ケアマネジャーはじめ介護・医療に携わる皆さまへ様々な最新
情報を深く分かりやすくお伝えする「シルバー産業新聞」です。

Care-new.jp

大中小 テキストサイズ変更RSS

シルバー産業新聞

介護保険・行政3種連携で地域医療の課題解決へ~岩手・釜石市2019年8月 5日16時29分

1907_kamaishi.jpg

 岩手県釜石市は2012年より地域医療の推進に取組む「在宅医療連携拠点チームかまいし」を運営している。行政と各職能との「一次連携」、職能間の「二次連携」、地域全体での「三次連携」に分け、地域課題と解決方法を抽出するのが特長。複数職種の同行研修や勉強会、情報共有シートの策定などを通じ、医療・介護職等の職種内・職種間連携を支援している。

地域医療崩壊への危機感

 チームかまいしの起点は07年に遡る。人口減少、医師不足による経営難で3月に釜石市民病院が閉院。もう一つの基幹病院、県立釜石病院に統合されたことがきっかけだ。同年6月、釜石医師会の主導で「釜石・大槌地域在宅医療連携体制検討会」が発足。90人近い医療・介護職が集まった。

 唯一の急性期で、基幹病院である県立釜石病院を守ることが、ここで合意形成された。

 同市地域包括ケア推進本部副主幹(「チームかまいし」連携コーディネーター)の小田島史恵さんは「『まちがなくなれば、我々の存在価値もなくなる』という医師会長の言葉が印象的だった」と当時の様子を話す。

 当時は地域福祉課で民生委員の対応等を行っていた小田島さん。11年の東日本大震災では医師会の災害対策本部長とともに、災害派遣チームのコーディネートにも奔走した。「釜石病院が残っていたからこそ、逼迫した状況の中でも受入れを進めることができた」。

 東日本大震災の翌年、まだ周囲がガレキだらけのときに「チームかまいし」を立上げ。厚生労働省の12年度「在宅医療連携拠点事業」のモデル事業に参画した。16年度からは地域支援事業の「在宅医療・介護連携推進事業」に位置づけている。

「言いたいことを言う」一次連携

 「チームかまいしの役割は、医療・介護の専門性が発揮できる環境、関係性を整えること。職種間連携でのストレス軽減、職種内の温度差の解消も重要な支援になる」と小田島さんは強調する。

 同市では地域医療の課題を①職種内②職種間③地域全体――の3つに分類。それぞれ一次・二次・三次連携という形で各課題を抽出し、具体的な解決策をはかる。「多職種が一堂に会する場は作ったが、そこから先、現場レベルでの連携プロジェクトが進まないといった声をよく聞く」と小田島さん。「異なる課題を、一つの場に混在させないことがポイント」だという。

 まず一次連携は、チームかまいし(行政)と各職種団体が「打ち合せ会」と称した場を設け、他職種がいない状態で事情や要望を自由に言ってもらう。「事業者や個人単位で連携に熱心でも、広がりがなく公正性も欠く。職能団体を窓口にするところが大切」(小田島さん)。連携のキーパーソン発掘にもなると、一次連携のメリットを話す。

 実際、一次連携がきっかけでできた団体も。「釜石リハ士会」は、地域のPT・OT・STの集まり。これまでリハ職の団体は全国・都道府県単位のみ、しかも3職種が分かれていたが、これを連携しやすい形にした。

課題解決へ動く二次連携

 二次連携は、一次連携で出た課題を解決するための職種間連携。同行訪問や合同研修会といった活動を通じて、主に職種間の相互理解を深める。

 実際にあったケアマネジャーと薬剤師との連携では、薬剤師会が「ケアマネの顔を知らない」「訪問のきっかけをつかめない」「患者の生活面で不安な点があっても、どこに相談すればよいか分からない」との意見が一次連携で出てきた。

 そこで二次連携では「ケアマネ薬科合同研修会」を開催し、顔の見える場をまず作った。また、在宅患者への同行訪問や、施設の介護職員向けに薬剤師の職能紹介も実施。その結果、薬剤師がサービス担当者会議に呼ばれる機会が増えたそうだ。

 特に薬剤師会は連携に意欲的で、医師との同行訪問研修も実施。「在宅患者の様子が良く分かった」「医師の診療がイメージできた」と他職種に対する理解度が深まったとの声が多く、同時に在宅での薬剤師の役割を実感する機会にもなったという。薬剤師による居宅療養管理指導の件数は14年度から伸び続けている。

 そして、三次連携は地域全体のコンセンサス形成の場。地域医療の役割分担やICTの活用、啓発活動などを行う。

 発足当時から、釜石医師会との連携はもちろん、医師・歯科医師・薬剤師の各団体(三師会)が毎年交流会を行うなど、顔の見える関係が構築されていたことも事業の後押しになっている。

 チームかまいしのスタッフは小田島さんを含め3人。ここに釜石医師会がアドバイザーとして医師を1人派遣し、4人体制で運用している。「行政の人員だけでは到底こなせる事業ではない。各職能団体の主体的な取組みがあるからこそ続けられている」(小田島さん)。

「介護保険・行政」カテゴリーの最新記事

シルバー産業新聞購読のご案内

発展する「シニアマーケット」の動向など、確かな業界情報はシルバー産業新聞から。

1年間(12回)
7,700円(送料・税込)
2年間(24回)
14,214円(送料・税込)
3年間(36回)
19,545円(送料・税込)

購読、書籍のお申込みはコチラ

  • 【お知らせ】電子版「シルバー産業新聞」
  • シルバー産業新聞申し込み
  • ハンドブック申し込み
  • SSL グローバルサインのサイトシール