。増えている元気でない人たちも町づくりに参加する必要があります。

必要な生活支援サービス

 近くに店がなくなったために、買い物代行サービスのニーズが増大しています。買った荷物も重いし、階段の上り下りもたいへん。日常の買い物だけではなく、高齢になっても地域で生活するためには、多機能な生活支援サービスが必要です。介護保険前のホームヘルプサービスのメニューには、独居高齢者向けに対話訪問があった。そうした見守りサービスや、銀行の利用や公的な手続きの代行サービスも欠かせません。地域の人たちが集まれる場所があれば、そこに集った人たちの間でコミュニティが生まれます。田舎では40~50軒の集落がたくさんあり、そこに生活支援のメンバーがいて、ある程度の収入が得られるようにして日々の支援を担っていく仕組みができないかと思います。

これからの日本

今後の日本は農・林・漁の第1次産業を見直してしっかり取り組みことが地域再生の鍵になる。加工し流通させていく一体の仕組みを作り上げていくことがポイントです。長期的な人口減少社会は、これまでの消費生活一辺倒の社会の在り方に見直しを迫ることでしょう。賃金水準を変えることは難しいので、国民の税や社会保障費負担は今後も増大せざるを得ません。しかし、町長自ら役所の便所掃除を率先する例にあるように、私たち、ひとり一人が持てる力を発揮すれば、社会的なコストを低減させることは可能だと思います。

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  • 震災復興は地域福祉の不可避なテーマに、と都築さん

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