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介護保険・行政【インタビュー】厚生労働省老健局振興課長 髙橋謙司氏2015年3月26日08時00分

「地域包括ケアシステム構築を進める3年間」

0306takahashi.jpg ――今回の介護報酬改定の基本的な考え方は。

 髙橋 今回の介護報酬改定は、2025年に向けて、地域包括ケアシステム構築の取り組みを進めていくための3年間だと思っている。その中で、基本的な考え方としては①中重度の方や認知症の方への対応の強化②介護人材確保対策の推進③効率的なサービス提供体制の構築――の大きく3つの観点から見直しを行っている。

 例えば、中重度の方や認知症高齢者の方への対応では、定期巡回サービスや小規模多機能などの包括報酬サービスに、事業者がしっかりと取り組めるような内容に見直したり、リハビリテーションでは心身機能だけでなく、活動や参加など、地域や社会との関わりを意識した報酬体系にしたり、看取りの部分では小規模多機能にも看取り加算を創設したりするなどの対応を図っている。

 介護職員の確保が大きな課題となっている中で、介護人材確保対策としては、処遇改善加算を介護職員1人あたり1万2,000円分拡充するほか、サービス提供体制強化加算でも、介護福祉士などの配置割合がより高い事業所を評価するなどの見直しを行っている。

 効率的なサービス提供体制の構築の観点からは、通所介護や小規模多機能などで、看護職員の人員配置の見直しなどを実施する。

 ――居宅介護支援の基本報酬については。

 髙橋 居宅介護支援では、これまで個別の加算だった独居高齢者加算と認知症加算を今回、基本報酬の中に盛り込ませてもらった。今後、認知症や独居の方の増加が見込まれる中で、そうした方々をきちんとケアマネジャーの方に支えてもらいたいという考えからだ。単純計算すると報酬が下がっているという指摘があるが、そこは財政中立で単価設定したので、計算上下がっているということはない。

 また、介護予防支援についても若干ではあるが基本報酬を引き上げさせてもらった。こちらは4月以降、各市町村で新しい総合事業が始まるためで、これまで以上に地域ごとのサービスの状況を把握してもらって、マネジメントしてもらう必要が出てくることなどを加味してある。

 ――特定事業所加算の見直しも行っている。
 髙橋
 特定事業所加算は、これまで2段階だったものを3段階に変更し、人員体制の強化など、事業所の取り組みをより細かく評価していけるような体系に見直させてもらった。

 その中で、特定事業所加算Ⅰについては、これまで中重度者の占める割合が「5割以上」としてきたが、現場からせっかく体制を作っているのに、中重度者の割合が厳しすぎて加算を取得できないという声があったので、そこは実態をみながら「4割以上」に引き下げさせてもらった。

 また、今回新たな要件として設定する法定研修の実習の受入れについては、ケアマネジメント全体の質を高めることに協力してもらう部分を、加算の中で適正に評価させてもらうという考えに立っている。居宅介護支援事業所の忙しさは承知しているが、実習を受け入れる体制をつくってもらいたい。

 ――デイサービスの報酬改定の基本的な考え方は。

 髙橋 中重度の方や認知症の方の増加が見込まれる中で、そうした方々の在宅生活を支えるカギになるのがデイサービスだと思っている。ただ、中重度の方や認知症の方を積極的に受け入れようとすると、職員の配置も通常より多くしないと、なかなか適切なケアができないなど、現場で苦労されている実態がある。そのため、今回の改定では、中重度者ケア体制加算や認知症加算を新たに設け、その部分を適正に評価するようにしている。

 また、個別機能訓練指導加算についても実際に利用者宅に訪問し、在宅の状況をしっかりと把握した上で機能訓練をしてもらうことで、少し評価を上げさせてもらっている。より効果的な機能訓練の取り組みをお願いしたいという意味合いからだ。

 ――小規模デイは報酬が大幅に引き下げとなっている。

 髙橋 小規模型通所介護の報酬単価については、スケールデメリットを考慮して、現行では通常規模型よりも17%近く高い報酬単価に設定してある。けれども、介護給付費分科会でも示した通り、最新の調査で管理コストの違いなどをみると、その差は7.8%に留まっていた。そのため、実態を踏まえて適正化させてもらった。ただ、今回の見直しでは、私どもなりに激変緩和はさせてもらっているつもりで、見直し後も通常規模型と比べ、10%以上の報酬差は維持させてもらっている。

