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介護保険・行政東京都豊島区 「消滅可能都市」から「持続発展都市」へ2017年5月26日07時00分

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新サービス創設のキーは住民の理解

 東京都豊島区は人口29万人を超える大都市だが、日本創成会議が2014年に推計した40年までに20~39歳の若年女性が半減し、人口を維持することができない「消滅可能性都市」に、23区で唯一あげられた。発表を警鐘として受け止めた同区は、人口維持とさらなる地域活性を掲げた「持続発展都市」を目指し、女性にやさしいまちづくりや、高齢になっても元気で暮らすことができる施策を推進している。

 現在の同区の高齢者数は5万8,000人で、認定者数は1万1,600人。同区高齢者福祉課総合事業グループの山岸恵美子係長は、「25年やその先に備えるためにも、区民のニーズに沿った支援体制を着実に設計する必要がある」と話す。

区民からの手あげで訪問B型創設

 同区の総合事業は昨年4月より実施。当初は訪問・通所それぞれの現行相当型と訪問C型のみだったが、今年度から訪問B型もスタートした。

 総合事業の主軸として期待されながらも、実際に行うとなるとハードルが高い住民主体型サービス。同区の場合は、区民側からの手あげが端緒を開いた。「事業開始に踏み切ったものの、サービスが充実しているとは言い難い状況だった。さらなる多様性を持たせるにはどうすればいいかと悩んでいたとき、シルバー人材センターから『自分たちも何かしらの形で総合事業に携われないか』とアプローチしてもらえたことが、仕組み作りのきっかけだ」と山岸係長は振り返る。

 幾度も話し合いを重ね、できあがったのが「生活支援お助け隊」。区の実施する2日間(約10時間)の研修を修了した区民が利用者宅を訪問し、掃除やゴミ出しなどの生活援助を行う。

 ポイントとなるのは、訪問介護でのトラブルの火種になりやすい調理と薬の受け取りは提供しないこと。「同サービスのコンセプトは『ちょっとしたお手伝い』。より専門性が求められる支援についてはプロにお願いするという意識を持たせるため、線引きを明確にしたつもりだ」(山岸係長)。

 料金は30分300円、60分600円の2種類で、週に1回または2回利用可能。実際にサービスを提供した区民に支払われるのは30分の場合は500円、60分の場合は1,000円。差額は区が補助する。開始2週間の時点で申し込みは2件ほどきており、問合せも多く寄せられている。

 また、基本チェックリストで事業対象者となった人が訪問サービスを希望する場合は、原則同サービスを利用することとしている。

 16年度予算策定の際には区もこの展開を想定していなかったので、同年度内での研修実施はしいかと思われたが、なんとしても17年度からサービスを提供しようと、急きょ補正予算を組み対応した。そのため現在の担い手38人はすべてシルバー人材センター所属で、マッチングなど事務作業も同センターが担っている。

 山岸係長は「同世代の人が来てくれるというのは、利用者にとっては親しみやすいし、自分もこうなりたいと思ってもらえるなど、良い影響を与えてくれるのではないか」と期待を寄せる。

 一方で「もちろんそれ以外の区民も参入できるようにしていく。今年は専用の予算も取得したため研修の回数を増やし、積極的な広報活動も行う」と強調した。

A型にも積極的な住民参加

 また18年度からは基準を緩和した訪問A型も開始予定。特徴的なのは、専門性による分化を図るため、A型の枠組みの中に訪問介護員が提供する「としま介護予防訪問サービス」と研修修了区民が提供する「としまいきいき訪問サービス」の2種を設けることだ。

 前者の対象者は「主に生活援助が必要な人」としているが、後者は「生活援助が必要な人」。山岸係長は「生活援助のみを求めている人には、一般区民からの提供でも十分ニーズを満たせる。そこで補えれば、プロは身体介護を必要とする人へのサービス提供に専念できるなど、すべてのサービスを効率的に提供できる。住民にとっても、価格や求めている内容と照らし、自分に合った形を選べるメリットがある」と説明する。

 一方で、同じく研修修了者がサービス提供者となる生活支援お助け隊との差別化もはかる。基本的には両サービス従事者とも「介護保険制度の概要」「認知症の理解」など、介護職員初任者研修の簡易版のような内容の研修を受講するが、A型従事者は加えて「運営面の理解」「介護現場の理解」など、より事業的なトピックも受講する必要がある。生活支援お助け隊では不可能な薬の受け取りと調理の提供も可能だ。

 研修修了者の育成は年間100人ほどを目指す。山岸係長は「シルバー人材センターが手をあげてくれたように、行政だけで進めようとするのではなく、区民の協力を得ることが新たなサービス創設には重要。これからも区民からの理解をより深めていきたい」と意気込んだ。

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