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施設・住まい瞬時の決断迫られた特養のその時2011年7月 1日21時30分

明暗を分けた一本の道路「白東苑」(仙台市太白区

 東日本大震災では介護施設も大きな被害を受けた。宮城県内でも仙台市を除き、特養やグループホームなど約30の介護施設が津波や地震による水没、全壊を被っている。

 仙台市の介護施設も海に近い施設は大きな打撃を受けたという。そうした中、海岸から2kmほど離れた太白区の特別養護老人ホーム「白東苑」(高橋治理事長)は、間一髪危機を免れた施設だった。

 3月11日午後14時46分、三陸沖を震源に国内観測史上最大のM9.0の地震が発生。「白東苑」も大きく揺れ、その瞬間に電気、ガス、水道が一斉に止まった。「停電のためテレビやパソコンのネットが動かず、情報源はラジオだけ。地震の大きさや周辺がどうなっているのか全く分からない事態になりました」と嵐田光宏常務理事は"その時"を振り返る。

 当時は特養70人、デイサービス30人、計100人の利用者が施設内にいた。職員総出で利用者全員の無事がようやく確認できた頃だった。「ラジオから津波発生の情報が流れてきました。津波の大きさは最初は3メートル」(同氏)。

 1階が水没するリスクを想定し、急いで全ての利用者を2階へ避難させる指示を出す。歩行が可能な利用者は職員が支えて誘導し、車いすの利用者は車いすごと職員が運んだ。その作業が終わりかけた3時頃、衝撃的な情報が飛び込んできた。

「今度はラジオから津波の大きさが8~10メートルに達するという情報が流れてきたのです。過去の教訓からある程度の地震や津波は想定していましたが、ここまでとは・・・。2階も水没する危機が出てきたのです」と緊迫感を語る嵐田常務理事。

 同施設は同じ敷地内に3階建てのケアハウスがあり、そこに利用者を避難させるか、そのままとどまるかの判断を迫られた。3階はより安全。しかし利用者の移動中に津波が押し寄せる可能性も小さくない。決断までの時間はわずかしかない。「このまま2階にとどまろう」。最後は高橋理事長がこう決断した。

 結局津波は「白東苑」まで押し寄せなかった。後で判明したことだが、同施設から1kmほど海岸よりに仙台東部有料道路が走っており、津波はその道路が堤防役を果たし「白東苑」まで及ばなかったのだ。道路から海岸よりの地区は壊滅状態。まさに運命を分けた1本の道路となった。

 自分の施設は最悪の難を免れたものの、高橋理事長は仙台市老人福祉施設協議会(91施設)の会長という要職を勤めている。3月15日には役員会が開かれ大きな被害を受けた施設が2カ所。多くの施設が外部からの援助が必要なことが分かり、その対策にあたることになった。

 「現在市内の施設はどこもすしづめ状態。その解消が当面の課題。できれば元の施設の利用者と職員全員をを同一の場所で過ごせる場所の確保がケアの上でも望ましい。現在元ホテルがあった場所を30人収容のケアハウスにできないか行政と交渉中です」(高橋理事長)。

 そして施設の再建は2、3年のスパンで考えなければならないと考えている。「用地の確保や新しい建設資金をどうするのか。被災した施設には元々借入金があり、金銭的に非常に厳しい状況に追い込まれるだろう。市、県、全国の老施協が一丸となってそうした問題の解決にあたりたい」(高橋理事長)。
                                 (2011年6月10日号)

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    高橋治理事長

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