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介護保険・行政【インタビュー】厚生労働省老健局振興課長 辺見聡氏2015年9月11日08時05分

高齢者の自立支援を実現できているか

軽度者の福祉用具の見直し

 政府の骨太の方針に盛り込まれた、次期改正での軽度者の福祉用具見直しなどについて、このほど就任した厚生労働省老健局の辺見聡振興課長に聞いた。

 ――政府の骨太の方針の中で、次期改正に向けて軽度者の生活援助や福祉用具貸与等の見直しの検討が盛り込まれました。

0901henmi.jpg 一般会計で国の予算は100兆円規模、そのうち3割強を社会保障費が占めている。今後、さらに高齢化が進んでいく中で、限られた財源をいかに有効に使っていくのかという観点からの検討事項だと認識している。

 介護保険制度の持続可能性や、現役世代と将来世代との負担のバランスなども踏まえつつ、社会保障審議会の場で検討していくことになる。

 ――財政審の意見書でも、生活援助と福祉用具・住宅改修については要支援から要介護2まで原則自己負担にするよう提案されています。

 我々としても、余裕のある形での制度運用は続かないという認識は持っているし、財政審の意見書もそうした観点からの提案になっている。ただ一方で、これから支援を必要とする高齢者が増えてくる中で、必要となるサービスとそのための財源を確保していくのも介護保険の目的の一つだ。どういう形にするのが効率的で効果的なのか、慎重に検討を進めていく。

 ――検討をする際、どこがポイントになるのでしょうか。

 福祉用具を使って、介護保険の基本理念である高齢者の自立支援をいかに実現できているかだと思う。そこができていないと、必然的に無駄ではないかといった指摘も受けることになる。

 様々な機種、機能をもった福祉用具がある中で、現場で専門職が連携を図りながら、自立支援に向けた福祉用具が有効に使われている。そうしたデータがあれば議論も深まるだろう。

 ――福祉用具だけの有効性のエビデンス(科学的根拠)を証明するのは難しいと思いますが。

 介護保険で福祉用具を原則レンタルにしているのは、状態像の変化に応じて、用具や期間を自由に変えられるメリットがあるためだ。そうした制度的なメリットを活かし、用具をうまく切り替えることで、軽度から重度までの在宅生活を支えているはずで、そこが分かるようなデータは必要だと思う。

 ただ、何%といった数字で出てくるものではないし、他の要素がどういう影響を与えているのかをある程度把握した上で検証しなくてはいけないなど、難しい部分があるのも事実だ。それはエビデンスではなく、単なる傾向に留まるのかもしれないが、大切なのは自分たちのサービスの特性や良さを、客観的に他の職種や国民に理解してもらう努力をしているかどうかだと思う。

 ――4月からの介護報酬改定の影響をどのように見ていますか。

 今回の改定によって事業者の倒産件数が増えていると言われているが、実際に4月以降の廃止届の件数をみると、前年とさほど差がない状況になっている。重要なのは提供されるサービスの全体量の変化だと思うが、請求事業所数も減っているわけではないので、現時点においては、改定の趣旨を踏まえて、事業者が努力してくれているのだと理解している。

 ――処遇改善加算の取得を届出している事業所の割合は6月時点で68%、3割強が届出をしていません。狙いである処遇改善が必ずしも図られていないのではないですか。

 算定率でみると、改正前と改正後でそれほど大きな差は出ていない。そのため、加算が充実した分だけ、処遇改善効果も出ているのだと考えている。多くの事業所に算定してもらいたいが、加算というのは取り組みをしている事業所を評価する仕組みなので、その趣旨を理解してもらって、事業所で取り組みを進めてもらいたい。

 ――現場で働く介護職員に対してメッセージを。

 高齢化が世界的に類を見ないスピードで進んでいる中で、わが国では介護保険という、施しの福祉ではなく、介護が必要な人が自らの意思でサービスを使うことを前提とした制度を導入している。それを支えているのは、現場の実践に他ならない。これからさらに高齢化が進んでいく中で、いかに高齢者を支えていくのか、世界が注目している。行政も現場も一緒になって、前例のないチャレンジに取り組んでもらいたい。 

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