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ケアマネジャー利用者本位の食生活が基本 リスクを栄養ケアで回避2013年4月18日08時00分

 愛知県の知多半島で活動するケアマネジャーの奥村圭子さんは、管理栄養士の資格を有し、栄養の視点を取り入れたケアプランを実践している。

 食品会社に勤務時代、在宅の高齢者を支えたい想いを持つようになり、30歳で医療・介護の世界に飛び込んだ。最初は管理栄養士として病院、特養、デイサービス、有料老人ホーム、歯科クリニックなどを経験。5年前にケアマネジャーの資格を取得し、現在は訪問介護、看護、デイサービスなどを運営する「在宅総合センターメディライフ」(愛知県半田市)のスタッフとして、高齢者の在宅生活を支えるという想いを実現させている。

施設内連携で管理栄養士の価値を高める

 「特養で働き始めた頃はまだ栄養ケアマネジメント加算もなく、管理栄養士は食事を出すだけの職種だった」と奥村さんは特養時代を振り返る。栄養ケアが介護負担の軽減になることは病院での経験から明らか。そこで施設内の他職種へ分かりやすく栄養ケアの重要性を説き、徐々に協力体制を築いていったという。

 「椅子からずり落ちるなど身体機能の変化は介護職がよく見ている。放置すれば多くの人は立ち上がり困難に陥る。それを予測し、栄養ケアを実践すると、そうしたリスクを回避できるようになる」(奥村さん)

 認知症の場合でも体重減少が続くと、担当職員に継続的な観察を促す。体重維持には栄養補助食品が有効だが、それのみでは中性脂肪に変わるためリハビリで身体に負荷をかける必要があるなど、ポイントを絞って説明していった。

 特養がISO認証へ取り組んだことも連携を強めた。「医療的なケアに関する指標としてガイドラインと評価を設け、栄養と褥瘡、嚥下、感染症との関連性を示すことができた」と語る。

食べたいものは否定しない

 3年前からは「メディライフ」でケアマネジャーとして活動する奥村さん。在宅栄養とは「生活の中でいつの間にかケアが行えている状態」と表現する。

 本人が食べたいものは否定しない。ケアプランに組み込み日常生活の流れをつくる。その上で、食事回数増や栄養補助など新たな価値を加えていく。同時に「状態急変をきちんと予測し、栄養に加え筋力アップや口腔ケアを交えた対策を徹底しなければならない」と強調。体重減少が起こるとデイサービスを少しずつ利用しながら、急変の手前でショートステイを1週間集中的に入れるなど、リハビリを含めた身体調整を行う。認知機能の低下により拒食が始まりそうなときは、利用者同士が調理を行える小規模デイも活用する。

 「これから夏場にかけて注意しなければならないのは脱水。トイレに行きたくないため水分摂取を控える高齢者もいる」と奥村さん。特に日中独居の高齢者は要注意で、訪問時間を昼間中心へシフトする工夫などが必要だと話す。

栄養ケアをベースに個別ケアをさらに有意義に

 奥村さんは「在宅介護の現場をを知れば知るほどケアプランに栄養を入れる難しさを痛感している」と心情を語る。そして病院、施設、在宅における栄養ケアの目的の違いを説明する。

 「誤嚥性肺炎や褥瘡をどう治療するかが病院。微量元素や糖分調整の視点でデータに基づいてNST(栄養サポートチーム)が管理する。医師がいない介護施設は食欲維持と介護負担軽減が最優先。胃ろうが発生するだけで業務が大きく変わってしまう。そして在宅は内容よりもまず食べることが大切。栄養ケアを提供する専門職や食材が不足する環境で、本人や家族の負担とならない方法を模索することがケアプラン全体の課題でもある」

 4月からは名古屋の大学院で在宅ケアをさらに極める研究をはじめた。「栄養ケアのあり方に不安を抱えているケアマネジャーも多い。在宅での課題を一定の指標で共有できる栄養ケアシステムを作れれば、その先にある個別ケアがより充実したものとなる」と、これからの抱負を熱く語った。

  • 「栄養の課題はケア全体の課題につながる」と奥村圭子さん.JPG
  • 管理栄養士兼ケアマネジャー
    奥村圭子さん

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