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特定福祉用具売れ筋ランキング②浴槽用手すり編

 「使用者の自立促進」「介助者の負担軽減」「安心安全」を求めて 特定福祉用具販売対象の「浴槽用手すり」は、住宅改修による浴室内手すり取り付けにくらべて、工事なしですぐ使えることや、申請手続きの手間がないことなどから、広く利用される。

「使用者の自立促進」「介助者の負担軽減」「安心安全」を求めて

 特定福祉用具販売対象の「浴槽用手すり」は、住宅改修による浴室内手すり取り付けにくらべて、工事なしですぐ使えることや、申請手続きの手間がないことなどから、広く利用される。メーカー各社とも、高さ調整や固定のしやすい機構を搭載するなど、メンテナンス性や安全性の高い製品開発を進めている。

浴室内事故防止や自立支援から注目

 地域や季節にもよるが、日本人の多くはお風呂好きで、特に浴槽に浸かることを好む人が多い。ただ、高齢者の場合、浴室内外の温度変化や、それに伴う血圧の変動による浴室内事故が多く、浴槽内での溺死等も発生している。こうした事故リスクを軽減し、可能な限り自立した入浴を可能にさせ、介助者の身体的負担を軽減する福祉用具として、特定福祉用具販売対象の浴槽用手すりがある。

 手すり設置としては、介護保険には住宅改修による手すり取り付けもあるが、事前申請が必要であることなど行政への手続きが煩雑であるほか、退院・退所などにより迅速な対応が求められること、今後のために住宅改修20万円枠を保持したい利用者・家族の思いなどから、特定福祉用具販売による浴槽用の手すり取り付けが選ばれている。

固定強度や安定感で競う

 ただ、使用過程で身体状況が変化し、寄りかかって使用するようになれば、想定以上の負荷がかかることも考えられる。

 また、購入時は選定・取り付け等をしてもらえるものの、福祉用具販売商品は買い切り商品であるため、定期的なモニタリングやメンテナンスが受けにくいこともある。
 こうした課題にメーカー各社は、在宅の浴室環境という制約の中で、最大限の安心安全と快適性の実現を目指した製品開発を進めている。

ニーズの多様化対応が各社特色に

 大手販売卸3社(ウェルファン、ケアマックスコーポレーション、豊通オールライフ)の売れ筋ランキングから、各製品の選ばれる理由を見てみる。

 浴槽用手すりの大半は浴槽壁を挟み込んで固定する方式だが、この固定のしやすさへの配慮も求められる。アロン化成の売れ筋「高さ調節付浴槽手すり」は、固定方式がダイヤル式で、締め付け過ぎになるとカチカチと空転することで、誰でも最適な状態で使用できる。

 身体状況によっては、手すりに寄りかかって使用することも考えられ、挟み込む方式の固定だけでは不安もある。パナソニックの売れ筋「入浴グリップ・バスサポーター」は、挟み込み固定とともに、浴室床への突っ張り棒を付けることで、使用者の幅を広げている。強度面で取り付け困難とされてきたユニットバスにも取り付けもできる。

 同居家族の入浴時には、手すりの出っ張りが気になることもある。幸和製作所の売れ筋「テイコブコンパクト浴槽手すり」は、幅16㎝×奥行21.5~27.5㎝と従来品よりコンパクト設計で、取り付けたままでもスペースを最大限使用できる。

 リッチェルの売れ筋「浴そう手すりコンパクト」も、手すりグリップ部を四隅に丸みをもたせた四角形とすることで、長辺を両手でしっかり握ることができるほか、洗い場側に無駄なスペースを占有しないようにした。

 イーストアイの売れ筋「NEWバスアームステンレス」は、ハンドルを回転させるだけで、工具なしの取り付けができるほか、湯気のなかでも手すりが認識しやすいオレンジ色を採用した。

見直される入浴の自立の重要性

 入浴の楽しさと快適さを、いつまでも、可能な限り自立してできるようにすることと、入浴介助に伴う介助者の負担軽減の両立は今後ますます重要になる。介護人材不足や、在宅での老老介護など家族介護力の低下は今後ますます深刻になっていくことが考えられる。

 デイサービスの利用が伸びたのも、多くの事業所が入浴介助を込みでサービス提供していることがあると分析される。翻っては、同居家族にとっての入浴介助の大変さの裏返しともいえる。国を挙げて進める介護ロボットの実用化に向けた取り組みの中でも「入浴支援」が重点分野としてあげられるほどだ。

 他方では、15年度実施の制度改正で、レスパイトケアとしての要支援者のデイサービスのあり方に、厳しい評価がなされた。

 家族介護の限界点を高める意味でも、自宅での自立した生活を浴槽用手すりなどの積極的な活用で達成するのは、そうした流れとも合致する。
(シルバー産業新聞2015年7月10日号)

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