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施設・住まい<インタビュー>全老健・三根浩一郎副会長2016年8月24日07時05分

利用者にオーダーメイドでメニュー実施 認知症短期集中リハビリ

認知症の中核症状と周辺症状に改善効果

 ――老健で生まれた認知症短期集中リハビリテーションが注目されています。

0806mine.JPG 認知症の人のリハビリテーションとして効果が認められ、介護保険で老健や介護療養病床、デイケアで実施されてきた「認知症短期集中リハビリテーション」が、診療報酬上でも認められるようになった。医療保険で認知症のリハビリが行われるのは世界でも初めてではないだろか。

 当初、06年の介護保険改正で「20分以上60単位」として創設された認知症短期集中リハ加算は、09年に「20分以上240単位」に引き上げられた。14年の診療報酬でも「認知症患者リハビリテーション料」が設定されて、介護報酬同様に「認知症患者のリハビリテーションに関し適切な研修」が要件のひとつになった。

 ――どのように行うのですか。

 認知症短期集中リハビリテーションは、リハビリによって生活機能の改善が見込まれる認知症者に対して、記憶の訓練や日常生活活動の訓練等を組み合わせた20分以上の個別プログラムを、週3日(通所リハでは週2日)提供するもので、期間は3カ月。実施されるリハビリは、見当識(場所・季節・日付・時間・人物等の確認)の訓練、注意力・集中力の訓練(パズル・計算問題、読み書き、まちがい探し、ぬり絵、道具を使った訓練)、記憶訓練(カードを用いた訓練、口頭での質問形式の訓練)、趣味活動(簡単な工作、手芸作品を一緒に作成)など。ほかにも、散歩や体操、新聞・広告を見ること、歌、編み物、折り紙、園芸などがあり、施設ごとにこれらを組み合わせて実施されている。メニューが豊富なほど、選択肢が広がり、一人ひとりに合った手法を用いることができる。

 ――決まった手法があるのではなく、相手に合わせて実施するのですか。

 大事なことは、落ちた能力を引き上げることばかりに集中しないこと。人によっては、落ちたところばかりやらされて、嫌気が差して、意欲をなくさせる場合もある。脳トレだけをやっても、認知機能を高めることはなかなか難しい。機械的にメニューを実施するのではなく、一人ひとりに向き合いながら、コミュニケーションによって信頼関係を築きながら行っていくことが大切だ。ご本人にとって、その時間が楽しい、またやりたい、会いたいと思える関係を作り上げることが、治療的環境となって、認知症ケアの効果を高めていると考えられる。

 私はこのあたりにヒントがあると思っている。認知症のあるなしに関わらず、人と人とが交わすコミュニケーションこそが精神を賦活し、認知機能をも高めるのではないかと思う。コミュニケーションは人が人として生きるということに欠かせないものだからだ。

 ――どのような効果が検証されたのでしょうか。

 NMスケール(臨床的認知症スコア)を用いた効果検証では、認知症短期集中リハによって、まず身辺整理、関心・意欲・交流、会話、記銘力・記憶、見当識の改善が見られた。

 ADLや意欲の向上、周辺症状(昼間寝てばかり、介護拒否、暴言、無関心、昼夜逆転、徘徊など)の改善にもはっきりとした効果があった。しかし、抑うつの効果はなかった。制度上3カ月の制限があり、これでやめると効果は低下していくが、いったんやめても再開するとまた効果が見られる。こうした検証を通じて、同リハの実施による在宅への復帰効果が期待できると思われる。

 ――認知症のリハビリ効果が証明されたわけですね。

 率直に言って、認知症リハを実施した群と実施しなかった群の間に、ここまで有意差が出たことに驚いた。

 改めて言うと、認知症ケアには、人と人との関わり合いが大事だということ。ただ、具体的にどのような手法を用いてどのように実施すればよいかが明記できないという面があるので、いま、効果を上げている施設での取り組みをDVD化する研究が行われている。映像で分かりやすく伝えることで、取り組みのスタート時点で役立つものになるのではないかと期待している。

 ――実施の老健は。

 全老健のホームページに載せている。現在、全国1,195施設で行っている。

 ――認知症薬剤との併用はいかがでしょうか。

 私は、認知症薬物との併用が効果を高める可能性は高いと考えている。

 また、認知症薬剤の効果判定が国をまたいで実施されるグローバル試験に、介護保険がある日本が入ると、純粋に薬物の効果判定が見られないとして、日本が入ることが拒まれるという状況も生まれている。認知症ケアの効果を判定するのに、介護保険サービスを受けていたり、認知症短期集中リハをしていれば、薬剤の効果がストレートに判定できなくなるためだ。

 認知症ケアは国を挙げての取り組みになっており、認知症短期集中リハが広く普及して、認知症ケアの効果をあげていきたいと思っている。

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