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介護保険・行政18年医・介同時改定 社保制度改革議論はじまる2015年7月23日08時00分

 政府は6月30日、18年度の医療介護同時改定を念頭に、介護保険制度で「軽度者の福祉用具サービスや住宅改修、生活支援サービスの一般市場化の検討」「軽度者対象サービスの市町村事業への完全移行等の検討」といった内容を含む「経済財政運営と改革の基本方針2015」(骨太の方針)を閣議決定した。歳出抑制のため、安倍政権3年間の実績を基にした目安として「2018年度までの一般歳出の増加を1.6兆円」と明記。公共工事や教育関連等の見直し言及もあるが、少子高齢化の中で、事実上、社会保障制度改革が中心テーマとなる。

経済成長と9.4兆円の歳出削減

 骨子は▽20年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の黒字化を達成する▽16~18年度を「集中改革期間」と位置付ける▽中間目標として18年度にPB赤字を「対GDP比1%程度」に縮減する――など。

 「経済成長」と「財政再建」を同時進行させることとし、15年度時点での国・地方のPB赤字16.4兆円のうち、経済成長率2%(名目3%)によって7兆円の歳入増を達成し、残り9.4兆円を制度見直し等の歳出改革で削減する。

 前提は17年4月の消費税率10%改定の実施。当面は景気動向を注視しながら経済成長を促進。消費税率引き上げを実施し、18年度の医療・介護同時改正で大幅な歳出削減にとりかかることになる。ただし、時間軸について「予定された取り組みの前倒し実施も含め」とするなど、前倒し実施に含みを持たせた。

社会保障費増、年間5,000億円「のみ」認める

 懸案だった中間目標である18年度時点までの歳出増加は、社会保障分野などに限定して年間5,000億円程度を認める。高齢化を勘案したものだが、中期的な社会保障費の伸びの平均は年間1兆円程度であることからも、緊縮基調は今後も継続する。

 中間目標が当初案の「PB赤字額の対GDP比1%程度」のみでは、経済成長で歳入増になると、かえって歳出改革が骨抜きになるとの懸念に、一定程度配慮した。

社会保障分野の産業化と民間活力

 歳出削減がサービス不足・低下とならないように、社会保障分野の産業化を進めることなども明記された。

 具体的には「都道府県ごとの地域医療構想を策定。データ分析によって医療提供体制の差や将来必要となる医療の『見える化』を行い、それを踏まえた病床の機能分化・連携を進める」とし、既定路線である地域包括ケアシステムを受け皿とすることで、病院から在宅へ、医療から介護への動きを進めることを確認した。

 方策としては「マイナンバー制度の活用等により税・社会保険料徴収の適正化を進める」とし、中長期的に国民の資産状況の把握への法整備を進めながら、負担可能な人への負担強化をする方針を示した。

 ほかにも「健康づくり等を行う個人へのヘルスケアポイント付与等により、保険者、医療保険制度加入者双方の合理的行動を促し、頑張りを引き出す仕組みを拡充・強化する」「介護サービスについて、人材の資質の向上を進めるとともに、事業経営の規模の拡大やICT・介護ロボットの活用等により、介護の生産性向上を推進する」など、介護人材不足や健康づくり意識といった課題を逆手に、産業化を進める方策が多く規定されている。

 民間活力の活用に向けては「医療・介護、子育てなどの社会保障サービスと密接に関わる周辺サービスについて、民間企業等が公的主体と協力して担うことで、選択肢を多様化し、サービスを効率化する」とした。

子育て支援の重点化も

 一方で、社会保障費の世代間の格差をなくすため「子ども・子育て支援新制度を着実に実施し、量的拡充、質の向上に消費税増収分を優先的に充てる」も盛り込んだ。

 こうした歳出削減の効果として「社会保障給付の増加抑制は、個人や企業の保険料等の負担抑制で、消費や投資の活性化を通じて経済成長にも寄与する。広く国民の理解を得ながら着実に改革を進める」とする。

まったなしの財政再建

 そもそも財政健全化に向けた取り組みが注目される背景には、消費税率10%改定の先送りにより、社会保障制度改革の停滞懸念が広がったことがある。事実、海外の大手信用格付け会社のフィッチが、消費税率改定の先送りとその対応が見られなかったことなどを理由に、日本国債を1段階引き下げて「A」(上から6番目)にする等の動きも見られた。

 1,000兆円を超える国の借金に対し、政府の財政運営に不信感が広がれば、長期金利の上昇による国会財政の破綻につながりかねない。また、現在は金融緩和を進めているが、今後予想される金融引き締め(出口戦略)での金利上昇局面に備えて、歳出改革を成し遂げておく必要がある。


「プライマリーバランス(PB)」:国の歳出から国債費や地方交付税交付金等を除いた一般歳出のうち歳入と歳出の差。2013年度の一般歳出は53兆9,774億円だが、高齢化の進行に伴い、社会保障費が全体の約54%を占めるに至っている。財政健全化に向けた取り組みにより、10年度GDPに占める赤字割合が-6.6%だったものを、15年度には「消費税率8%実施」「報酬のマイナス改定」「経済成長」などにより半減させることに成功した。20年度黒字化達成に向けて、仕上げの改革が進められる。

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