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プリズム・社説 プリズム(2015年9月10日号)2015年9月11日08時10分

  社会保障制度には所得再配分機能があり、当初所得がおよそ「年350~550万円」層は、社会保障制度などによる負担と給付を合わせた再配分所得が当初所得とほぼ同額になる。この層を境に再配分所得は所得が多ければ少なく、所得が少なければ増える。受給額と税・保険料負担額の差額は、所得50万円未満はプラス約300万円。一方、所得1,000万円程度ではマイナス約200万円。これで所得格差が縮まる。高齢者の多くは、社会の所得再配分機能によって日々の生計を維持し、医療費や介護保険料などを負担する

▼15年介護保険改正により、こうした応能負担の仕組みである社会保障制度に資産要件が導入された。8月から実施された「補足給付の見直し(資産等の勘案)」だ。施設サービス等で居住費と食費を低所得者に補てんする補足給付を、単身者1,000万円以上、夫婦世帯で2,000万円以上の預貯金を持つ人は受けられない。現在、預貯金等を把握する仕組みがなく、当面自己申告で対応する。しかし来年1月実施のマイナンバー制度(社会保障・税番号制度)において、今後、預貯金や不動産などの資産の把握が可能になると、「資産要件」は、社会サービス全般に拡大するだろう

▼介護保険の利用者負担割合も、所得上位20%にあたる、年間所得160万円以上の第1号被保険者(65歳以上)は2割負担になった。さらに財務省は、財政等制度審議会の議論を経て、軽度者の介護保険サービスに「原則自己負担(一部補助)」の仕組みへの切り替えを建議、政府の「骨太の方針2015」において「軽度者の福祉用具貸与等や生活援助の見直しを検討する」と集約された。これにマイナンバー制度が合体すると、一定以上の資産を保有する人は、「原則自己負担」が導入される可能性がある。我々には考えにくい社会サービスの10割負担だが、欧州などでは実施されており、イギリスでは、およそ400万円の預貯金があれば、デイサービスなどの利用者負担は10割だ

▼私たちは、社会保障制度の持続のために消費税率を引き上げ、将来の不安に備えて介護保険料を支払う。それで10割負担というのでは、制度の信頼はいっきに失墜する。すでに介護現場では、いざ実際に支払いとなれば、負担の大きさに利用者は戸惑い、利用制限も起きるのでは、とおそれる。10月になると、簡易書留でマイナンバーを記した通知カードがみなさんの手元に届く。

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