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ケアマネジャー地域包括ケアシステム構築は団塊の世代が主体的に(3)2011年7月 6日08時34分

都会の問題を解決するために導入

 

――地域包括ケアシステムはよく都市型のシステムと言われます。地方は施設や人材の資源が乏しい。

田中 まさに都会型です。都会型という意味は都会優先ではなく、都会こそがこの先問題になるからです。

 なぜ地域包括ケアシステムが必要か。2025年に団塊の世代が全員75歳を超えます。高齢者が急増するのは東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県と愛知県、京都府、大阪府、兵庫県などです。1県で今より数十万人増える。逆に秋田県、鳥取県、島根県などはこの先高齢者はさほど増えません。そういう県はすでに出来上がっている現状の仕組みを改善していけばよいのです。今ある介護体制を包括的、シームレスにする努力が求められることは当然ですが。

 他方、都市部では地域ニーズや資源をきちんと把握し、互助、共助、公助を新たに構築しないとこれからの高齢者時代を乗り切れません。

――地域主権一括法の改正案が国会をとおりましたが、地域包括ケアシステムの構築にどのような影響を与えるのでしょうか。

田中 プラスになるでしょう。高齢者住まい法の改正もプラスです。大切なのは目の前の高齢者問題に対して緊急避難的に1個1個絆創膏を貼るような、医療保険の世界で行われてきたような改革にしてはなりません。介護保険は最初から理想像を打ち出しています。今度も地域包括ケアシステムという理想像を2025年に向けてつくろうとしています。そのために階段を一歩ずつ登っていけばよい。今年の目玉である複合型サービスとか定期巡回・随時対応型訪問介護看護はまさにその一歩です。

 

高齢者の安心は行政まかせではいけない

 

―2025年までにきちんと地域包括ケアシステムを構築できない市町村も出てくるのではないですか

田中 システムを構築できるかどうかは市町村の責任ではなく、団塊の世代の責任。安心して老後を送りたかったら、自分たちの責任で作り上げるべきです。

 団塊の世代はそれまでの世代と違って70歳、80歳と長生きすることが予め分かっている世代です。今の90歳の人はそんなに長生きできるとは思っていなかったでしょう。団塊世代は長寿が分かっているからこそ、自分たちの力で地域包括ケアシステムを構築しなければなりません。

――給付費分科会の委員も勤めておられますが、介護人材確保のための「介護職員の処遇改善交付金」に関しては、先生は介護保険に組み込むべきだという考えですね。

田中 大きな意味ではそうです。一挙に全部組み込むとか、何回かに分けるとか戦術論は別です。本質的には介護保険制度以外に別の給付体系があることはおかしい。介護保険はそれ自体で財源と給付を完結させる自立した共助の仕組みでなければなりません。

――解決策の一つとして総報酬割を導入すべきという意見があります。

田中 それには賛成です。社会保険という共助の仕組みでは総報酬割にすべきです。共助とはその人の経済力に応じて負担することが基本だからです。介護保険にかかわらず社会保障の根本的な原理と言えます。応分の負担によって社会が安定することで一番恩恵をうけるのは経済力がある人だからです。

――最後に全国のケアマネジャーにエールを送ってください。

田中 今回の大震災では、みなさんすぐに利用者の安否確認に走り回り、次の日からサービス確保に努められた。凄い力です。ケアマネジャーという新しい職種ながら、自分の損得ではなく、利用者のために動く集団であることを痛感しました。いざというときに利用者のためにという精神をもつ集団は高齢者にとってまさに心強い存在です。

<シルバー産業新聞 2011年6月10日号>

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プロフィール

 田中 滋 (たなか・しげる) 氏

 1971年慶應義塾大学商学部卒業、75年大学院商学研究科修士課程、80年同博士課程修了。75~77年ノースウエスタン大学経営大学院修士課程修了。81年大学院経営管理研究科助教授、93年教授。日本ヘルスサポート学会理事長、日本介護経営学会会長、医療経済学会理事、介護保険給付費分科会委員、日本ケアマネジメント学会理事等。 

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