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ケアマネジャーケアマネ研究大会in仙台 関田大会長インタビュー2019年5月29日16時48分

 6月6日~9日の4日間、日本ケアマネジメント学会研究大会が仙台で開催される。今年は日本老年医学会学術集会、日本老年歯科医学会学術集会など7学会合同での開催。大会テーマ「ケアマネジメントの課題とソリューション~ケアマネジメントの質向上・多職種協働・共生を目指して~」について、大会長を務める東北福祉大学特任教授・東北大学名誉教授の関田康慶氏に聞いた。

――大会テーマに掲げた「課題」「ソリューション」とは

0604sekita.jpg ケアマネジャーが抱える課題を提起するにとどまらず、課題解決への実例を検証、議論する場にしたいという気持ちから、「ソリューション」を加えた。

 課題の一つは、やはりケアマネジャーの資質をどう高めていくか。要介護者の多くは脳卒中や認知症などの原因疾患をもつため、医療の知識が一定程度必要だということはよく指摘される。ただ、知識を増やすだけでは、いずれはAIにとって代わることになるだろう。

 それよりも大切なのは、本人・家族から必要で意味のある情報を引き出し、そして多職種連携をコーディネートすること。これはケアマネジャーにしかできない役割だ。

 さらには、利用者から地域へ視野を広げることも求められる。例えばアセスメントの結果、24時間の定期巡回サービスが必要だと判断しても、そのサービス自体がない地域もある。この場合、他のサービスを組み合わせたケアプランは一義的には最適かもしれない。重要なのはその先で、「定期巡回サービスがない」ことを地域課題として提案できるか。地域ケア会議をぜひ活用してもらいたい。

 こうした取組みは、ケアマネジャー自身が地域のネットワークに精通し、地域資源をより把握できることにつながる。端的ではあるが、ケアプランにインフォーマルなサービスが組み込まれているかは、一つの指標となるだろう。

――ケアマネジメントの質の評価に必要なことは。

 ケアマネジメントのプロセスは①アセスメント②ケアプラン・担当者会議③サービス提供(介護事業所等介入)④モニタリング――に分解されるが、現時点でケアプランとその介入効果については十分なエビデンスが得られていない。条件設定を行うための因子が多すぎるのが問題だ。

 例えば利用者属性だけを見ても、年齢(65歳未満、65~84歳、85歳以上の3区分)、性別(2区分)、家族情報(独居、同居で介護が可能、同居で介護困難の3区分)を掛け合わせるだけで18通りに。ここに要介護度や疾病の有無、サービスの種類を加えると、少なめに仮定しても800分類以上になる。

 まずはこれらの実態をデータ化すること。そして分析にはICTやAIの活用が期待される。

――今大会ではAIやICTに関するプログラムも複数あります。

 医療では、抗がん剤の選択にAIが活用され始めている。AIはケアマネジャーと決して敵対する関係ではなく、使いこなすことで自身の知識・能力を補うツールとなる。ただし、AIはビッグデータが揃わないと運用が難しい。医療でも、数千ある疾病分類一つひとつに対し、数百のデータが集まらなければエビデンスは構築できない。

 しかし、介護現場ではまだまだ紙ベースでの記録が多く、これを積み上げたところで分析は行えない。アナログからデジタルへの方法論の転換が必要だ。今大会を通じてAI・ICTの有用性、そして現状の機能に対する課題について、ぜひ理解を深めてもらいたい。

 また、質の見える化は、人材育成にも貢献できる。特に、1人事業所や少人数の事業所では、同行OJTや外部研修を受ける時間がなかなか作ることができない。事業所内の経験知に加え、今後有効活用できるのではと思う。

 ――研究大会は18回目で初の東北開催です。

今回は初日に7学会合同シンポジウムが9本あるなど、シンポジウムやワークショップを充実させた。ケアマネジメント学会プログラムでは、座長・演者など登壇メンバーの半数は東北6県から。各県ケアマネ協会にも協力いただいた。

