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介護保険・行政熊本県宇城市総合事業 予防訪問・通所 4月までに移行2015年12月26日08時00分

 熊本県宇城市は今年4月より「介護予防・日常生活支援総合事業(新総合事業)」に取り組んでいる。予防給付を受ける人も順次更新を迎え、16年4月には「訪問介護」「通所介護」の全利用者が新総合事業に移行予定。同市では、同事業の前身となった、任意の旧総合事業から取り組んでおり「比較的スムーズに移行が進んでいる」(同市高齢介護課)という。

旧総合事業からの取り組みの成果

 熊本県は全国的に見ても、市町村事業である総合事業に先駆的に取り組む自治体が多い。12年介護保険改正で任意で始まった旧総合事業でも、宇城市のほか8市町が率先して取り組んできた。

 中でも宇城市はこれまでの総合事業に引き続き、今年4月より新総合事業を実施していて、16年4月までに予防給付サービス利用者全員が認定更新を受けることから、予防給付による「訪問介護」「通所介護」利用者の移行が完了する。

ボランティアによる生活支援も年内開始へ

 熊本県中部に位置する宇城市は、05年に5町が合併して誕生した人口6万1,000人の自治体。高齢化率は30.2%と全国平均より高く、高齢者の要介護認定率は19.8%。第6期保険料は6,000円。

 同市の新総合事業は①基準を緩和した「A型(訪問・通所)」②住民主体の生活支援サービス「B型(訪問)」③短期集中予防サービスである「C型(訪問・通所)」④一般介護予防事業⑤介護予防ケアマネジメント――の5つで構成する。

 B型は、年内に人材養成をした上で開始予定。ゴミ捨てや買い物などを想定し、1回あたり単価500円(利用者100円、公費400円)を想定する。

移行困難な人にはA型として「現行相当サービス」

1209uki.jpg 同市の新総合事業の特徴は、予防給付の指定事業者が移行する「現行相当サービス」を設定しないこと。旧総合事業より時間をかけて準備を進めてきたこともあるが、介護予防の効果を最大限発揮するため、効果的なプログラムを提供できる事業者に委託するという側面が強い。

 同市の通所A型の場合、健康づくり・介護予防支援の実践・研究に基づいたプログラムメニュー作成から、指導までを提供する企業に委託した。

 ただし、予防給付利用者の移行などのさまざまな理由で、A型への移行が困難と考えられる人のために、A型の類型ではあるものの、予防給付の指定事業者を「特例のデイサービス」として位置づけた。8事業所が指定されており、利用は原則週1回。単価は1回5,000円/人(うち利用者負担は1割ないし2割で、残りは公費)で、定期的な評価の実施や、個別支援計画作成等の条件が課される。

 9月末時点の利用者は、通所A型に相当する「元気が出る学校」32人、通所C型に相当する「筋力アップ教室」31人、指定事業所(「特例のデイサービス」=A型として現行相当サービスを提供)49人、一般高齢者事業40人。

基準緩和で「買い物難民」対策も

 基準緩和の内容も特徴的で、通所A型の場合、たとえば介護保険制度では自宅と事業所以外は認められない送迎を「希望者には帰りの送迎時に買い物同行」ができるようにした。地域性もあり、公共交通機関の不便さや、自家用車の利用ができない「買い物難民」への課題解決手段として、柔軟に対応するねらい。参加者の女性には「元気になって、買い物まで済まして帰宅できる」と好評だ。

 訪問A型は、サービス単価や基準等も予防給付と同額・同様に設定し、20事業所を指定した上で、必要であれば電球の交換や暖房器の出し入れ等もできるようにした。「ボランティアや住民主体のB型が普及するまで、生活支援サービスも請け負う」と高齢介護課介護保険係・森田伸一郎係長。

予防マネジメントは3類型・4種の報酬設定

 介護予防ケアマネジメントは、国の示す3類型のうち①「原則的なケアマネジメントA」4,300円②「簡素化したケアマネジメントB」3,500円/2,500円(身体状況等により2種)③「初回のみのケアマネジメントC」3,000円――の3類型・4種の報酬設定とした。①は介護給付も利用する利用者、②は新総合事業を利用する利用者、③は一般高齢者事業の利用者を想定する。

「通所A型」は健康づくり企業に委託

0006.jpg 実際の教室の様子はどのようなものか。通所A型「元気が出る学校」の開催される松橋会場は、市役所に併設した体育施設内で実施。運営は介護事業者ではなく、健康づくりのための運動指導やプログラム作成をする民間企業「くまもと健康支援研究所」(熊本市、松尾洋社長)に委託した。単価は1回5,000円/人(利用者負担500円、公費4,500円)。

 指導を担当していた健康運動指導士の山本由依さんは、参加者に「スクワット運動は、ご自宅でトイレをされるときに役立つ筋肉を鍛えることになります」と大きく呼びかけ、その努力の効果をわかりやすく説明しながら、参加者のモチベーションを上げていた。

 初参加者は体力測定を行い、在宅での生活等を個別面談した上で、卒業を目指す。参加者は、卒業までに定期的に計測・面談を繰り返し、卒業タイミングを詰める。

 目標期日までに体力や行為能力の向上を身につけることと合わせて、在宅での介護予防運動の意義、大切さを含めて習得してもらい、教室卒業後も在宅で運動習慣を継続してもらうことを目指す。取材当日も13人が参加していたが、うち3人は初参加者で、自己紹介をする光景が見られるなど、参加と卒業による利用者の入れ替えも頻繁。

 「実際上、介護給付と同一の運営者が運営する予防給付のメニューは、さまざまな制約もあって、介護予防に効果的な運動強度のプログラムになりにくかった」(森田係長)と、運動指導専門の事業者に委託した狙いを説明する。担当ケアマネジャーも駆けつけ、教室運営者と意見交換をする場面も見受けられた。

「通所・訪問C型」は病院の施設・スタッフに委託

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 通所C型「筋力アップ教室」は、宇城総合病院と済生会みすみ病院に委託して実施。運動器の機能向上を主眼に置いた教室で、運動強度は通常のシニア向けフィットネスクラブに近く、汗ばむほどの内容。単価は1回5,000円/人(利用者負担500円、公費4,500円)。

 運動自体はゴムボールやゴムバンドなどの手頃な用具を使用した内容で、教室参加日以外でも、在宅で実施できるように配慮。卒業までは4カ月クール。必要に応じて、自宅に訪問してのアセスメント(訪問C型)も1回3,000円(利用者負担300円、公費2,700円)で実施する。

 ただし、安全面や特段の配慮・管理が必要な参加者がいることから、理学療法士が常駐しており、安全面にも配慮された病院内での開催となっている。

 教室は、はじめの30分が「転倒予防の重要性」などの座学、60分の運動、20分の書き取りや計算等のレクリエーションといった3部構成となっている。

総合事業の改善効果の高さ証明

 森田氏は「利用者家族もよく制度のことをご存知で、総合事業になるとサービスが受けられなくなるのですね、と心配をされる声をよく聞ことが増えた」とした上で、しっかりと制度理解をしてもらえるようにこれからも丁寧な説明を心がけると話す。

 その上で、事業を通して言えることとして「総合事業参加者の方が、予防給付の利用者より改善が多く見られた」との効果も強調した。

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