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ケアマネジャーケアマネジャーによる被災者支援 仙台市泉区2011年12月 7日10時08分

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  • 「ケアマネは助けられる情報をもつ」と千葉さん

地域包括で利用者情報集約し担当分け

 震災時に複数の居宅支援事業所がいったん地域の地域包括支援センターに利用者情報を集約し地区別に利用者を分けて各居宅介護支援事業所がそれぞれの周辺地域の利用者の安否確認や食料支援に当たるという状況が、仙台市泉区であった。利用者情報をもつ介護保険事業所の災害時の動き方として注目される。中心的な役割を担った「泉ふるさと村居宅介護支援事業所」(仙台市、小野寺敏直所長)のケアマネジャー千葉祥裕さんに当時の状況を聞いた。

 包括使って個人情報の壁破る

 「3月18日仙台市介護保険課に、独居や老々世帯の要介護高齢が脱水や栄養失調となり健康状況が著しく低下しているので、明日地域のケアマネジャーでおにぎりとペットボトルの水を届けるというファクスを送った」と、特養やデイサービスなどを展開する社会福祉法人泉白陵会(鈴木英雄理事長)の居宅介護支援事業所でケアマネジャーとして働く千葉さんが半年前の震災当時を振り返る。

 震災から1週間しない内に、利用者の支援に加えて、地域の避難所が解散されることになり、ライフラインの復旧が進まず地震で崩れた自宅へ帰らざるを得ない地域の人たちへの支援が地域の課題になった。食料品の買い出しや水の確保に外に出てならぶこともできない人が多い。ストーブが倒れて石油臭い家もあった。

 仙台市から施設へ市の福祉プラザに来れば食料品を渡すという通知があったが、ガソリン不足でもらいにいけない。被災者は数十万人に及ぶ状況で、行政を頼ってばかりではいられないと、隣町の町内会長をする千葉さんは、その人脈で米屋さんに相談したところ、地域の人のためにと30kgの米の無償提供を受けることができた。配送が問題だったため、周辺地域の居宅介護支援事業所と地域包括支援センター職員が集まり対応を検討し、みんなで地域の要援護者に水と食料を配ることを決めた。

 栗原市出身の千葉さんは08年6月の宮城内陸地震の折に地域での助け合いや全国からの様々な支援で助けられたことを経験している。

 支援の輪を組織化で信頼を

 まず「災害支援松森地区福祉ネットワーク」を立ち上げ、ネームプレートをつくった。各事業所から地域包括支援センターに独居や家族に生活力がない人、家が崩壊しているところ、そういう人の情報を出し合われた。集められたデータをもとに、おにぎりなどの配り先として「(放っておけない)やばい人リスト」がまとめられた。

 個人情報への配慮から、まず各事業所から地域包括へ上げて、地域包括が地域ごとに対象者を区分けして、地の利のあるそれぞれの事業所が分担することにした。このやり方が個人情報の管理上問題にならないことを、区役所に確認し了解を得た。地域で担当事業所を分担するため、担当していない事業所のケアマネジャーが訪問することになる場合もあることから、利用者に不審がられるおそれもあったが、ネームプレートが役立った。

 仙台市へ直訴FAX功奏す

 そして水・食料を配る前日、千葉さんは市役所に地域の現状と今回の対応を伝えるファックスを送った。「他の事業所といっしょに活動する以上、少しでも問題がないようにしなければならない」と考えたからだ。

 そこには「明日10時から55人の方を対象に自転車や徒歩で回ります。福祉施設、在宅系のスタッフ等の仲間もたくさん亡くなっています。その仲間たちの分も支援したいと思います」と書かれていた。

 おにぎりにかじりつく高齢者

 当日は、法人のデイサービス職員がおにぎりを握り、地下水をくみ上げて洗ったペットボトルに詰めたものを配った。「渡した瞬間、半数の人はおにぎりにかじりついた」と言う。

 仙台市から介護保険課職員がダンプに乗って300食の食料をもってもらえ、その後の支援に役立った。ファクスを送ったこと、受け皿の組織ができたことが仙台市からの物資支援につながった。

 助けられる情報もつケアマネ

 「ケアマネジャーは震災になると直接処遇をする立場でもないし、電話などの連絡手段を絶たれると役に立たない仕事です。しかし大切な利用者情報をもっている。利用者のためにこの情報を眠らせないで、活かすことです。助けられる情報をもっているのに、居宅介護支援事業所だけでは対応できない。地域包括支援センターを中核にした災害時のシステムさえできれば、各事業所は動きます。行政が束ねることで大切だと思います。」

 「今回の支援で地域の事業所には温度差がありました。いま動かず餓死者などを出したら必ず後悔すると言って協力を求めました。反省会時、みなやって良かったと話し合えたのがうれしかったです」

 千葉さんは「活動できたのは自分たちに直接的な被災がなかったからです。いまの熱い間に、行政主導の災害時支援の仕組みを地域の中にしっかりつくる必要がある。毎年3月11日には居宅系の防災訓練を行いたい」と話した。

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