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介護保険・行政長崎県の在宅医療 圏域の課題抽出・研修を支援2016年9月28日07時05分

 早期退院・在宅復帰支援において、長期療養を担う在宅医療の体制構築が急務だ。国は次期医療計画で在宅医療に係る指標を充実させる方針。介護との連携においては、15年度より市区町村の地域支援事業となった「在宅医療・介護連携推進事業」の整備状況を盛り込む検討をしている。長崎県と佐世保市の取組みを紹介する。

<長崎県> 圏域研修9月開始

 在宅医療・介護連携推進事業(以下、連携推進事業)は介護保険法上に位置づけられた市区町村の地域支援事業。▽地域の医療・介護の資源把握▽在宅医療・介護連携の課題抽出と対応策の検討▽切れ目のない在宅医療・介護の提供体制の構築推進――など8項目を18年4月には実施していなければならない。

 長崎県は19市町中8市町が15年4月に事業を開始。今年8月時点で佐世保市の6項目、対馬市、諫早市の5項目などが比較的進んでいるが、1項目も実施していない市町もある。県立保健所8カ所へのヒアリング結果では「地方医師会との連携が難しい」「情報共有に時間がかかる」などといった声も。同県健康福祉部長寿社会課地域ケア推進班の田島玲悟氏は「『実施』の基準が曖昧だという意見もある。連携推進事業と同等の取組みを行っていても、8項目に落とし込めていないのでは」と説明する。

 そこで同県は今年度、連携推進事業への支援研修を開始。6月に保健所と各市町担当者を集めた全体研修を開き、グループワーク等を通じて保健所(圏域)ごとに課題抽出、さらに今後行う研修企画を提出した。「全体研修で共通課題にあがったのは連携の具体的な手法。特に、退院支援ルールを求める声が多かった」と同氏は話す。

 医療資源の偏在化も重点課題の一つ。「大病院や急性期病院が集中し、事業の中心病院を模索する長崎市や佐世保市。一方、医療資源が不足している対馬、壱岐、五島、上五島の離島地域。地域差があるからこそ圏域単位の研修がより重要となる」と同氏は述べる。

<佐世保市> 情報提供書で病診連携

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 佐世保市は、同市医師会が12年度の在宅医療連携拠点事業に採択され、在宅医療の課題抽出に取組んできた経緯がある。13、14年度は県の基金で事業を継続。昨年度、連携推進事業へ移行した。

 初年度は課題抽出として協議会を設置し、在宅医療の進め方を検討。「在宅医の負担軽減」を課題に「在宅患者の急変時受入」と「退院連携」の2つの専門部会を立上げ、連携強化へ「情報提供書」を作成した。

 情報提供書を通じて、かかりつけ医と病院が自院の患者情報をあらかじめ共有。かかりつけ医から病院へは認知症の有無や治療に対する意思など、また病院からはADL、退院後予想される医療処置、介護保険の認定・申請状況などの情報を提供する。

 同市保健福祉部医療政策課の田中寛子氏は「カルテがある患者と同程度の情報を持っておくことで、病院側は緊急時等の受入れ対応がしやすくなる」と説明。かかりつけ医側も退院患者の医療・介護サービスへの円滑な移行に役立つと話す。

 また、介護施設等が利用する情報提供書も作成。基本情報のみ記入し、救急搬送時に容態を書き加え受入先の病院へ提出する。「当市は在宅より施設利用が断然多いため」と田中氏は説明する。各種様式は同市連携推進事業サイト「かっちぇて」(www.sasebo-zaitaku.net/)でダウンロード可。

 また、同サイトでは在宅医療に関わる医療機関や介護事業所等の検索・閲覧も行える。医療機関は訪問診療や往診の実施有無の検索ができ、結果は一覧と地図で確認も。掲載内容は事業者自らが更新する。

医療の選択肢に在宅を

 このほか、地域住民への普及啓発については「地域高齢者の困りごとをよく知っている人たちをまずターゲットにした」と同課吉崎康成課長。今年2月に民生委員約600人を対象とした講演会を開いた。今年度は県老人クラブ連合会を対象とする予定だ。

 「医療の手段に在宅があることを広めていきたい。ただ、在宅の提供体制が整っていないのも事実」と田中氏。そういった在宅医療の現状も含め、周知していくことを医師会と検討中だ。「ご自身の最期をどう迎えたいかを考えていただくきっかけを提供したい」(田中氏)。

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