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施設・住まい北海道胆振東部地震 紙べースの情報保存など2018年10月18日07時05分

1023shinsai.jpg 9月6日午前3時7分に北海道胆振(いぶり)地方中東部で最大震度7(マグニチュード6.7)の地震が発生し、9月27日時点で死者41人、重軽傷者689人の被害をもたらした。道内全ての火力発電所が停止し、一時は道内全戸約295万戸が停電。ライフラインが途絶える中、被災地の介護事業所は利用者の安否確認や電動福祉用具の対応などに奔走した。各社の対応を取材した。

独居や認知症の利用者優先し訪問

居宅介護支援事業所

 函館市にある「あんしんかいごプランニング」では停電により電話やFAXが停止し、利用者と連絡が取れなくなった。そこで、紙で保存していた利用者情報から、4人の独居の人を中心に車で自宅を訪問し安否確認を行った。同事業所では9月1日の防災の日に合わせて備蓄品の見直しをしており、大きな被害は無かったという。

 札幌市にある「秀友会介護保険相談センター」では交通機関が停止したため一部職員を自宅待機としたが、地震発生当日もサービスは継続、訪問系サービスの利用者はサービス事業者が安否確認を行った。このほか5人の独居の利用者については自転車で訪問し安否を確認。同事業所では、車用の変圧器を活用して主な連絡手段である携帯電話の充電に活用した。

提供用の食材確保を第一に

通所介護

1023shinsai3.jpg 函館市にある「デイサービスセンターのべる手」では地震が発生した6日昼から、出勤できる職員が利用者に提供するための食材確保に動き、地域農家の協力も得て数日分の食材を確保した。

 営業は地震発生当日の6日のみ停止。その日の利用者と独居の利用者約30人の安否確認を行った。同社では当日の利用者情報などを紙で出力していたため、停電時でもスムーズな安否確認に繋がった。「入浴が必要な利用者や、心待ちにしている人が多くいたため、営業停止日の利用者については後日振り替えて受入れた」と斎藤修代表は話す。

 電力は6日夜には復旧し翌日から通常通り営業。同事業所が位置する通りは医療機関が多くあり、電力の復旧が早かった。「今回は、食材確保が早くでき、かつ電力の復旧が早かったため、まだ復旧していない地域の事業所にも食料などを支援できる体制を整えることができた」と斎藤さん。「今後は福祉事業者として、発電機やガスボンベ、災害時の備蓄品保のルートなどを確立し、事業継続に繋げたい」と語る。

火山活動を想定した防災訓練を定期実施

有料老人ホーム

1023shinsai2.jpg 苫小牧市にあるライラックは、住宅型有料老人ホーム(定員9人)と訪問介護事業所を運営する。大きな被害が出た隣町の厚真町から車で30~40分ほどのところだが、幸い人的・物的被害は事業所、利用者ともになかった。

 地震発生後、ホームの職員は早めに出勤して利用者への対応にあたった。また外部のケアマネジャーとも連携しながら、訪問介護の利用者の安否を確認し、全員の無事を確認。事業所のあるエリアは地震直後に停電し、復旧に2~3日を要したが、断水はなかった。

 「災害時に備えて、AC電源がとれるコンセントを備えたポータブルバッテリーや乾電、懐中電灯、電池式ランタン、カセットボンベ・コンロ、水などを用意してあったので、幸い電力復旧までの間を持ちこたえることができた」と代表の伊勢京子さんは話す。

 ホームの利用者でミキサー食を食べる人のために、食材をミキサーで調整したり、携帯電話・スマホを充電するのに、バッテリーを活用。同事業所ではガスは使用せず、熱源も電気でまかなっているため、お湯を沸かしたりご飯を炊くのに、カセットボンベが役立ったという。

 この地域では、苫小牧市の北西部にある活火山・樽前山の噴火やその火山活動に伴う地震を想定して、日頃から防災訓練が行われている。「平常時の防災への意識に加え、ここ数年相次ぐ大地震などを踏まえて、対策をとっておいたことが功を奏した」(伊勢さん)。

 今回の地震を受けて、ガソリンで発電できる発電機、缶詰めやレトルトなど約2週間分の食料品の備蓄も購入するなど、より長期なライフラインの寸断にも対応できるように備えを進めている。

備蓄食品の保存量が課題

老健

1023shinsai4.jpg 札幌市にある「介護老人保健施設ひまわり」では、6日の20時半頃に電力が復旧した。職員には自己判断での出勤を呼びかけたが、結果として職員の参集が上手くいきサービスの停滞はなかった。一方で、職員の安否確認については緊急連絡網を用意していたが、連絡先の更新ができておらず、SNSなどを駆使して連絡をとった。

 入居者については認知症の人など不安がある人が多くいたため、人員配置を手厚くして夜勤職員は通常の3倍の3人体制とし、不測の事態に備えた。同施設担当者は「地震発生により認知症の利用者が不安になって行動が増えた」と話す。

 また、食料や予備電源、水などについては、利用者分の備蓄で足りた。「一方で、ボランティアやシフトを手厚くしたため職員分の食料は想定しておらず、不足してしまったことは反省点」と振り返る。近所の農家を訪問して直販してもらうなど、急遽対応したという。

 同じく札幌市内にある「老人保健施設セージュ新ことに」も、地震の影響で予定していた食料品の納入先が配達できず、全ての献立メニューを変更するなどして対応。安定して食料品が届くまで4~5日を要した。

 また、同施設ではポンプを活用して水を汲み上げていたが停電の影響で汲み上げ機能が停止。1階の大浴場にためた水をバケツリレーで2階、3階へと運び、また貯めるといった作業を丸2日行った。

 利用していた福祉用具について同施設担当者は「入居者が利用していた電動ベッドやマットレスが使用できなくなるなどの影響もあったが、ライフラインの確保が第一課題であったため対応は後回しになってしまった」と話す。

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