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社会・時事・他川村慶社長 シート適合技術で競技支援2020年2月28日12時42分

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 日本の義肢装具をリードする川村義肢(大阪府大東市、川村慶社長)。障がいがあっても生活ができるように数々の義肢装具や車いすなどの福祉用具を開発製造販売する。パラスポーツのトップアスリートが使う義肢や車いすシートなども個別対応。東京パラリンピックでは、カヌー競技の瀬立(せりゅう)モニカ選手のカヌーを製作する。川村慶社長に日本のバリアフリーにかける思いを聞いた。

石畳でも気軽に支援

 川村義肢の川村慶社長は大阪体育大学出身、社会人になって以降もアメリカンフットボールに打ち込んできた。義肢装具の技術取得のためにドイツで生活していた時、アメフトで骨折し松葉杖になった。日本では道は舗装され段差解消も進み、自動扉やエレベーターが設置されているのに、ドイツは石畳や段差が多く、バリアーが多く、杖の先ゴムがすぐ痛んでしまった。

 しかし、川村氏は、道路のバリアフリー化は進んでも、社会や人々のソフト面の課題は依然大きく、東京オリンピックやパラリンピックで、日本のめざす「おもてなし」ができるのか心配だと憂いた。ドイツでは車いすやベビーカーの人には、誰もが声をかけて持ち上げるなど手伝っている。大きなスーツケースを持っていれば、階段を上がるのを手伝っている。そうした風景に出会っていたからだ。

昨秋の「ワンチーム」忘れるな

 昨秋のラグビーワールドカップの地方での開催では、応援の外国人らと一体感をもって盛り上がった。今夏の東京オリンピック・パラリンピックでは、国籍や言葉などのバリアーも超えて、ともに応援し交流する大会にしたいと訴えた。「英語圏だけの人ではない。自動翻訳機もある。要はコミュニケーションです」と話す。

 「障がいのない人はスポーツをしたほうがよいが、障がいがある人はスポーツをしなければならない」という車いすレースの鉄人、スイスのハインズ・フライ選手の言葉を引いて、そのための用具製作が当社の役割と述べた。

 東京大会で、同社はパラアスリートが活用する車いすやカヌーなど様々な用具を、選手一人ひとりに合わせて製作する。

瀬立選手のカヌー製作

 パラカヌーに出場する瀬立モニカ選手の乗るカヌー製作もそのひとつ。瀬立選手は高校1年の体育授業で怪我を負い下半身が動かなくなった。1年のリハビリでカヌー競技に復帰し、19年の「パラカヌー世界選手権ハンガリーセゲド大会」では、VL1女子200mで優勝。東京大会では金メダル候補だ。

 「体幹をしっかりカヌーに固定する。同時に、上体が動きやすいようにデザインして調整するのがポイントです」と、川村氏。前回のリオ大会では、同社の技術者が同行し、女子カヤックシングル(運動機能障害)8位入賞を果たした。

 車いす競技のシート製作は同社の得意分野。「お尻の形に合わせるだけでなく、動きや制動に対するアスリートの意向をしっかり聞き取り形にします」と。

 冬期のチェアスキーでは、故障してもある程度は自分でも直せるまで、選手と技術者で話を詰めて製作することで、自信をもって競技に臨むことができるようになると言う。

 川村社長は、日本障害者スポーツの科学委員でもある。装具を付けた競技が安全で効果的でなければならない。バネを付けて走ることで健常な脚の方が障がいとなってはならない。子どもの場合などは特に注意深く対処する。

女子更衣室4カ所設置

 同社には、4カ所に女子更衣室がある。女性社員が増えたからで、一般に男性の多い義肢装具会社で、女性が3割を占める。「女性が働きやすい会社にしよう。男性もきっと働きやすくなる」と考えて会社のあり方を見直した。

 性別だけでなく、国籍や宗教の違いにも対処した。バングラデシュ、ベトナム、ネパール、中国の人たちも働く。イスラム教のバングラデシュ人のために祈りの部屋も作った。「バリアフリーの用具を作る会社だから、ソフト面のバリアフリーも必要」との思いだったと川村氏。

ハイヒール・フラミンゴ誕生

 同社から、日本初の女性だけの義足ユーザーの集まり(コミュニティ)「ハイヒール・フラミンゴ」が生まれた。義足ユーザーの高木康子さんと同社で義足開発を行う野間麻子さんが中心。

 義足ユーザーは女性が少なく、困りごとなど話せる場が少ない。野間さんは義足ユーザーが出会える場を作ろうと考えた。病気で下腿部を切断した高木さんはその後の生活に思い悩んだ。そうして、女性だけが集まれる場(コミュニティ)が生まれた。川村義肢の技術者も加わった。昨年、「ハイヒール」は、男女にかかわりなく真の意味で活躍できる社会をめざす「日本女性学習財団」の未来大賞を受賞した。

 「ロンドン大会では、パラリンピック終了を待って、オリンピックとの両選手のパレードが行われた。東京もぜひそうあって欲しいです」と川村氏はバリアフリーへの思いを語った。

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