 これまで東北開催がなかったのも理由の一つだが、全国約3,200人いる日本ケアマネジメント学会員のうち、東北6県はわずか100人ほど。ぜひ本研究大会への参加を通じて、ケアマネジメントの課題と解決を考え、具体的に取組んでほしい。その結果として、会員増につながればと思う。 

 また、今年は「大規模地震災害への対応」をシンポジウムの一つに設けた。南海トラフの大地震が間もなく起こると予想される中、震災被災地としての経験を踏まえた対応・教訓を伝えたい。復興支援も兼ねて、全国から足を運んでいただけたらと思う。

東日本大震災では、ケアマネジャーも利用者などの安否確認に奔走した。ただ、介護保険サービスを利用しておらず支援が必要な虚弱の人や軽度認知障害(MCI)には、支援が十分に及ばなかった。個人情報保護と災害時救済との関係をどうするかも、問題提起したい。

<第18回日本ケアマネジメント学会研究大会in 仙台>

ケアマネジメントの課題とソリューション ~ケアマネジメントの質向上・多職種協働・共生を目指して~

【開催日】2019年6月6日(木)~9日(日)

【会場】東北福祉大学 仙台駅東口キャンパス/仙台国際センター/東北大学 川内南キャンパス

【大会長】関田康慶(東北福祉大学特任教授、東北大学名誉教授)

【大会HP】https://conv.toptour.co.jp/2019/jscm18th/

主なプログラム

6日(木)

東北福祉大仙台駅東口キャンパス:13時30分~16時30分 市民公開日韓国際ケアマネジメントフォーラム「コミュニティーケア・地域包括ケアのケアマネジメント」

7学会合同シンポジウム(仙台国際センター等):「認知症の人と家族への支援」「AIは超高齢社会の課題を救えるのか」「高齢者の地域生活における権利擁護を考える」「大規模地震災害への対応」「栄養・食べる力」「高齢者の住まいと生活支援」「高齢者支援における多職種連携」など

7日(金)

仙台国際センター:9時~9時10分 開会式

10時10分~10時50分 大会長講演「ケアマネジメントの評価の視点と質向上に向けて」

11時~11時50分 特別講演「今後のケアマネジメントを展望する」(白澤政和・日本ケアマネジメント学会理事長)

13時10分~14時 特別講演「認知症の治療と包括的介入の臨床神経学的根拠~」(目黒謙一・東北大学NICHe高齢者高次脳医学教授)

15時10分~16時 特別講演「地域包括ケアと地方創生のまちづくり」(唐澤剛・前内閣官房まち・ひと・しごと創生本部地方創生統括官、慶応義塾大学大学院特任教授)

シンポジウム:「ケアマネジメントの質評価」、市民公開シンポジウム「認知症在宅医療介護の課題と対応」、「地域包括ケアシステム構築におけるケアマネジメントの役割」

ワークショップ:「ケアマネジャーの人材育成」「医師との連携の課題と対応」「ケアマネジメントにおけるAIのあり方」、「ケアマネジメントとICTの活用」、「ケアマネジメントにおける多職種連携」、など

7学会合同シンポジウム:「それぞれの地域包括ケアから見出す実践の知見と共通の理念」「医療介護のアウトカム評価」など

8日(土)

東北大学川内南キャンパス:9時~9時50分 特別講演「地域医療とケアマネジメントの連携」(前沢政次・夕張市診療所、北海道大学名誉教授)

9時15分~11時 シンポジウム「災害時のケアマネジメント」

11時20分~12時10分 特別講演「ケアマネジメントを巡る今後の課題について」(尾崎守正・厚生労働省老健局振興課長)

14時40分~16時10分 シンポジウム「ケアマネジメントと共生」

9日(日)

9時~13時 認定ケアマネジャーの会総会・全体研修会

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