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介護保険・行政在宅医療・介護連携 自治体7割以上が着手2015年12月17日08時10分

1204musashi2.jpg 14年6月の「地域医療介護総合確保法」成立で、15年度から自治体の新しい地域支援事業に「在宅医療・介護連携推進事業」が創設された。認知症施策や地域ケア会議の開催、生活支援の充実・強化とあわせて「包括的支援事業」の一つ。自治体が中心となり、多職種協働で在宅医療・介護を一体的に提供する体制構築をめざす。

 事業の柱は①医療・介護資源の把握②在宅医療・介護連携の課題抽出と対応策の検討③切れ目のない在宅医療・介護の提供体制の構築推進④医療・介護関係者の情報共有の支援⑤在宅医療・介護関係者に関する相談支援⑥医療・介護関係者の研修⑦地域住民への普及啓発⑧在宅医療・介護連携に関する関係市区町村の連携――の8つ。自治体は18年度までにこれらに取組む必要がある。

 厚生労働省が10月27日の「都道府県在宅医療・介護連携担当者・アドバイザー合同会議」で報告した速報値によると、8月時点で少なくとも1つ実施している自治体は1,240で全体の71.2%、うち8つ全て実施しているのは45(2.6%)。実施していない自治体は501(28.8%)だった。

 最も実施率が高い事業は②の「課題抽出」で43.5%。最も低いのは③の「提供体制の構築推進」で19.1%となっている。

武蔵野市 協議会と4部会で課題抽出

0003.jpg 東京都武蔵野市は、今年度より地域支援事業の在宅医療・介護連携推進事業に着手している。連携の課題抽出へ向け、まずは7月に協議会を発足。その下に4部会を設置し、連携ツールや研修等に関する実務的な議論をすすめている。

 8事業のうち①の資源把握に関しては、医療・介護サービスマップを今後作成する。新たに調査は行わず、既に存在する医療機関や介護事業所のデータベースをもとに整備をすすめていく。「医療圏域単位では『リハビリマップ』や、また高次機能障害、糖尿病など疾患・症状ごとの対応機関リストもある。これらを社会資源としてどう統合・活用するかが課題だ」と同市健康福祉部地域支援課副参事の勝又玲子氏は述べる。

 ②の課題抽出と対応の協議に関しては、同市は既に12年より「在宅支援連絡会」を運営し月1回、各職能団体や行政等が在宅医療・介護の課題を話し合う土壌ができていた。

 これをもとに今年7月29日、「在宅医療介護連携推進協議会」を発足し第1回会議を開催した。勝又氏は「事業が制度に位置づけられたことで、これからは明確な意思決定の場となる」と説明する。

 協議会は地域支援連絡会のメンバーをベースに現在17人で構成。在宅医療には障がい者や小児医療も絡んでくるとの現場の意見も踏まえ、障害部門の地域活動支援センター担当者なども新たに加わっている。

入退院連携シート・情報共有アプリの活用

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 協議会であがった課題に対し具体策を議論する場が▽入・退院時支援部会▽ICT連携部会▽多職種連携推進・研修部会▽普及啓発部会――の4部会だ。1つ目の入・退院時支援部会は③の「切れ目のない提供体制」に該当。今年度はまず、退院時カンファレンスを効率的に行うため、在宅側が医療機関へ求める情報を一覧にしたフォーマットを作成する。

 また、ICT連携部会は④の情報共有に該当。医師会内で使用している情報共有のアプリケーションを介護事業者や関係機関が使えるようにした。患者・利用者情報を扱うため、基本は主治医が介護事業者等を招待し、情報共有の1グループを作る。

 同課の山田剛課長は「ただし、連携の核は顔の見える関係。アプリに依存しないようにしなければならない」と強調。例えば、緊急連絡は電話で行うなどのルールを今年中に固める。

 ⑥の研修にあたる多職種連携推進・研修部会については、「多職種のグループワークを通じて、各職種の役割を共有する場にしていきたい」と勝又氏。11月末には「脳卒中」をテーマに第1回研修を実施した。「医療圏域単位で脳卒中の連携パスは既にできていたが、現場に聞くと連携パスのシートを見たことがないケアマネジャーも多かった」と山田課長。来年度は認知症をテーマ候補へ検討していきたいと話す。

 普及啓発部会は⑦の普及啓発に取組む。まずはかかりつけ医師・歯科医師・薬剤師への相談・受診を促す内容や、地域の医療・介護事業者の役割紹介などを盛り込んだリーフレットを年度内に作成する。「来年度以降は在宅療養に特化した普及啓発も検討している」(勝又氏)。

 各部会は月1回ペースで開催し、主に医療・介護の各職能・事業者団体の実務担当者が参加する。勝又氏は「協議会、部会での内容を各団体へ持ち帰って共有してもらえているのが大きい。行政だけが動いても実現は難しい」と述べる。

事業者向けの相談室を設置

 その他、⑤の相談支援については、7月に医師会内に「在宅医療介護連携支援室」を市の委託で設けた。ケアマネジャーの資格をもつ医療ソーシャルワーカー(MSW)が相談員として常駐。市内の事業所や関係会議にも顔を出し現場の声を吸い上げる。

 また、⑧の関係市区町村の連携は、脳卒中や摂食嚥下に関する圏域会議、隣の三鷹市と連携した「認知症連携の会」など既存のネットワークの具体的な活用を今後検討する。

 山田課長は「介護保険制度がスタートした2000年の段階で、ケアマネジメントを行う上での医療連携の意識は高かった」と語る。ケアマネジャーが医師とコンタクトが取りにくい現状を医師会へ相談し、情報のやり取りを行う書面様式の策定などに取り組んできた。

 また、同市内に6カ所ある在宅介護支援センターでは、ケアマネジャー向けの「地区別ケース検討会」を毎月実施し、うち数回は医師を招いて症例検討も行っている。「これまで取り組んできた関係づくりが、連携推進事業のベースとなっている」(山田課長)。

 勝又氏は「現場からは、顔を合わせる機会が増えたことや、何かあった際の相談先ができたことへの満足の声はいただいている。今後は『連携』をどう評価していくが大きな課題。会議の開催や資源マップの作成が最終目的ではない」と述べた。

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