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施設・住まい生き活きケア67 特養「グレイスヴィルまいづる」2012年9月25日22時37分

 社会福祉法人グレイスまいづる(荒木義正理事長)は、全室個室のユニット型特養として2005年に特別養護老人ホーム「グレイスヴィルまいづる」(京都府舞鶴市)を開設した。介護人材不足が言われる中、入居者・スタッフ双方に負担の少ない介護技術の実践や、入居者に最適な排泄ケアの検討にも熱心に取り組み、介護職の喀痰吸引や経管栄養の対応に向けて体制づくりも進めている。また、地域交流にも積極的で、コミュニティーホールは地元住民の憩いの場として定着しつつある。

特養らしくない外観

 京都府舞鶴市の山間に、特別養護老人ホーム「グレイスヴィルまいづる」は立地する。京都府北部で先頭を切ってユニット型特養としてオープンした。

 洒落た外観は宿泊施設と見紛うほどで、いわゆる特養施設のイメージはない。施設長の淡路由紀子氏は「名称のヴィルはヴィレッジ(村)という意味で、ここに人の営み、暮らしがあることを意識しており、村ごとお引っ越しさせていただいたつもりで、地域との交流を大切にしています」と狙いを説明する。

地元に溶け込むために

 「私達、職員一人ひとりも地域の生活者であり、ともに暮らし、ともに考え、ともに感動し、ともに働く――という考えが基本」と淡路氏。

 地域に開放したコミュニティーホールには地元住民が集う。取材当日は、1学期の終業式を終えた地元の小学生が集っていた。ホールのカフェや売店は、入居者やスタッフだけでなく、周辺に商店が少ないこともあって、地元住民にも重宝されている。部活帰りの中高生が立ち寄る風景も。

 農業が盛んな地域に立地することもあり、食事に出される米は、地産地消の実践として施設周辺で収穫された地域のものを購入、さらに休耕田を無償で借り受け、入居者の余暇やスタッフの趣味も兼ねた菜園づくりにも取り組み、収穫物は食事に使用、野菜の仕入れの5%程度を自給する。

 また、地域の学童保育への協力、ボランティアの受け入れにも積極的に取り組んでおり、入居者と子供たち、地域住民との交流は近所づきあいそのもの。

 こうした日常的な交流を通じて常に外部の目が施設に向けられ、様々な声や見方がもたらされ、地域とともに歩む施設運営ができるという。

その人らしくをチームアプローチで

 特養は1階に配置されており「8人×10ユニット」で、各ユニットに必要な職員配置をする。施設運営上は大変なレイアウトだが「家庭的な雰囲気でも、家族の代わりをすることはできません。プライベート空間である居室は、たとえスタッフであっても、馴れ馴れしく踏み入ってはいけない」と、淡路氏はユニットが生活の場であることを意識する必要を強調する。

 ケアについては「様々な職種が互いの専門性を尊重しながらも、暮らしを重視した視点で連携することが大切」と淡路氏。

 たとえば排泄ケアでは、介護職だけでなく、感染症予防や皮膚ケアなどで看護職員、栄養管理・改善などで管理栄養士も関わる。そうしたチームアプローチにより、食べたい時に食べたい物を食べる事ができ、自分のリズムで排泄することができる環境を目指す。

 夜間のオムツ交換についても、オムツ交換が必要な都度交換することを基本とする。「お一人おひとりの排泄リズムに合せたオムツ交換は安眠妨害になることはなく、むしろすっきり深い眠りについてもらえる。大きなパッドでは皮膚トラブルも起こしやすい」とユニットリーダーの芝田まどか氏(排泄委員会座長)。その上で「入居者に個別の対応がより行いやすい環境なのがユニットケア」と淡路氏は付け足し、「オムツメーカーのリブドゥコーポレーション(大阪市、宇田正社長)の営業担当者と私達の目指すケア、メーカーの開発意図、正しいオムツの使い方について、何度も繰り返し話をするうちに、私達のオムツの知識も広がり扱い方や使い方が変わりました。さらに私達の希望に応えてもらえる提案もいただけるようになり、排泄ケア、排泄委員会の活動もかわってきた」と、淡路氏は効果と内実を明かす。

 芝田氏は、「たまたまリブドゥ社主催の研修会に参加させてもらって、入居者を力いっぱい抱きかかえたりするのではなく、人間の筋肉や骨格の働きを理解し、上手な接触と動きによって動作を助けることができる介助技術があることを知りました」と話す。その技術を本格的に学んだ芝田氏は排泄委員会の中で職員にこの技術を指導しながら「チカラ技ではなく、人の自然な動きを生かして介助することで、入居者のADLの向上を目指しながら介護職員の負担軽減も実現できている」と話す。

待ち望んだ「介護職の医療行為」

 同施設の平均要介護度は4・3。入居者の医療ニーズも日々高まってきているが「私達の施設では介護職の医療行為を認めてこなかった」と淡路氏。夜間の喀痰吸引ニーズは高かったが、そうした入居希望者には、適切な対応が可能な病院や老健への入居をお願いしてきたという。

 今回の法改正で、介護職に一部医療行為が解禁されたことについて「これが良いことか、悪いことか判断はできないが、暮らしの場で私達にできる行為が増えたことは確か。法制度が整わない中で、万が一の事故の際に最も傷つくのはスタッフ。法のもとで、必要な研修や体制づくりを進め、多職種が連携しスタッフみんなにやりがいを感じてもらえるような職場にするのは施設長の責任」と語る。経験則に固執せず、常に改善方法を検討しながら、ケアのあり方を考え続ける姿勢を実践している。

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  • コミュニティーホールの子供たち
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  • おしゃれなテラス

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