 ――今後は定員18人以下が小規模デイになる。

 髙橋 小規模型通所介護の区分けをこれまでの平均利用延人数から定員制に見直したのは、16年度から小規模型通所介護が地域密着型サービスに移行するのに伴い、利用実績でコロコロとサービス類型が変わるわけにはいかないためだ。そこで、私どもなりにデータを取り、これまでの平均利用延人数300人以下にあたるところで定員を勘案したところ、18人以下という数字にさせてもらった。小規模型通所介護の地域密着サービスへの移行は16年度からなので、15年度からの1年間は従来通りの区分けのままだ。

 ――激変緩和という話があったが、予防デイは報酬が20%以上も引き下げになっている。

 髙橋 そこは小規模型通所介護の見直しとは考え方がまったく違う。介護予防通所介護はサービス提供時間の観点からの見直しであり、介護予防通所介護にはレスパイト機能までは求めていないという考えの下、通所介護の短時間の利用パターンと報酬の整合性をとらせてもらった。

 ――20分未満の身体介護を位置付けた狙いは。

 髙橋 訪問介護の時間区分に身体介護の20分未満を位置付けたのは、在宅で中重度の方の支援を促進する観点からだ。ただし、通常の訪問介護事業所が行う場合は2時間ルールの適用がある。一方、頻回に20分未満の身体介護を提供するような場合については、これまで通り、定期巡回サービスの指定を受けるか、もしくは指定を計画していることを要件にしている。さらに頻回型で要介護1~2の方々にサービス提供できるのは、定期巡回サービスの指定を受けている事業所に限定している。

 ――サービス提供責任者の配置基準なども見直している。

 髙橋 中重度の方を積極的に受け入れ、人員基準を上回る常勤のサービス提供責任者を配置している場合は、新たに特定事業所加算Ⅳで評価させてもらう。要件の中で、利用者80人未満の事業所に限定しているのは、小規模でも手厚い人員配置をしている事業所を評価していく考えからだ。

 一方、複数のサービス提供責任者が共同して利用者に関わる体制を構築している場合や、IT機器や技術などを活用することで、利用者の情報共有や業務の効率化が図られている場合には、サービス提供責任者の配置基準を「利用者50人に対して1人以上」に緩和する見直しも行っている。

 ――介護ロボットをどのように普及させるのか。

 髙橋 最近では、新しい技術を活用した介護ロボットも数多く開発されているため、必要に応じて介護保険の対象にすることを検討していく。保険給付の対象を見直す場合、これまでは3年に1度の間隔で行ってきたが、これからは必要に応じて随時、検討会を開催し、新たな種目の追加を検討していく。追加種目は介護ロボットに限定しているわけではなく、他の福祉用具についても同じだ。

 ――複数の福祉用具を貸与する場合の減額制の狙いは。

 髙橋 複数の用具を貸与する場合は、移送にかかるコストだったり、モニタリングのコストだったりを効率化できるため、予め都道府県にルールを届け出ることにより、通常の貸与価格から減額して貸与できるようにする。届け出のルールに関する中身は今後、示していくが、現状の価格の届け出にさらに細かい価格設定をしていくような形で考えている。

 ――処遇改善加算の拡充をどう捉えればよいのか。

 髙橋 新たな処遇改善加算(Ⅰ)の要件は、これまでもあったキャリアパス要件と定量的要件の双方を満たすこととした。現状と比べて極端にハードルを高くしたつもりはない。これだけ、人材確保が難しいと言われている中で、積極的に加算を取得して、処遇改善を図ってもらいたい。

 介護職員1人当たり月額1万2,000円相当の処遇改善が行われることを前提にしてあるので、これまで以上の賃金改善などが図られることが大前提。そこを何かしらの要件を設けて、徹底するかは検討中だ。

 ――3月11日で東日本大震災から4年が経過する。被災地の方々にメッセージを。

 髙橋 大きな被害があった中で、発災時の安否確認や避難誘導、その後も被災した方々の暮らしを支えてもらっていることに、感謝の気持ちと敬意を表したい。

 私も昨年夏に被災地の介護事業所を訪問させてもらう機会があった。当時の困難な状況やそれを乗り越えて、今まさに地域包括ケアを展開するための取り組みを進められている姿を見せてもらって、大変心強く感じた。支え合いのつながりが基盤となって、新しい総合事業にスムーズに移行できる自治体も出てきている。

 その一方で、今も仮設住宅などでの生活を余儀なくされている方もいる。そうした場所では閉じこもりがちになったり、コミュニティが分断されてしまったりなど、さまざまな懸念がある。

 そのため、私どもではサポート拠点を設け、相談員の方に被災者の方々の暮らしを支えてもらう取り組みを被災3県で続けている。また、介護事業で職員が足りない場合は、全国から応援職員に入ってもらうようなこともしている。これからも復興が一日でも早く進むよう、一丸となって取り組んでいきたい。

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