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施設・住まい事業者と二人三脚で用具定着 「ハーモニーみどりヶ丘」2018年9月27日07時10分

 深刻な人材不足

0907midori.JPG 福島県郡山市の特別養護老人ホーム「ハーモニーみどりヶ丘」(社会福祉法人心愛会)では職員の負担軽減、離職防止のため、移乗具や自助具、高機能の車いすなど、さまざまな福祉用具を積極的に取り入れている。同施設の取り組みのきっかけは4年ほど前。同法人の三瓶英司常務は、「当時の職員不足は非常に深刻なものでした」と振り返る。ユニット型の基準ギリギリの配置で、日中のユニットを1人の職員でまわすことも珍しくなかったという。「職員もみな精一杯やってくれていましたが、当時の環境では余裕など全くありません。このままでは、職場環境の悪化と離職の連鎖に陥ってしまう。強い危機感を抱いていました」(三瓶常務)。

定着しない理由は「慣れないから」

0907midori2.JPG そうした中で同施設に福祉用具を納入していた地元の事業者あかね福祉の提案で、コンサル型業務改善に取り組むようになった。同社は、まず施設職員全員を対象とした事前研修を実施。受講者は皆車いすに座り、使用感や使用しての苦痛を体験してもらう。

 同社取締役の水橋一嘉氏は、「福祉用具の導入を試みても定着しないケースが多い。その理由は、道具を使った介助には『慣れ』を必要とするからです」と指摘する。使い初めは慣れないために、職員も「今までの介助のほうが早いし、やりやすい」という気持ちになりがちだという。「これでは福祉用具を使った介助は定着しないし、いつまでたっても職員の負担は軽減されません。ただ、一度慣れてしまえば、自動車やパソコンなどの道具と同様に手放せないものになります」。同施設の事前研修でも、こうした福祉用具を活用する意義が伝えられた。

 さらに用具定着のためにポイントとなるのが、同社が「専任者」と呼ぶ存在だ。施設職員の中からユニットごとに専任者を選出し、選ばれた職員は、同社のコンサルタントとともに入所者ごとの移乗方法を検討したり、他の職員へ介助方法を伝える役割を担う。

 水橋氏は専任者を置く理由について、「我々が前面に立ってしまうと、現場はどうしても教えてもらったことだけを実践することになってしまいがちです。その場限りならば、それでもよいでしょうが、福祉用具を活用した介助を根付かせるには一緒に取組んでもらわなければなりません」と説明する。

 専任者を通じて、現場に問題意識が生まれ、より入居者・職員双方に負担が少なく、自立支援のための介助方法を自主的に検討するようになるという。「現場では我々はあくまでサポート役。現場を引っ張っていくのは専任者の方です」。

施設の主体性を生かすサポート

 実際に新しく指導を受けるユニットの様子を取材した。同社のコンサルタントの及川貴之郡山営業所長は週1回、3時間現場に入り、入居者の実際の移乗介助の様子を確認している。この日も入居者一人ひとりに対し、数種類の移乗具やリフトなどを使って、残存能力を最大限生かした介助方法の案を一覧にまとめた。

0907midori3.JPG 翌日、ユニットから選出された男女の介護職員2人とともに検討を実施。専任者の役割などの説明を一通り終えた後、2人がかりでの抱きかかえなど、特に負担が大きい入居者を中心に、現在の移乗の様子を撮影した動画やアセスメントシートなどを確認しながら検討を行った。

 検討後は、福祉用具を使った介助方法を練習する。専任者からは、「このスリングシートはベッドを背上げしてから入れた方がいいですか」など質問が次々飛んだ。スライディングボードの練習中、「すごい楽」と驚きを隠さず笑顔をみせる専任者の様子が印象的だった。

0907midori4.JPG こうした体験の積み重ねが福祉用具の定着には欠かせないと及川氏。「福祉用具に『慣れ』ると、我々からではなく、職員の方自ら考え、『もっとこうした方がよいのでは』など、さ

まざまな相談を寄せてもらえるようになります。福祉用具の定着まで伴走者として支えていきたいです」。

 取材日、夜勤帯はユニットごとにほぼ職員1人で対応していた。早朝4時過ぎから習慣的に目覚める早起きな人、不安のためか頻回にコールを鳴らす人、さまざまな入居者への対応に追われながらも、排泄介助時は必ず特殊寝台の昇降を徹底していた。

0907midori5.JPG 取組み前(14年)の同施設の離職率は12.6%で、2年後には10%を切った。その後、結婚などの事情で上昇した年もあったが、全国平均16.7%(17年度「介護労働実態調査」)より、低い水準で推移している。人材不足感もピークを脱し、職員の意識の変化などに繋がっているという。同法人の三瓶常務、渡辺清春施設長は「職員が働きやすい環境づくりのために今後も取り組みを進めていきたい」と意気込む。

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