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施設・住まい【インタビュー】全国老人保健施設協会 東憲太郎会長2016年10月 3日07時05分

日本の介護を支える介護助手 介護職の専門性向上と元気高齢者活用

 ――18年改正で人材不足への対応の一手として、三重県老健協会が昨年度モデル事業を行った「介護助手」の取組が注目されています。

0907higashi.jpg 「介護助手」事業においては、ひとつは介護の仕事を切り分けて、介護福祉士などの介護職は直接介護に特化した仕事をしてもらうこと、それと掃除や洗濯などの周辺業務を行う介護助手を設けてその担い手として元気高齢者に活躍してもらうこと、この2つのねらいがある。三重県老健協会で1年間モデル事業として取組み、成果があった。

 ――きっかけになったことは。

 リタイアした元気高齢者から「何かしたい」という声をよく聞くようになった。かつては看護師も食事や排泄といった介助も看護師の役割とされ、そうした周辺業務に忙殺されていた。そこを看護助手という役割をつくり、いわゆる介護業務を担うことで、看護師が本来の看護業務に専念し専門職の地位を確立していく道筋になった。介護助手の取組も、介護職の専門性を高めるものになると期待している。

 ――三重県のモデル事業では、どのような人が介護助手に採用されたのですか。

 説明会には全県で251人の元気高齢者の参加があり、老健9施設で57人を採用した。申込者の約3割は看護師や介護経験者だった。これまでもデイの送迎で元気高齢者が運転するという例や、掃除を行う例があったが、介護現場の周辺業務を担うことは少なかったと思う。

 ――モデル事業では、さらに介護助手に役割分担を設けていますね。

 周辺業務といっても仕事内容に差があるので3クラスに分けた。「Aクラス」は一定以上の経験や知識があると認められ、入所者の話し相手などを任される人、「Bクラス」はADLに応じたベッドメイキングなど、短期間の研修を受けることにより担当が可能になる人、「Cクラス」は掃除などの単純作業を行う人という3分類。いずれも直接介護は行わない。一人ひとりの能力を見て、現場の職員がそのクラス分けを行う。あくまで三重県の例なので様々なクラス分けがあるだろう。給与は地域や施設によって当然異なる。当施設では、モデル事業が1時間1,000円と高めの設定だったため、事業終了後の時給を850円にしたが、モデル事業参加の7人(70歳前後の人が多い)はそのまま継続雇用となった。

 ――18年改正で、介護助手を制度に位置づける可能性は。

 分からない。介護助手の雇用にかかわる費用は、事業収益の中でまかなうのが本来かも知れない。もし介護報酬で評価するとすれば、介護職の賃金が対象となる介護職員処遇改善加算の支給対象に加えるという方法が考えられる。たとえば20人の介護職員がいる施設で、介護助手を110人雇って、介護の周辺業務を担えば、その分、介護職員が介護に特化でき専門性が高まることになるので、介護職員処遇改善加算の一部を使ってもよいのではないか。

 ――課題は。

 介護助手を進めていく上で、身体介護の部分が今の法律では無資格者でも行える点をどう考えるか。今後、介護の専門性を確立するためには、有資格者でなければ身体介護はできないようにすべきではないか。そうなれば、介護助手との役割も明確に区分できるようになる。ここが、看護助手を設けた時代の状況と異なるところだ。

 ――介護職のキャリアアップをどのように考えますか。

 介護のキャリア段位制を活用してはどうか。キャリア段位の保持者を資格者としてみて、たとえば段位1、2段は介護福祉士ではないが、以前のヘルパー2級よりも専門性を高くし、身体介護ができる有資格者に位置づける。この人たちが国家試験を受けて介護福祉士になれば3段になれる。認定介護福祉士は、キャリア段位制では6段とされている。

 ――つまり、介護助手の活用は介護職の専門性を高めることになるということですね。

 その通り。資格があり、技能もあるとなれば、介護職の給与や社会的な地位も上げざるを得ない。そうなれば、介護を目指す若い人が増える。専門職らしい仕事ができるようになれば離職者も減るだろう。

 ――介護助手の担い手も増やし、超高齢化社会の課題を解決する、一挙両得になる、と。 

日本の高齢者はやがて3,600万人に達すると予測される。仮に、1%にあたる36万人が介護助手になったら、介護人材の不足を補う大きな力になるだろう。元気高齢者ご本人にとっても介護予防になるとともに、介護を学ぶ機会にもなる。

 「介護助手」という考え方は、日本の超高齢化社会を乗り切るための切り札になると期待している。

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