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プリズム・社説 プリズム(2015年11月10日号)2016年8月 8日07時00分

 日本社会は夫婦共働きがふつうで、若い夫婦にとって就労と子育ての両立が深刻になっている。保育所の整備や柔軟な勤務制度の導入など、子育て家庭の負担軽減のための社会的な支援が欠かせない。政府は社会保障制度改革論議を経て、高齢者とともに次世代の若年層を支援することを2年前に決めた。

  9月24日、安倍晋三首相は、自民党両院議員総会後の記者会見で、50年後の日本の人口を1億人に維持する「ニッポン一億総活躍プラン」を掲げた。現状で は2060年の日本人口はおよそ8,000万人(高齢化率40%)と推計されるのを、出生率を現在の1.4から1.8に高め、人口減少のスピードにブレーキ をかける。子育て待機児童ゼロ、幼児教育の無償化、多子世帯への重点的な支援、不妊治療の支援などの施策を進める考えだ。同時に「介護離職ゼロ」も打ち出された。

 「特に仕事と介護の両立は、大きな課題。介護離職者は年10人を超える。私は、介護離職ゼロという明確な旗を掲げたい」と、安倍首相。「介護施設の整備や介護人材の育成を進め、在宅介護の負担を軽減する」とした。

  これまでも特養の整備は、在宅重視の介護保険で進められてきた。都道府県や市町村にとって、今後一層増大する低所得高齢者の受け皿として、特養の整備以外 の選択肢を探すのは難しいからだ。全国の市町村がたてた2025年までの地域の介護ニーズを展望した第6期介護保険事業計画では、14~25年の間に、特養を54万人から74万人に、36%増やすことを目指している。同じ期間、在宅介護の利用者は352万人から491万人へ40%増える推計だから、両者の 伸び率に大きな変わりはない。首相の発言はこうした状況を踏まえている。

 18年改正に向けて、財務省は要介護2までを軽度者とみて、大幅な給付制限を提起しているが、これでは介護離職者は増大するばかりだ。高齢者と若い世代の幸福はけっして単純なトレードオフでない。軽度者にはニーズに見 合ったサービスを提供することが、要介護の重度化を防ぎ、若い世代の介護離職者の増大を抑えることになる。 

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