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介護保険・行政病床機能報告開始 医療機能再編が本格化2014年10月17日08時00分

 一般病床、療養病床を有する病院・診療所が、医療機能を「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4区分から選択する病床機能報告制度が10月1日より開始した。4月の診療報酬改定では7対1一般病棟の算定要件を厳格化し、かつどの病棟にも在宅復帰率が課せられるなど、病院から在宅医療・介護への流れが示されたが、同報告制度により各病院の目指すべき方向性が明確に打ち出され、病床機能分化と在宅への流れが加速することになる。

 4月の診療報酬改定の目玉となった病床機能再編と在宅医療の充実。7対1一般病棟を2025年までに現在の36万床から18万床へ絞り込むことが明記され、入院基本料の算定要件に係る患者重症度要件の厳格化や、在宅復帰率を75%以上とすることが設けられた。

 急性期から在宅へつなぐ役割として創設された「地域包括ケア病棟」は在宅復帰率70%以上、さらに療養病床にも在宅復帰率50%を要件とする「在宅復帰機能強化加算」を設けるなど、急性期から慢性期までどの段階からも在宅を目指す道筋が示された。

 入院基本料の経過措置は9月30日まで。今年10月からは、各病院が地域包括ケアシステムの中で担う医療機能の具体的な方向性を決定し、行政や在宅医療・介護事業者、地域住民に示さなくてはならない。それが病床機能報告制度だ。

病棟単位で医療機能を自己判断

 同制度は、今年6月に成立した「地域医療介護総合確保推進法」に伴う医療法の改正によって導入された。都道府県が地域の医療機能の現状把握と25年の医療需給を具体的に推計し、地域医療構想および医療計画に反映させるのが目的だ。

 一般病床、療養病床を有する病院・診療所は今年7月時点の現状、6年後の方向性、さらに任意で25年時点の方向性について、医療機能を都道府県に報告しなければならない。報告期間は10月1日から11月14日までとしている。

 厚生労働省は7月24日に開いた「病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会」(座長=遠藤久夫・学習院大学経済学部長)で同制度に関する議論を整理した。

 それによると、医療機能は「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4つに分けられる。急性期機能は、急性期患者の状態の早期安定化に向けて医療を提供。高度急性期機能は、さらに診療密度が高い医療を提供する。

 回復期機能は、急性期を経過した患者へ在宅復帰に向けた医療やリハビリを実施。特に、脳血管疾患や大腿骨頚部骨折等の患者へは、ADL向上等を目的としたリハビリを集中的に行うものとする。

 そして慢性期機能は、長期にわたり療養が必要な患者、および重度の障がい者、筋ジストロフィー患者、難病患者等の入院と定めた。

 病院内でも機能分化をはかる観点から、報告は病棟単位で行う。現時点では病棟ごとの医療情報が不足しているため、今年度に関しては各医療機能の明確な基準は設定せず、定性的なデータをもとに病院が自己判断を行う。来年度以降、報告内容を分析し数値的な基準を定めていく方向だ。

 また、同じ病棟でもさまざまな病状・病期の患者がいることから、報告内容には医療機能だけでなく①構造設備・人員配置②具体的な医療内容――も含まれる。

 ①については▽稼働病床数▽看護師数▽入退院患者数――など。②については▽全身麻酔手術件数や内視鏡下手術件数▽がん・脳卒中やその他重症患者への対応▽救急医療の実施▽退院調整加算や介護支援連携指導料等の加算状況――などが具体的な項目。レセプトデータを基本とする。ただし、現時点で「病棟コード」はないため、今年度に限り病院単位で報告を行う。

 有床診療所については1病棟と考え、病床数が19床以下であることから地域の多様な医療ニーズに対応しているとして、同省は医療機能の選択方法を例示。産科や整形外科等の単科で手術を実施している場合は急性期、在宅患者の急変受け入れや、急性期経過後の幅広い患者を受け入れている場合は急性期もしくは回復期、などとした。

 さらに有床診療所の病床の役割として▽病院からの早期退院患者を在宅・施設へ受け渡し▽病院機能を補完する専門医療▽緊急時の対応▽在宅医療拠点▽終末期医療――を実施しているかについても報告する。

 都道府県は報告内容をもとに、来年度以降に地域医療構想を策定する。さらに今後は、報告内容を分かりやすく加工し、地域住民、患者にも開かれた情報を公表することとしている。

 公表範囲については現在検討中。「平均在院日数や疾患別患者数、退院患者の状態像、救急車の受け入れ体制など、介護事業者にも有益な情報提供としたい」(同省医政局総務課)。

都道府県が病床機能を調整

 都道府県が策定する地域医療構想は、その地域でバランスのとれた医療機能の分化と連携を適切に推進するための目標となり、18年度からの第7期医療計画に盛り込まれる。

 主な内容は①25年の患者数(入院・外来別、疾患別等)②25年に目指すべき二次医療圏ごとの各医療機能必要量③②を実現するための施設設備、医療従事者の確保・養成等の施策――の3点。現在、同省は構想策定のためのガイドライン作成を進めており、年度内に発出される。

 都道府県は構想策定後、その実現に向けて、医療関係者、保険者等を集めた「協議の場」を設置。医療機関どうしが直接協議し、計画に沿った病床機能の調整を行うのが特徴だ。

 なお、協議だけでは進まないときや、協議の場そのものが設置困難なときは、都道府県が主導で病床数の調整措置を講ずることができる。新規病院については、地域で不足している医療機能を担うという条件を付け、開設許可を与えることが可能。また、既存病院が医療機能へ転換する際、転換先の医療機能が既に過剰な場合は、医療審議会での説明を受けた上で転換の中止を要請できる。

 さらに、稼働していない病床については、医療計画上特に必要がある場合を除き、医療審議会を通して削減要請を行うことができる。

 これらに従わない場合、都道府県は当該医療機関へ勧告を行う。それでも従わない場合は▽医療機関名の公表▽各種補助金や福祉医療機構の融資対象から除外▽地域医療支援病院・特定機能病院の承認取消し――などの措置が講じられる。

 同省は現在、「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」(座長=遠藤久夫・学習院大学経済学部長)にて▽医療需要、各医療機能の必要量の推計方法など、地域医療構想策定ガイドラインに盛り込む内容▽協議の場の設置・運営方針▽病床機能報告内容の情報公表のあり方――などを議論。来年1月を目途に取りまとめが行われる。

 なお、地域医療介護総合確保推進法では、消費税増収分を財源として、医療・介護サービスの提供体制改革のための新たな基金を創設。地域医療構想実現に向けた医療機関の施設・設備の整備や、医療・介護従事者の確保・養成が対象事業に含まれている。

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