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社会・時事・他レビュー2016 認知症鉄道事故 監督責任は個別に判断 2016年12月28日07時10分

 3月1日、最高裁判所が認知症患者に対する監督責任について初の判断を示し、注目を集めた。発端となったのは、2007年に愛知県で認知症男性が、介護していた妻がまどろんだわずかな隙に徘徊し、東海旅客鉄道の電車にはねられ死亡した事故。遺族に列車遅延による損害約720万円の賠償責任があるかが争われた裁判で、最高裁第三小法廷(岡部喜代子裁判長)は、家族であるという理由だけでは、監督義務者に当たるとは言えないとし、遺族の賠償責任はないとの判決を下した。

 判決のポイントとなった民法714条では、監督義務を怠らなかった場合などを除き、監督義務者には責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任があるとされている。今回のケースでは、「自らも要介護1の認定を受け、介護も長男の妻の補助を受けて行っていた妻は、第三者に対する加害行為を防止するために夫を監督することが現実的に可能な状況ではなかった」と妻の監督義務を否定。長男に対しても20年以上同居していないことを理由に、同じく監督可能な状況になかったと結論づけた。

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 一方で最高裁は「法定の監督義務者に準ずべき者に当たるか否かは、責任を問うのが相当といえる客観的状況が認められるかという観点から判断すべき」と言及し、その際考慮すべき諸般の事情として、6つの観点を例示した。

 場合によっては賠償責任が求められる可能性も残ったとして、万が一の際に救済する仕組みを求める声もあがっていた。

民間保険や行政に動きも

 ニーズの高まりを受け、来年1月から、三井住友海上火災保険と、あいおいニッセイ同和損害保険は、個人賠償責任保険の対象範囲を電車の振替輸送費用の補償にまで拡大することを発表した。同保険は日常生活の中で起こる法律上の損害賠償責任を負担するもので、加入した本人だけでなく家族も補償範囲に入るため、認知症の親や幼い子供の起こした事故についても補償可能だ。

 判決前から民間保険各社より販売されていた同保険だが、対象は器物損傷など物理的な損害に限られていた。間接損害である振替輸送費用をカバーする保険は業界初で、認知症患者とその家族をより広くサポートする体制を打ち出した形だ。

 あいおいニッセイの担当者は「認知症患者の増加に伴い、さまざまな補償が求められている。最高裁の判決にも影響を受けた」と説明した。

 一方、地方自治体でも救済の仕組みづくりが始まっている。神戸市は、認知症の人が事故を起こし賠償責任が確定した場合、金銭的な救済を行う独自制度の創設を検討する方針を、9月13日に明らかにした。

 久元喜造市長は会見で最高裁の判決に触れ、「家族が24時間ずっと監視をするということは、実際問題できない。共済制度や強制保険、市費での給付などが考えられるが、実現可能な方策を模索して、最終的な方法を決めていくことになる」と述べ、早ければ来年度予算に組込みたいと示した。

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