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社会・時事・他しゃらく 要介護者の旅のサポート 4年間で実績300件2012年11月 6日19時08分

旅をあきらめない

 「旅をあきらめない」小さな旅行社、NPO法人しゃらく(神戸市)。全国のケアマネジャーなどから、もう一度故郷を訪ねてみたい、娘や孫の結婚式に出たいという利用者の願いが寄せられる。2008年から4年間で、延べ1800人余、299件の旅を提供してきた。

 「何よりも周到な準備こそが、障がいをもった人たちの旅行を安全安心に遂行するための最も大切なことです」と、代表の小倉譲さん(35歳)。「旅行に行きたい」と言っても本人や家族との間ではじめから信頼があるわけでもない。できる限り直接会って、信用を重ねていく。ヒヤリングに半月程度をかけることもある。小倉さんはこのプロセスに費す「安全管理費」をしっかりかけることが、自分たちのサービスの質を決めているという。同じ人が担当して、リピーター率は80%に達すると話す。利用者は、要介護3~5の重度者が多い。

 くも膜下出血で倒れ、寝たきりになった女性(65歳)は娘の結婚式に出たいと思い、入院中の病院からリクライニング車いすで結婚式場に行くのを、しゃらくの看護師がエスコートした。女性は言葉が話せない。車いすで駆けつけた母と結婚する娘はお互いに目を合わせることできないでいた。きっと事情もあるのだろう。それでも、披露宴が進み、最後のお母さんへの手紙が読まれた後、ウェディングドレスの娘は母にしっかり抱きついた。ふたりは互いに目を見つめ、母は涙を流した目で「おめでとう」を言ったという。

 いままで利用者は青森から鹿児島までに及ぶ。最高齢者100歳。海外に行くこともある。食べられないものや食べたいものを聞き、旅館やホテルに話して、料理を出してもらう。エスコートスタッフとして、ヘルパー50人、看護師10人、医師1人が関わっている。

 「旅行費用は、元気な人が旅をする費用に比べてその3~3.5倍かかります。エスコートスタッフの旅費と安全管理が加わるからです。画一的な準備や対応ではすまないのです」と、高齢者の旅を仕切る須貝静さん(40歳)。認知症の人の場合、契約主体になれないので、家族との契約になる。

旅は最高のリハビリになる

 アパレル企業の社員だった小倉さんは週末、住まいのある神戸から倉敷の祖父の家に行き、介護をしていた。祖父は祖母とふたりの生活で、認知症があり、酸素吸入が必要だった。小倉さんは夜中、祖父の枕元で本を読んで過ごしていた。祖父が、歩くのも覚束ないのに、徳島にある神社に行きたいと言い出した。平日の介護を担っていた小倉さんの母といっしょに車で徳島の神社に行ったところ、祖父は神社の石段を一段一段ゆっくりと登りだし、神主に会って立ったまま昔話を長い時間し出した。小倉さんも母も、あまりの祖父の元気ぶりにあ然、母は感激で泣いてしまったと言う。

 「旅は最高のリハビリになる」と確信した小倉さんたちは、旅行社立ち上げ前年の07年、要介護者150人を対象にアンケートを取ったところ、「旅行に行きたい」という回答が63%に達した。

 「私たちは、旅行を通じて、お客さんの人生を背負っているように思います。人生の回帰となる旅、後悔のないように、しっかり準備して実現したい。介護保険制度は対応していませんが、必要なサービスだと思い、がんばっています」と話す。  小冊子「旅の介護本」(写真)、「旅の医学本」も同法人のホームページに掲載する。

NPO法人しゃらく=神戸市須磨区須磨浦通4-4-6須磨浦ビル204号 ☎078・735・0163

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  •   しゃらく事務所で小島さん(右)、須貝さん
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