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ケアマネジャー地域包括ケアシステム構築は団塊の世代が主体的に(2)2011年7月 6日08時34分

互助への参加意識を高めよ

 

――介護保険の給付範囲は。

田中 介護保険給付は科学的で再現性のある判定に基づき、プロしか提供できないサービスが対象です。ごみだしや電球の取替えはプロが提供するサービスではありません。ボランティアができることは先述の生活支援の一部であるのに対し、介護保険給付サービスはボランティアでは担当できない、訓練を受けたプロが提供するサービスです。両者は明確に区別しなければなりません。

 ただ家事援助だけは互助と共助の両者に含まれます。OTがシンクの高さを変えたり、車椅子でも料理がつくれるよう工夫したりする。右手が使えない人に左手で調理を行えるようにする訓練は介護です。しかし単に食事を作り掃除をするサービスは生活支援に含まれます。

 ――地域包括ケアシステムにおける個人と社会保障、行政の役割を解説してください。

田中 地域包括ケアシステムの上位概念として、順番に自助、互助、共助、公助があげられます。この順番は大切です。社会は金銭的にも身体的にも自助が原則だからです。要介護度1の人は、見守りが必要かもしれないが自分で風呂に入り、体も自分で拭くことができます。

 それを見守り、買い物の付き添いや料理の手伝い、電球を取り替えるなどが互助にあたります。ごみだしができないからといって施設に入居していては社会的コストが非常に高くなります。今の日本は互助が十分に機能しておらず、これから発達させなければなりません。

 互助には高齢者も大いに参加してもらいたいですね。要介護1の人が5の人の生きがいを支援する。コミュニティセンターで車椅子の高齢者が小学生の宿題を教えても良い。要介護に認定されたからすべてお世話を受けるのではなく、できる範囲で社会参加する。それが互助です。特に団塊の世代は参加意識を高めなければなりません。自分たちが社会資源であるとの自覚が必要です。

 共助とは介護保険と医療保険のように保険料を強制的に集め、それをプロに給付する仕組みを指します。看護師や介護福祉士、ケアマネジャーなどのプロにしかできないことにお金を払う。

 最後の公助は共助や互助では不可能な項目が対象です。住宅費や食費が払えない人を対象に社会福祉機能を発動させる。あるいは駅前のバリアフリー化などは互助や共助ではできませんので公助で行う。

これら4つが重層的に組み合わされている姿を地域包括ケアシステムでは目指しています。

 

行政は地域の潜在的ニーズと資源を把握できていない

 

――地域包括ケアシステム実現の課題は

田中 現場のケアはこの10年間でかなり進化してきました。また介護保険などの政策は国際的に比較しても悪くない。事業所の数も増え、介護のプロも養成されている。現場は10年前まではお世話しかしない家政婦型介護が主でしたが、今は科学的なアセスメントを経た、プロの介護になりました。昔はなかったICF、ADLやIADLという言葉が普通に語られるようになったことは大変な進化です。

 では何がまだ日本で欠けているか。地域単位でケアの仕組みを一貫化させていくマネジメント力です。

 例えば多くの地域で末期がん患者に対する医療と介護の連携が充分にはできていません。在宅でガン末期の患者さんを診る医師は増えてきましたが、介護との連携はまだまだ希薄だと思います。それを連携して組み合わせるのがマネジメント力なのです。合わせて自治体に地域を経営する視点がなければ地域包括ケアシステムは構築できません。経営の根幹はニーズの把握からはじまります。

 ところが一部の自治体を除けば、これまでは顕在化された問題のみに対応してきたのではないでしょうか。潜在化ニーズや地域資源を拾い上げる工夫はマネジメントの基本だと思います。例えば引退した団塊世代は貴重な潜在資源なのです。その人数を把握し10分の1でもよいから地域包括ケアの中の互助に向ける。地域資源と地域ニーズを把握しそれをいかに組み合わせるかが地域のマネジメントです。今の仕組みでは介護が必要な、ニーズが顕在化した人を認定し介護するだけで、それでは共助しか機能できません。 

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