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ケア用品住み慣れた家で移動を支援する「いす式階段昇降機」2015年11月 2日08時05分

 2014年の診療報酬改定では病棟機能ごとに在宅復帰率が設定され、早期退院・在宅復帰への道筋が示された。退院後も長期療養を必要とする高齢者は今後増加し、在宅では住環境の整備を退院・退所前から多職種連携で取組む必要がある。今号では住環境整備の一つとして注目される「いす式階段昇降機」の市場動向や種類、メーカー注目商品を紹介する。

生活空間を変えず安心移動

 昨今、都市部に見られる3階建て住宅はリビングや台所などが2階に設置されている場合が多く、階段は日常生活に欠かせない存在となっている。

 階段の上り下りが困難になると、例えば寝室をリビングや台所のフロアへ移動、また浴室・トイレを寝室フロアへ移す方法が検討される。しかし、居住環境の大幅な変化は改修費用や家族間の調整の手間がかかる上、かえって不慣れな生活動線による転倒等のリスクを高める可能性がある。

 いす式階段昇降機は、階段端に設置したガイドレール上をいすが電動で昇降し、座ったまま階段の上り下りができる移動支援機器。介護保険の対象外(一部自治体で補助金)ではあるものの、住み慣れた生活空間を変えなくてもよい点において、導入する家庭も増えている。

 安全性担保のため、ガイドレールによる階段昇降機の設置は建築基準法でエレベーターと同様の安全基準が求められる。機器本体は国土交通省の型式適合認定を取得したものに限られ、設置完了後は完了検査、および年1回の定期検査が義務づけられる。安心安全のため、メンテナンス対応もメーカー業務の一環となっている。

 これらを全てクリアしなければならず、国内の主要メーカーは4社程度。公式なデータは出ていないが、各社ヒアリングによると市場規模は年間4,000台、30億円程度とみられる。

多様な構造に合う曲線型のニーズ増

 いす式階段昇降機の種類は「直線型」と「曲線型」の大きく2つに分けられ、それぞれ屋内・屋外仕様がある。比較的安価で取り付け時間が短い直線型に対し、曲線型は家屋状況にあわせたオーダーメイドが基本。設計・製造・納品に1カ月は要する。

 曲線型のメリットは、曲がり階段や踊り場で進行方向が変わる階段、1階から3階へと多層階の移動に対応できる点。近年の住宅構造では、転落した場合の被害を軽減できるよう、踊り場を設けた「折れ曲がり階段」が増えていることからも、ニーズが高まっている。20年以上製造を手がけるシンテックス(栃木県さくら市、八木澤穣社長)では、10年前は生産台数の3割程度だった曲線型が、最近は直線型とほぼ同数になっているという。

 国産では、住宅特有の狭い階段幅に対応したコンパクトタイプが主流。家族が階段を上り下りする際に邪魔にならないよう、未使用時はいす部分やひじ掛け、足置きが折りたためる仕様がスタンダードだ。また、乗り降りしやすいよう、いすが回転する機種もある。

 安全面でも、さまざまなリスクを想定した予防措置を各メーカーがとっている。階段途中の障害物検知・自動停止機能や昇・降ボタンを同時に押すなどの誤動作時の自動停止、また安全キーを抜いておくことで未使用時の誤使用を防ぐものなどさまざま。

 また、最近の傾向としては屋外用への注目が高まっている。各社から、耐水性、耐光性を高めた信頼感の高い製品がそろったことと合わせて、通所系サービスや地域社会への参加が推奨される中で、屋内外の段差解消に注目が高まっている。

 戸建て住宅では、玄関アプローチに階段や曲線があるために、移動の障壁となっていることも多く、安価に対応する手段としても優れる。

自治体の助成金を活用

 設置費用の目安は工事費等込みで直線型60万円~、曲線型120万円~。一部の自治体では高齢者、障がい者に対する導入助成を行っている。対象者やその他要件、上限額は自治体によって異なる。

 東京都江戸川区は「60歳以上で要介護認定を受けている、車いす利用者(要介護4、5を想定)」を対象に、上限200万円までの設置費用を助成している。設置後のメンテナンス費用は自己負担。ただし、区の訪問調査で「寝室の移動等で対応可能」や「外出機会がない」などの判断により助成対象外となる場合もある。導入実績は13年度9件、14年度7件。

 また、台東区は住宅改修の横出しサービスとして、要介護2以上を対象に100万円(うち自己負担1割)まで利用が可能。同じ横出しサービスの「1階に居住を移すための床新設工事」のいずれかを選択できる(併用不可)。12年度より開始し、毎年度3件ずつの実績がある。

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