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施設・住まい明日への礎9 辞めさせない組織づくり2013年1月30日09時24分

利用者の内出血に着目し提供するケアの質を改善

 前号で、東京都東村山市にある白十字ホーム(西岡修施設長)では、08・09年度に東京都の「経営者・チームリーダー層等マネジメント促進事業」のモデル事業者として参画。リスクマップ手法を取り入れ、事故レベルに応じた適切な対応が図れる仕組み作りに取り組み、その結果、07年度には年間935件発生していた介護事故が、08年度には705件に、09年度には575件にまで減少させることに成功したことを紹介した。今月号でも引き続き同ホームの取り組みを紹介する。

 モデル事業を経験したことで、同ホームでは事故報告を上げる際、職員が事故内容について、頻度や影響を考えるという意識づけが行えるようになった。その後も転倒やショートステイにおける事故など、リスクマネジメントの取り組みを積み重ねた。そして一昨年には、利用者の内出血に着目した事故情報の分析、ケアの改善を行う取り組みに着手した。

 同ホーム生活福祉課の阿部律子統括課長は「転倒や転落などに比べ、事故の重みづけが低くなる内出血の情報を収集・分析することで、自分たちの介護技術の問題などが見えてくるのではないかと考えた」と狙いを話す。

 まずは、職員が利用者の内出血を発見した場合、どんな小さなものでも報告をあげてもらうようすることから始めた。「内出血がどれだけ小さくても報告をあげるようにお願いしたので、年間の事故報告件数は大きく増えた」と同ホームの鈴木剛士課長。結果的に11年度の年間事故報告件数は1002件にまで増加した。 「普段は見落とされがちな小さな内出血についても報告してもらったからこそ、正確な分析ができるようになった」と阿部統括課長。情報を収集した結果、内出血に関して明らかな傾向が浮かび上がってきたのだった。

 同ホームでは一昨年の4月から9月までの半年間で、内出血に関する事故報告があった利用者は73人、件数は累積で229件に上った。要介護度別では、「要介護5」が34人、「要介護4」が22人、「要介護3」が6人、「要介護2」が8人、「要介護1」が3人という結果で、「要介護4以上」が全体の4分の3を占める状況となり、「要介護5」の利用者が最も多かった。

 さらに要介護認定の「移乗」の項目から分析すると、「全介助」が38人、「一部介助」が16人、「見守り」3人、自立「16人」という結果になった。「介助の必要性が高い利用者に内出血が発生している傾向が高い結果から、自分たちの介護技術に未熟な部分のあることが、はっきりと見えてきた」と阿部統括課長。1人あたりの内出血回数では、半年のうちに3回以上が4割という結果で、最多で10回という利用者もいた。

 同じ場所にあざができる人の情報を集め、分析した結果、例えば足に内出血ができる人は、移乗の際に車いすに足をぶつけているなどの状況が見えてきたという。同ホームでは、改善策として、介護技術を高める研修に職員を参加させ、可能な限り、二人介助を行うなどの対策を取った。また、車いすやリフトなど、福祉機器を積極的に見直したり、活用したりすることで、内出血が起きにくい介護技術なども身につけるようにした。

 「施設や家族にかけ合って、足置きや肘掛けが外れる車いすを購入してもらったことは、特に効果が大きかった」と鈴木課長。同ホームでは、取り組みを機にモジュラー型の車いすの割合が大きく増加。そして、施設をあげて改善に取り組んだ結果、利用者の内出血をその後の半年間で半減させることに成功している。

 ※今回の「白十字ホーム」もモデル事業者として参画した東京都の「社会福祉施設におけるリスクマネジメントガイドライン」は、東京都福祉保健財団のホームページからダウンロードできます。

  • 阿部律子統括課長(左)と鈴木剛課長.JPG
  • 白十字ホームの阿部統括課長(左)と鈴木課長

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