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介護保険・行政香川県高松市 大西秀人市長 インタビュー(2)2012年2月20日17時02分

財政厳しくとも国保の二の舞は避け

 

――1号被保険料は現在の全国平均4160円が5000円の大台を突破しそうだ。

大西 社会保障に関して全国の市町村に共通する大きな課題は、まず国民健康保険財政の厳しさと負担の増大だ。それに加えて介護保険料もとなると、市民にどう理由を説明し、納得してもらうか頭の痛いテーマ。

 高松市を例に挙げると現在でも4742円で全国平均より582円高い。低所得者の最低保険料でも約3000円で1期の全国平均額を超えているのが現状だ。しかも第4期の上昇を抑えるために、すでに介護給付費準備基金は取り崩しており、次期計画では5000円を大幅に超える見込みである。

 国保の財源不足の深刻さは多くの市町村共通の課題であり、高松市でも一般財源からの基準外の補填金額は今年度で約23億円と小さくない。介護保険を国保の二の舞にしてはならないことも重要だ。市の広報で値上げの詳しい解説を掲載するのはもちろん、担当部局が関係先を回り直接説明しなければならない。

――2号被保険者の年齢引き下げや、国費の割合を上げて地方財政助けるという案もあった。

大西 医療保険は年齢層に関係なく誰もが利用するので幅広い年齢層から徴収するのはおかしくない。ただ介護保険料徴収を40歳からにしたのは、その年齢層から親の介護がはじまるという理由からだった。仮に介護保険料を20歳から徴収するのであれば、国民誰もが納得するだけの理屈が必要となる。それでなくても20歳代、30歳代は年金に不安を抱えており、子育てで出費も多い。これ以上若い世代に負担を求めるのは賛成しかねる。

 国費割合を上げる点については低所得者対策として考える余地がある。低所得者のセーフティネットワークづくりは、今の市町村にとって負担が大きすぎる。むしろ国の政策として積極的に進めるべきだろう。

 

所得の高い人が応分の負担をすべき

 

――介護職員処遇改善交付金は介護報酬に組み込まれ、総報酬割の4月からの実施も見送られそうだ。

大西 処遇改善交付金に関しては市長会として引き続き継続するよう強く求めていた。全産業の中で介護職員だけに交付金として国が給与を支給するのは理屈に合わず、事務員や看護師、ケアマネジャーなどがその対象になっていないのがおかしいことは承知している。しかし市町村の介護財源が逼迫する中では理屈に合わなくても交付金は継続してほしかった。ただ本体報酬に組み込むに当たり、加算方式にすることで確実に職員の処遇改善に回るような工夫を期待したい。

 総報酬割に関しては市長会としては賛成。所得の高い人が応分の負担をすることは社会保障の常識だ。もっとも総報酬割にしても国の財政負担が減るだけで、市町村にとっては財政的メリットはほとんどない。だから総報酬割で削減できた財源を低所得者対策に回してほしいという期待はあった。

――国は地域包括ケアシステムの構築を強く推進している。

大西 中学校圏域で在宅高齢者に対して必要なケアを提供するという趣旨には賛同する。都市型のシステムといわれるが、それぞれの自治体で住民に納得してもらえるシステムを構築すればよい。例えば高松市は施設系サービスが比較的充実しており、そのことを配慮した地域包括ケアシステムを考えればよいだろう。

 ただ地域包括ケアにはその地区に必要なだけの医療資源と医療系人材がないとシステムとして成り立たず、介護サービスだけが充実していても市民の安心した生活は保証出来ない。まさに医療と介護の連携が求められるシステムだ。

 現実的には医療計画作成の大部分は都道府県が担っており、市町村が描く地域包括ケアシステムづくりには都道府県との連携が不可欠。それがうまくいくかどうか懸念される。都道府県だけの考えだけで医療資源や医療人材を配置されると、市町村の地域包括ケアで医療連携ができなくなる恐れが出てくるだろう。

 その懸念を払拭するには結局、政府がしっかりと道筋をつくるしかない。財源問題などにしても市町村が工夫できる余地は少なく、最終的には国の政治がリードしていくべきテーマといえるだろう。 

(完)

<シルバー産業新聞 2012年1月10日号>

プロフィール

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全国市長会介護保険対策特別委員会 委員長

介護保険給付費分科会委員

香川県高松市長 大西 秀人 氏

 

 1959年生まれ。82年東京大学法学部卒業し、自治省入省。95年北海道財政課長、97年同地域振興室長。99年自治省税務局税務企画官。00年島根県総務部長などを歴任し、06年11月総務省情報通信政策局地域放送課長を最後に総務省退職。07年5月高松市長就任(現在2期目)。全国市長会副会長、財団法人日本都市センター理事長、中核市市長会副会。 

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