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介護保険・行政消費税10%で「特養の収支差率、0.5ポイント悪化」2018年11月15日07時10分

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TKC全国会社会福祉法人経営研究会副代表幹事

税理士法人スクラムマネジメント代表社員吉田恵幸氏

 来年10月の消費税率10%への引上げに伴い、厚生労働省は介護事業者の税負担を補てんする報酬改定を現在議論している。課税費用の割合を算出し、基本報酬等の上乗せ額を決定する考え。税理士・公認会計士で組織するTKC全国会の中で、社会福祉法人の会計・税務・経営に精通する社会福祉法人経営研究会の吉田恵幸副代表幹事(税理士法人スクラムマネジメント代表社員)に、介護事業者の費用構造と消費税率引上げの影響を聞いた。

1105tkc.jpg 介護事業者の支出と収入にはそれぞれ、消費税がかかるもの(課税)とかからないもの(非課税・不課税)があります。介護事業者の費用の多くを占める人件費は「不課税」に分類されます。不課税とはそもそも消費税の適用とならないもので、減価償却費や寄附金、損害賠償金なども該当します。

 「非課税」は本来課税対象ですが、社会政策的配慮から課税しないと判断したもので、医療・介護サービスや学校の授業料、障がい者物品の販売などが該当します。ただ、介護事業者の費用で見た場合、非課税品目は保険料や土地・有価証券の取得支出などで、人件費と比べるとごくわずかな金額です。

 つまり、課税対象にならない費用はほぼ人件費と考えて問題ありません。これを除いた費用が課税費用となり、消費税増税の影響を受ける分となります。

給食委託費が費用構造に影響

 課税費用は大きく「事業費」と「事務費」に分類されます。事業費には水道光熱費や給食材料費、また特殊浴槽のリースといった賃借料が含まれます。また、事務費は主に修繕費と業務委託費です。業務委託費は多くが給食委託で、比較的都市部の介護施設で導入が進んでいますが、課税費用割合に影響を与えやすい品目の一つです。つまり、直営の場合は自法人で必要な調理師や管理栄養士等を雇用し、その人件費は課税対象にはなりません。これを委託に切り替えると、委託先の人件費は業務委託費に実質含まれ、一括で課税費用となります。

 一方、サービス提供に関してはほとんどが非課税収入となります。例外として▽特別な居室等の費用▽利用者の希望・嗜好による特別な食事(糖尿病等の特別食を除く)▽通常の実施地域以外で行う送迎費用、交通費▽特別な浴槽水――などは課税収入となります。

地域差・規模別の精査必要

 TKC全国会社会福祉法人経営研究会では、社福の決算書データを元に経営指標をまとめた「S―BAST」を毎年発行しています。税理士・公認会計士が毎月の巡回調査で精査した会計データを1年間積み重ねたもので、アンケートや聞き取り調査に比べ精度が高く、介護現場の実態に即した指標となっています。2018年3月決算度版は4,364拠点・8,252サービス区分のデータを収集・分析しています。

 S―BASTで特養のデータを見ると、課税費用の割合は平均28.35%、増減差額率は1.60%となっています。これを元に、収益はそのままで消費税を10%とした場合の費用を計上すると、増減差額率は1.04%と0.56ポイント低下します。

 特養の定員規模別で細分化しても、ほぼ0.5ポイント前後のダウンで有意差は見られませんでした。なお、グループホームや通所介護は、同様の計算で約0.4ポイントの低下となりました。

 もう一つ、地域別で増減差率を比較すると、概ね都市部よりそれ以外の地域が高い傾向が表れています。

 また、特養は従来型よりユニット型の方が高くなっています。こうした実態を把握していただいた上で、増額差額のマイナス分を十分にカバーできる基本報酬引上げを実施してもらいたいと思います。

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