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プリズム・社説 「プリズム」 (2012年2月10日号)2012年2月21日02時30分

 10カ月がたった大震災を振り返りたい。「仙台のまちと海岸部とは天国と地獄ほどの違いがある。海岸部のメンバーは体も心も疲れ切っている。生かされたという思いだった」と、小規模多機能型居宅介護「実の里」武田賢作さん。仙台市に隣接する多賀城市の施設を津波が襲った。施設スタッフは胸まで浸かりながら施設の隣にある2階建てアパートに利用者を抱えながら逃げた。たまたま鍵のかかっていない一室があり、無断で全員が部屋へ入って生き延びることができた。その時大阪にいた武田さんはたどり着いた福島から仙台までの79kmを40時間かけカートを引いて歩いた。そこにいなかったことが「申し訳ない」という思いが迫った。そのあと、スタッフ10人で4班に分かれて避難所や自宅の利用者のケアにあたった。

 障がい者雇用をめざして設立された宮城の福祉用具企業、ジェー・シー・アイ。3・11を見越したように、昨年の書き初めで、佐藤隆会長は「絆」の一文字を記した。

 石巻の知的障がい者施設「ひたかみ園」は、福祉避難所として家族や職員も合わせて300人を超える避難者でいっぱいになった。職員も初めての人はどのような障がいや病気があって、どこに住んでいるのかも分からない。話されても、それが本当かどうか。服薬している薬から病気が分かるが、その薬もない。管理者の鈴木徳和さんは、不安やさみしさで落ち込んだ人たちの思いをしっかり聴いてくれる傾聴ボランティアがいてほしいと願った。

 名取市の特養「うらやす」で主任をする相原清隆さんは、甚大な被害が起きた夜、これからどうすればよいのか。家族が来た時に取り乱さないでおれるか。やることがあれば落ち着いた。吸引器の電池が切れ、真っ暗な中、唯一灯りがともった仙台東部道路の料金所まで歩き、充電をした。その暗闇の中で考えた。人の世界はジグソーパズルで成り立っている。人のことをもっと大事にしていこう。

 石巻市で障がい者の相談支援を仕事にする早坂明子さんは昨年、5月の連休明けから夏まで、全国からの来た相談員らと手分けして、1259人の障がいをもつ人たちを訪問した。避難所には居れず、残った自宅の2階で過ごす人も多く、精神の人は寝込んでしまった人と働き出した人の2極に分かれた。自閉症の人はいつものこだわりもなく、1本のロウソクの下でも家族とおとなしく過ごしていた。「きびしい状況をしっかり捉えているからでしょう」と佐々木さんと思った。

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