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介護保険・行政財務省 軽度者の給付抑制を提起【本紙座談会】2015年9月11日08時00分

宇波主計官「重度者に重点化」

 本紙座談会で財務省宇波弘貴主計官は、財政健全化の観点から、軽度者(要支援から要介護2)の介護サービスを地域支援事業に移行させ、給付の見直しを図る一方で、福祉用具や住宅改修、生活援助については「原則自己負担」として、要介護度や経済状況に応じて一部補助する仕組みに見直すべきだと発言した。

軽度者の福祉用具貸与/生活援助 原則自己負担化(一部補助)

0901zadan.jpg 9月3日収録の本紙座談会で、出席した財務省主計局宇波弘貴主計官(厚生労働係第1担当)は、給付費増大と逼迫する国家財政の中で制度の持続可能性を高めるため、介護保険給付は要介護3以上に重点化すべきだとして、要支援~要介護2までの軽度者については、保険給付の厚みを薄くしていくべきだと主張。

 具体的には、介護サービスを地域支援事業に移行させ、サービス基準を緩和して価格を低下させるとともに、利用者のコスト意識を高め、事業者の競争を促す観点から、福祉用具や生活援助については原則自己負担に切り替え、要介護度や所得に応じて、一部補助する仕組みに切り替えるべきだとした。 

 本紙座談会は次期2018年改定に臨んで、「社会保障制度 軽度者の介護サービスをどう評価するか」をテーマに、財務省宇波主計官、岡山大学宮島俊彦客員教授(元厚労省老健局長)、ヤマシタコーポレーション山下和洋社長(日本福祉用具供給協会理事)が出席して開催された。

 席上宇波主計官は、本来は重度者から軽度者まで広く保険給付されるのが望ましいが、厳しい財政状況の下で、利用者が増大する現状では、より介護負担が重い重度者に給付の重点化を図らざるを得ないとして、軽度者に対する保険給付の厚みを下げていくべきだと説明。

 問題提起した軽度者の福祉用具の「自己負担化(一部補助)」については、「10割全て負担してもらう考えではないし、補助も保険財源から」としつつ、補助する割合については、予算執行調査で実態を把握した上で、今後、検討していくと話した。

 宇波主計官が問題意識として指摘したのは、福祉用具のスペックと価格の関係が必要以上に高止まりしている可能性や、住宅改修が個人の資産形成になる点。原則自己負担とすることで、「利用者にどれくらいの値段がするものか、コスト意識を持ってもらえるのでは」と説明した。

 給付見直しの根底にあるのは、「介護保険のあるドイツや韓国では要介護3以上が給付対象、要介護2以下はいわば自己負担で介護されている。たとえば、日本では要介護1のデイサービスは6,600円程度だが、利用者負担はその1割の660円程度と非常に安い」との認識。

 保険財政を支える側の国民とのバランスを考え、「急進的にはできないが、制度の全体的な方向として、将来的に給付の厚みを要介護度などに応じて、傾斜をつけていくべきではないか」との考えを説明した。

 具体的な検討は、来年2月から厚労省の社会保障審議会介護保険部会において行われ、年内に結論を得て、必要なら18年4月実施の介護保険法改正案に盛り込まれる予定。

 座談会の詳細は次号10月10日号で掲載します。

財務省 財政健全化計画等に関する建議(15年6月1日)

 軽度者に対する生活援助・福祉用具貸与等は、日常生活で通常負担する費用であり、原則として自己負担(一部補助)の仕組みに切り替える必要。軽度者の利用割合が高い住宅改修は個人の資産形成そのものである。利用者負担が原則1割となっている中では、利用者の価格考慮のインセンティブが低いため、競争原理が機能せず、価格が高止まりしている可能性。15年度から地域支援事業へ移行した予防給付(訪問介護・通所介護)についても同様の観点から見直しを行う必要。これらにより、事業者間の価格競争の促進と、サービスの効率化、産業の発展が図られる効果も期待できる。

 軽度者に対するその他の給付(例:通所介護)については、地域の実情に応じたサービスを効率的に提供する観点から、柔軟な人員・設備基準として自治体の裁量を拡大し、自治体の予算の範囲内で実施する枠組み(地域支援事業)へ移行すべき。その際には、メニューの統合等により、簡素で分かりやすい体系とすべき。

経済財政運営と改革の基本方針2015(6月30日閣議決定)

(社会保障をはじめとする公的サービスの産業化の推進)

 企業等が医療機関・介護事業者、保険者、保育事業者等と連携して新たなサービスの提供を拡大することを促進する。医療、介護と一体的に提供することが効果的な健康サービスや在宅医療・介護の拡大に対応した高齢者向け住宅、移送サービスなどのニーズに応じた新たなサービスの供給を拡大する。

(負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化)

 社会保障制度の持続可能性を中長期的に高めるとともに、世代間・世代内での負担の公平を図り、負担能力に応じた負担を求める観点から、医療保険における高額療養費制度や後期高齢者の窓口負担の在り方について検討するとともに、介護保険における高額介護サービス費制度や利用者負担の在り方等について、制度改正の施行状況も踏まえつつ、検討を行う。あわせて、医療保険、介護保険ともに、マイナンバーを活用すること等により、金融資産等の保有状況を考慮に入れた負担を求める仕組みについて、実施上の課題を整理しつつ、検討する。

 公的保険給付の範囲や内容について検討した上で適正化し、保険料負担の上昇等を抑制する。このため、次期介護保険制度改革に向けて、高齢者の有する能力に応じ自立した生活を目指すという制度の趣旨や制度改正の施行状況を踏まえつつ、軽度者に対する生活援助サービス・福祉用具貸与等やその他の給付について、給付の見直しや地域支援事業への移行を含め検討を行う。

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