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プリズム・社説 プリズム(2016年8月10日号)2016年8月29日07時00分

 日本の高齢社会を根底から支えている社会保障制度は大改革中にもかかわらず、選挙争点にもならず7月10日、参院選が終わった。少子高齢化に真正面から挑み、消費拡大や子育て支援、介護離職ゼロをめざす「一億総活躍社会」の旗印のもとで、年金生活者に配られた3万円の臨時福祉給付金もあり、与党であることの強みを最大限活かした、自民・公明が議席を増やした。しかし衣の下から、社会保障改革論議を経て、昨年12月の改革工程表の策定まで落とし込まれた給付と負担の論議が、いよいよ始まった。

 7月20日の社会保障審議会介護保険部会で、「軽度者への支援のあり方」と「福祉用具・住宅改修」が俎上に上った。介護人材不足の中で訪問介護の生活援助をどうするか、デイと訪問介護以外の予防サービスを市町村事業化するのか。また用具については、アセスメント時の地域ケア会議の活用、利用者負担のあり方、外れ値の是正や適切な価格の用具を選択できる仕組み、貸与と販売の対象種目、住宅改修の最適化が、今後の論点に掲げられた。次回は、現在1割負担(上位所得者2割)の利用者負担を見直すかどうかの検討も始まる。

 介護保険部会での本格的な論戦は9月以降になる。それまでの間、高く上げられたこのアドバルーンに、国民や介護保険事業者、保険者などステークホルダー(利害関係者)がどう動くのかに、政府は固唾をのんでいる。提起された給付抑制策に各委員が慎重な発言をしたからと言って、それで決まる訳ではない。介護保険部会の委員の発言は重要だが、各業界の代表者の意見となれば、その方向で集約が図られるとは限らない。政治の世界では、黙っていることは、そうした方向での見直しを認めたことになるというのが習わし。決まった後からでは、何を言っても遅いのである。任せておいたら、それでよいと思う我々日本人だが、それでは超高齢社会を乗り越えて行くことはできない。

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