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施設・住まい特養「蓬莱園」 利用者の安心・安全・快適と介護2012年11月 9日21時40分

 特別養護老人ホーム「蓬莱園」(社会福祉法人古家真会、広島市)は、定員100人(4人部屋23室、2人部屋7室、従来型個室2室)のショートステイ併設の特養施設。今年4月の厳しい介護報酬改定を受けて「処遇改善を図り、職員の定着率を上げつつ、介護の質も上げなければならない」と施設長の岩崎賢太郎氏(36歳)。1年前には、ほかの法人施設や民間企業での経験豊富な弟の悠治氏(34歳)を事務長として迎え、コスト意識をもった運営をすすめている。

 特別養護老人ホーム「蓬莱園」は多床室中心の特養施設。今年4月実施の介護保険制度改正では、地域包括ケアシステムの推進が言われ、特養施設に期待される役割としては、重度化への対応や、医療ニーズへの対応が求められるようになった。そのため介護報酬改定の内容も、ユニット型に手厚く、多床室には厳しい評価がなされている。

 岩崎施設長は「ユニット型整備の方針は現場とのギャップがかなりある。一つには高額な居室代や必要経費を支払える層がどれほど居るのか、二つ目には認知症患者には他人の目が届きやすい多床室の方が本人や家族のニーズに合致することもある」と指摘。「昨今、業界内の不祥事も続き、より一層危機感をもって、法令遵守をしながら経営的感覚もきっちり持たなければならない」と話す。まず、改革を進めるにあたって、各方面で経験豊富な弟の悠治氏を事務長に迎えた。

 岩崎悠治事務長は「削減した費用を介護人材の賞与・給与に充てる。厳しい報酬体系であっても、それを理由にケアの質を落とせない。その前提として現場のモチベーション向上なくして、職員の定着率向上、さらには介護の質向上はないと考えるからだ」と、率先して介護職員の処遇改善に取り組む必要を強調する。  具体的には「介護職員処遇改善加算Ⅰ」を算定して収入を確保し、並行して施設備品や機器、消耗品の仕入れを見直し、コスト抑制を図った。

 「厨房設備やエアマット、特殊浴槽(機械浴槽)など必ず必要なものを安く仕入れるために、メーカー間の入札制度を導入した。また、現場から購入申請が挙がった備品も本当に必要か代用はないかなど徹底検討している。備品は交渉次第で、かなり経費節減ができた」と、これまでの成果を話す。

「経営面」「利用者・職員満足度」「安全・安心」からの特浴買い換え 

 特殊浴槽については、10年以上前の製品を使用してきたことから経年劣化も見られはじめ、買い換えることになった。経営的な観点からも、利用者や家族が入所施設決定の決め手は食事とお風呂ということからも、できる限り最新の機種であることが求められる。同施設では、これまでも週平均2~3回を目処に、体力を使う入浴ということもあり、その人に最適な回数を決めてきた。入浴方法についても、身体状況からストレッチャー浴チェア浴一般浴槽の中から最適な方法で入浴してもらう。

 機種選定については、メーカー間で見積りを取りつつ、現場スタッフの意見を多く入れながら、オージー技研(岡山市)のストレッチャー浴とチェア浴の2機種を導入した。

 最新機種導入による最大の効果は、安全性向上が図られたこと。「スタッフに悪意はなくても、入浴中は事故が起こりやすい。たとえば栄養状態や皮膚の状態によって、少し引っ掻いたり、接触したり、引っ張る力が掛かった程度でも剥離が発生しやすく、これも事故として扱われる。こうした小さい事故は、大きな事故の種であり日常の当たり前のことと見過ごすことがないように、未然に防ぐ必要があると施設内で呼びかけてきた」と岩崎事務長。

 介護支援専門員で、ケアスタッフでもある大上博章さんは「利用者からはチェア浴の機能の一つである『噴流』は気持ちいいと評判だ。前に向かって浴槽に入っていく形態も、安心感があり利用者に喜ばれている。ストレッチャー浴は、移乗させる回数が減り、以前より身体的負担が軽減した。入浴介助は、洗髪担当1人、着脱担当3~4人、洗身2人で作業するが、機械部分が小型化したことで洗い場が広く使える様になり、全体的に動線が短くなったことは、作業性向上に直結している」と、直接介護に従事する立場の評価の高さは、利用者の安心・安全の意識向上につながっている。

認知症ケア、医療行為の取り組み等も

 要介護度は平均3・4。特養施設としては平均的な要介護度だが、胃ろうの利用者が7人いる。今回の法改正により、医療行為の研修・実施体制が制度化されたことは心強いという思いが介護職に強い。「今後の医療行為のできる職員養成の制度を注意深く見ながら、スタッフ教育も進めるつもり」と岩崎施設長。

 5階認知症フロアには28人が入所している。同施設は86年(昭和61年)の増床時に認知症ケアに取り組み始めた。フロア分けについても、熟考の上で分離の方が良いと考え、処遇にあたってきた。特養の機能を持ちつつ、グループホームのような家庭的な雰囲気作りを目指す。

 特養施設に求められる専門的なケアは広がっていく。厳しい介護報酬改定の中でも、利用者のため、特養施設の奮闘は続く。

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  •    ストレッチャー浴で作業の動線短縮
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  •    チェア浴は前入りが好評

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