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介護保険・行政西和賀町の健康づくり 予防で医療費削減2018年10月 3日20時22分

0904sawa2.jpg 岩手県西和賀町(人口5,880人)は県中央西部に位置する山あいの町で、高齢化率は50%。冬場は半年間、最大平均2mの豪雪地帯。故深澤晟雄村長を得て、1960年頃、国などの反対がある中で老人医療費無料化を実施、国保病院中心に保健・医療を推進して町民の健康増進を進めてきた歴史をもつ。05年に湯田町と合併して西和賀町となり、14年には、両町村の境界に、現在の「町立西和賀さわうち病院」(北村道彦院長、病床40床、常勤医師3人、歯科医師1人)を開院した。昨年10月、「健康は自分にとっても、家族にとっても、地域社会にとっても最大の財産」という「西和賀町健康づくり宣言」を行った。

数字で示すフレイル対策

 「フレイル予防のためには、食べて、動いて、参加すること」と北村院長。半世紀前に「生命村長(尊重)」と呼ばれた深澤村長の時代から、「めざせ!健康志向」に向けて、「人々が自らの健康要因をコントロールし、改善すること」(健康づくりのためのオタワ憲章・1986年)へ発展させる。

0904sawa.jpg 北村院長は、喫煙、高血圧、運動不足、高血糖、食塩摂取の5つの健康リスクを、町民がどの程度持っているかを調べた。

 同病院の人間ドック利用の男性153人の集計では、「現在も喫煙」47(31%)、「かつて喫煙」61人(40%)、「吸わない」45人(29%)だった。ブリンクマン指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)でみると、600以上31%、400~599が15%で「半数近くが肺がんのリスクにさらされている」。「ここ3年間では喫煙率の低下はなく、受動喫煙者も多く、対策が喫緊の課題」と院長。

 運動対策に関連して、要介護者を対象に通所リハビリを実施。1年以上利用者18人のうちで、運動機能評価が向上した人は、握力12人、動的バランス12人、開眼片足立ち8人、5m歩行速度8人だった。ADL(日常生活動作)は、バーセル・インデックスで、向上3人、維持15人、低下2人。介護度の変化でみると、向上4人、維持12人、低下2人だった。

 「健康寿命の増進のためには、フレイル対策が欠かせない。低栄養の人が多く、外来患者は毎回、体重を測定する。ただ薬をもらいに来るという外来ではいけない。食事の内容や喫煙習慣、運動習慣など、自分自身で改善できることが多い」と、北村院長。

在宅療養者月1で情報共有

 一方、医療と介護の専門職の連携が、在宅患者を支える大きな力になっている。月1回、毎週月曜夜開催の「地域医療連携連絡会議」には、病院の医師3人・歯科医師1人、総看護師長、連携室医療ソーシャルワーカーと、町内の開業医3人・歯科医師1人、行政から健康福祉課が参加し、患者ごとの治療状況が報告・検討される。月1回の薬事委員会には調剤薬局の薬剤師も入り、疑義照会や待ち時間調査結果の報告が行われる。同町では、在宅の療養者は地域の開業医が診るという分担を支える仕組み。包括支援センターやケアマネジャーは参加していないが、行政や包括支援センターとの協働も図られ、情報は共有されているという。

 「病院内に包括支援センターが併設されているのは大きな力」(北村院長)。利用者・家族の状況を知り、連携を取りもつ。 連携シートの利用は、医療側55%、介護側23%(17年度)で実施されている。病院からケアマネジャーや施設に出す情報は、「病名、入院中の経過、生活状況などの課題」「既往歴」「キーパンソンの連絡先」「主治医」「本人・家族の意向」「施設入所の申込み状況」「各種ADL情報」。病状が安定し、医師からそろそろ退院を検討してよいと指示が出た時点で第1報が出される。

0904sawa3.jpg 地域包括支援センターは役場内にあり、病院内に分室が置かれている。分室の主任保健師、中野真理さんは、「保健師の役割が地域の第一線から、どちらかというと政策中心になり、住民との距離が以前より遠くなった。地域にはまだ昔からの結(ゆい)が残っているので、その間に働き世代に顔をつなげていく。介護保険はチームで対応する方向であり、健康づくりの保健師の役割が大きい。歴史を戻していきたい」と話す。地域に働きかけて、リハビリ職が関わって、子どもから高齢者まで参加できるシルバーリハビリ体操を広げようと、リーダー育成を行っている。

4床を短期入院に

0904sawa4.jpg さわうち病院では、今年から「レスパイト入院(在宅療養者の短期入院)」を始めた。医療依存度が高く、家族の入院などにより在宅介護が困難な状況が発生した場合の対応で、開業医からの依頼を受けて実施するもので、病院の4床を充てた。入院中に、自宅での介護の見直しや家族指導を行い、ケアマネジャーやサービスの見直しも実施する。

 「保育所の待機児童はゼロだが、施設の待機高齢者は多い」と、町から出向する同病院の高橋光世事務長。町には老健施設(80床)と、特養(50床、短期入所10床)2カ所や、グループホーム、小規模多機能などがあるが、満床状況にある。施設利用が多いことで、18年度の介護保険料は、全国で9番目に高い8,100円になった。

 「老人医療費無料化で予防を強めて医療費を押し下げてきた歴史がある町(旧沢内村)だが、合併や介護保険制度創設などを経て、時代への対応が十分にできなかった面がある」と高橋事務長。町では、医療費負担の上限を設けて、1医療機関ごとに、入院月5,000円(別に食費1食460円)、外来1,500円の独自制度を設けている。

 西和賀町の町民1人当りの医療費は、16年度、国保一般は28.7万円(高い順で県内14位)、後期高齢者医療78.0万円(同9位)。「かつての沢内村のように、保健活動に力を入れることで、医療費の削減につなげたい」と、北村院長は抱負を語る。

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