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介護保険・行政「CHASE」 誰もが低栄養リスクに気づけるように2019年10月 3日19時24分

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 厚生労働省は、利用者の心身状態やケア内容をビッグデータ化する「CHASE」の構築へ、7月に初期収集項目を策定した。項目は大きく①総論②認知症③口腔④栄養――の4分類。これまで不透明だったアウトカム評価を取り入れ、介護の質向上と事業所評価につなげるねらいだ。今号では「栄養」項目の策定に携わった愛媛大学医学部附属病院栄養部部長・利光久美子氏に、データ収集から期待される食事・栄養ケアのあり方について聞いた。

 ――「基本的な項目」で栄養は4分類最多の14項目が設けられました。

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 収集項目は「栄養マネジメント加算」の算定に必要なアセスメント内容をもとに抽出した。8割以上の介護施設が算定しているので、新たな収集の負担がかからないことも念頭に置いた。

 身長や体重、血清アルブミン値は、低栄養リスクをはかる上で基本となる項目。そこに提供栄養量や主食・副食の摂取量といった食事内容、さらに摂食・嚥下状況や食事への意欲、満足感などの食事観察を組み合わせた。

 ――これらの項目から分かることは。

 低栄養またはそのリスクにいかに早く気づけるかが最も重要となる。

 栄養マネジメント加算を算定している施設では、アセスメント結果はエクセル等で管理しているが、データが独立し分析に活用しきれていないのが実態。例えば「提供した食事のうち何%食べたか」(喫食率)が100%だったとしても、出されたものが「定食」と「うどん単品」では、摂取した栄養の質・量が異なる。

 また、あらかじめ利用者の身長・体重(BMI)や疾患から必要な摂取栄養量を出しておけば、実摂取量が妥当かどうか誰もが一目で分かるようになる。

 これら数あるデータの連携・計算を限りなく自動で行い、誰もが判断しやすい指標に落とし込むことで最適なケアを支援するのが、CHASE最大の特長と言えるだろう。

 例えば栄養の場合、「この数字が○%を下回ると低栄養のリスクがあるので、すぐに報告する」といった具合に、見るべき項目とアクションを起こす基準を明確にすれば、専門職以外でも安心してチェックが行える。

 さらに言えば、食事・栄養データは、介護の枠組みを超え、その人の一生を通じて活用されていくべきものだ。今回の取組みはもともと、政府の「データヘルス改革推進計画」に端を発したもので、医療・介護・健診でデータをつなぎ、本人の健康へ還元することが大きな目的となっている。

 その中で、栄養は年齢に関わらず、健診から医療・介護まで一貫した項目を収集できるのがメリット。食が細い人は何歳からサルコペニアが始まり、また認知機能が低下してくるかなど、低栄養以外のリスク分析にも生かしていけるだろう。

 ――項目を策定する検討会では、データ収集への負担を懸念する声も多かったです。

 収集項目の精査は今後も継続的に必要だが、CHASEを上手く利用すれば、逆に今より記録業務を軽減できるものも多いと考えている。

 今回の「栄養」で言えば、身長や体重はそもそも利用者の基本情報に含まれるべき項目。また、注釈にある通り、提供栄養量や摂取量は給食システムと連携させれば、重複入力を避けられる。

 さらに、「本人の意欲」「食欲・食事の満足感」「食事に対する意識」といった観察項目は、疾患や認知症状、その日の体調など、食事以外での生活情報を押さえておくことで、より実態を表したデータが得られる。

 ただし、これらは主に施設の話で、問題は在宅。居宅療養管理指導など管理栄養士が訪問していれば別だが、おそらくモデル事業でも、施設利用者に比べデータ収集率が低いとの結果が出てくるだろう。

 その際、例えば食事内容については絶対的な提供・摂取量ではなく、食品摂取頻度調査などからおおよその摂取量・栄養バランスを把握するといった代替的な手法も、検討していく余地はあるだろう。

 食事摂取頻度調査は「1回の主食量はご飯に換算するとどのくらい食べますか」に対し「1/2杯」「1杯」「2杯」と選択形式で回答するもの。訪問介護員やケアマネジャーでもチェックしやすい項目となっている。

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