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プリズム・社説 プリズム(2016年7月10日号)2016年8月19日07時00分

 病気で片足を切断し戸建てにひとりで住んで、買い物、食事づくり、入浴、トイレを世話なしにがんばっている要支援2の女性が、6月23日、「どうする!介護保険制度の大改定」にゲストスピーカーとして登壇した。人前で福祉用具の必要性を訴えるのは、4月の大阪でのシンポジウムへの参加に次いで、2度目だ。しっかりした口調で、800人の聴衆に向かって、福祉用具を使えば、ひとりでも生活できることを説明。「福祉用具がなければ、私は生活できません」と話した。

 福祉用具サービスしかなかったトカラ列島の鹿児島県十島村に、数年前、待望の小規模多機能型居宅介護事業所が誕生した。以前は、訪問介護を立ち上げようと、ホームヘルパーの養成が行われたが、根付かなかった。心臓のバイパス手術をし、長くは歩けない島の女性が、介護保険の電動カートを使って、畑で作物をとって、家族のために調理をした。06年改正の給付制限によって介護ベッドが使えなくなった島の利用者の家にレンタル事業者さんに同行し、敷かれた布団を下ろして、ベッドを解体して、引き上げる作業を取材したこともある。他にサービスがなく、施設が必要となれば、鹿児島市内へ移るしかない島でも、心ならずも、貸しはがしをせざるを得ない状況があった。

 その小規模多機能ホームは鹿児島の事業者が開設し、管理者には若い介護男子が妻と一緒に赴いた。そこに最長老のシマさんがいた。シマさんのノートには、「頼るな 頼むな 自ら拓け」と書かれていた。島の介護男子は、シマさんの文字をカメラに収めて、ブログに載せた。編集子は、はるばる大阪から東京の日比谷野外音楽堂へ来たゲストの話を聞きながら、シマさんの言葉を思い出していた。

 福祉用具国民会議の「福祉用具を活用し高齢社会における自立促進実現をめざす」署名は、7月1日、21万1,160筆に達した。自立を求め、在宅生活を続ける思いの詰まった20万筆だ。

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