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介護保険・行政社会保障改革担当にきく 給付充実し後世へのつけ回し正す2012年9月24日18時26分

 社会保障と税の一体改革の事務方として2010年10月から関連法律が成立した8月まで、内閣官房社会保障改革担当室長として粘り強く調整にあたってきた中村秀一氏。今後、消費税率を現行の5%から、14年4月に8%に、翌15年10月に10%に引き上げ、社会保障の充実を図る一方で、来年8月までに給付の重点化や効率化をめざす社会保障制度改革国民会議の議論も始まる。中村社会保障改革担当室長に一体改革のねらいと今後について聞いた。

縁深い消費税と介護保険

 消費税3%がスタートしたのは89年。その見返りとして、翌90年には介護基盤の充実を図るゴールドプラン(高齢者保健福祉推進10カ年計画)が始まり、特養やデイサービスなどの施設整備やホームヘルパーの養成などが行われた。97年には消費税率が5%に引き上げられ、2000年の介護保険制度創設に至った。今回、社会保障と税の一体改革として、10年10月に社会保障改革担当室が設けられ、約2年をかけて、消費税率の引き上げが決まった。

 社会保障と税の一体改革関連法は、消費増税関連2法、子ども・子育て関連3法、年金関連2法、社会保障改革推進法の計8法が、ねじれ国会の中で民主・自民・公明3党合意が行われて、6月25日衆院可決した。その後、8月10日参院で可決し成立した。正直、最後は冷や汗をかいた。今後、消費税は社会保障費の主要財源として、少子化対策も含めて、国も地方もすべて社会保障のために使われる。

社会保障費25年1・36倍に

 今年度の社会保障関連予算は109・5兆円。年金5割、医療3割、介護2割という内訳だ。109・5兆円は、日本のGDP(国内総生産)の22・8%を占める。団塊の世代が75歳を迎える2025年には、この社会保障費はいまの1・36倍の148・9兆円になると試算され、消費税はその大きな財源だ。25年までの年金・医療・介護の3分野の伸び率をみると、年金は17年に厚生年金の保険料率が18・3%の上限に達するため1・12%に止まる。これに対して、医療は1・54倍、介護は2・36倍に拡大する予測である。

「給付あって財源なし」見直し必至

 しかし、社会保障の充実とともに、制度を持続していくためにも社会の基礎となる財政の再建を行わなければならない。社会保障費は全体の60%が保険料、40%が税によってまかなわれている。このうち国税の40兆円の半分は借金だ。介護保険でみると、給付8兆円は保険料4兆円、国税2兆円、地方自治体2兆円の構成になるが、国の2兆円の半分の1兆円は借金であり、後世へのつけ回しが行われていることになる。したがって介護保険給付費の8分の1は、いわば「給付あって財源なし」というのが現状である。

社会保障制度改革推進法の動向

 関連法制のひとつ、社会保障制度改革推進法は、8月22日交付され、来年8月21日までの1年間の時限立法である。この推進法のもとで、内閣に社会保障制度改革国民会議が設置されて、持続可能な社会保障制度の確立を図るため、公的年金制度、医療保険制度、介護保険制度、少子化対策に関する改革の基本方針などを定める。税や保険料を負担する立場にたってばらまきは許されず、給付の効率化や重点化によって負担の増大を抑制していくことが求められている。

 2025年までには、現在約5000円の介護保険料は数回の改定を経て見直される。現状のままであれば、今後保険料1万円を超える状況もあり得るだろう。こうした保険料の限界がある中で、訪問系サービス、通所系サービス、施設サービス、福祉用具サービスなどそれぞれに、どこまで給付し、こぼれる部分をどうするのかという給付範囲の適正化について検討する必要がある。

 第1号被保険者の保険料など低所得者対策は行わなければならない。 今回の消費増税はねじれ国会の下で成立した。政権交代は今後もありうる。政権交代によって国民の生活に直結する社会保障制度が揺れ動くことは決して良いことではない。党派を超えて、社会保障政策が論議され、合意されるようにしなければならない。

対処要する大都市の高齢化と人材の確保

 私がいま特に懸念するのは大都市周辺の高齢者の急増だ。これまで高齢者数の伸びは郡部が課題だった。大都市周辺は人々の価値観が多様である一方、コミュニティ機能が低下し、土地代も高い。介護保険施設の整備と合わせて、サービス付き高齢者向け住宅や特定施設など、高齢者の住まいの確保を急がなくてはならない。どのような住まい方をしていても、医療や介護を外から提供して支えていく、そうした地域包括ケアを進めなければならない。

 人的資源の確保も重要である。看護師は年間5~6万人育成されている。毎年高校を卒業する女性はおよそ55万人であるので、看護師はその1割を占めている。労働市場での看護師のウェイトもすでにたいへん大きい。そうした看護師志向があるにも関わらず、医療での「7:1」の看護師配置などにより、在宅医療や介護に必要な訪問看護師は全看護師の2%に止まるというミスマッチが起こっている。一方では、OTやPTなどのリハビリ職は2000年当初は2万人程度であったものが、いまでは18万人まで増えた。2000年に始まった回復期リハビリテーション病棟はすでに6万床に拡大するなど、介護を支える状況も変わってきている。人的資源の確保はこうした状況を踏まえて充足を図っていかなければならない。

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  • 内閣官房社会保障改革担当室長
    中村秀一氏
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  • 社会保障費の将来見通し
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  • 社会保障の充実と重点化・効率化

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