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ケアマネジャー要支援者の市町村事業移行 「評価できない」56%2013年7月22日08時00分

■受け皿の確保、市町村格差の広がりを懸念

 要支援者に対する介護予防給付サービスを保険給付から市町村事業に移行させることについて、本紙が現場のケアマネジャーにアンケートを行ったところ、56%のケアマネジャーが「評価できない」と回答。特に受け皿の確保や市町村格差の広がりを懸念する意見が多くあることが分かった。一方、「評価できる」と答えたケアマネジャーも36%あり、現場では要支援者を市町村事業に移すことについて、評価が分かれる格好になっている。

 厚生労働省では、政府の「社会保障・税一体改革」の流れに合わせて、15年4月に介護保険の制度改定を予定している。4月22日には、社会保障制度改革国民会議がまとめた介護分野の論点整理で、要支援者のサービスについて「保険給付から市町村事業に移行し、ボランティア等を活用して効率的に実施すべき」との意見が出されており、次回改定で、要支援者のサービスのあり方が、どのように見直されるかに注目が集まっている。

 こうした中、本紙では5~6月にかけて、ケアマネジャーを対象に要支援者の見直しに関するアンケートを実施。全国のケアマネジャー121人から回答が寄せられた。

 質問で要支援者のサービスを保険給付から切り離し、市町村事業で実施することの評価を尋ねたところ、56%のケアマネジャーが「評価できない」との考えを持っていることが分かった。

 具体的な理由を自由記入で尋ねたところ、最も多かったのが市町村格差の広がりを懸念する意見。

 「軽度の高齢者は保険給付から市町村事業に移行しボランティア、NPOなども活用して柔軟効率的に実施すべきだと提案されているが、受けられる支援やサービスは全国一律ではないため、地域間格差が出てくるのではないか」(三重県、女性)、「市町村事業へ移行した場合、市町村格差が心配される。軽度の段階で必要なサービスを受けられないことで、かえって重度化することが懸念される」(福島県、女性)、「市町村によりサービスの種類や量にとても大きな差がでてくると思う。ボランティアも市町村によって量の違いや育成の問題もでてくる。国も要支援者を市町村事業に移すのは、受け皿が整ってからの考えだとは思うが、現在の介護保険給付と同じようなサービスの量や質がまかなえるとは思えない」(茨城県、女性)などの意見が寄せられた。

 市町村格差の広がりと同じ意味で多かったのが、受け皿の確保を懸念する声。

 「市町村が実施する事業で、今まで受けていたサービスが継続して受けられるか疑問」(千葉県、女性)、「市内のインフォーマルサービスや、ボランティア資源が乏しく、代わりはきかないと思う。引き続き予防給付でサービスを受けられるようにして欲しい」(茨城県、女性)、「必要なショートステイやデイサービスを使うことができなくなり、困る人がでてくる」(兵庫県、女性)などの意見があった。

 この他に多かったのが、専門職の立場から、要支援者を市町村事業に移行させた場合、かえって重度化を招く恐れがあることなどを指摘する意見。

 「現行でも、要支援から自立への連動したサービス提供ができている。切り離すことで連動性や地域での生活の継続性に問題が出るのではないか」(神奈川県、男性)、「現在の要支援1、2(特に2)の方が要支援状態でいられるのは、デイサービスなど、介護保険制度基準の下、専門家によるしっかりとしたサービスを利用できているからだと思っている」(兵庫県、女性)、「要支援者が市町村事業に移行された場合、現行のケアマネジャーが責任をもって個別に行っているマネジメントが行われるとは思えない」(三重県、男性)などの声が寄せられた。

■「評価できる」も36%

 一方、要支援者を市町村事業に移行させるのを「評価できる」と答えたケアマネジャーも36%いた。

 主な意見では、「要支援者は介護保険外のサービスを利用する場合が多く、市町村サービスを活用した方が実態に合ったサービス提供ができると想像する。ただし、要支援2と介護1の間の人や、介護保険サービスの提供が必要な人には、別途、対応が必要」(福島県、男性)、「要支援者と要介護者を同じデイサービスで支援していると、支援内容に幅があり、要支援者に充実したサービス提供ができていない場合があるので、要支援者は市町村事業で活動的に支援してもらうのが良いと思う」(茨城県、女性)、「要支援で元気な方もたくさんいる。そうした方の中に介護予防・日常生活支援総合事業で支援できる方も多くいると感じる」(三重県、女性)など、市町村事業でより利用者の実態にあったサービスを提供すべきという意見が多くあった。

 また、同様に多かったのが、制度の持続性の観点から、やむを得ないとする意見。

 「団塊世代が高齢期を迎える点を考慮し、若者世代の社会保障費負担の増加を考えると、要支援者を市町村事業に移行するという事は当然の成り行きと思う。公助の部分が破綻しつつある今、共助へと移行する現在は過度期のように思う。ただ、ケアサービス等における地域格差が懸念される」(茨城県、女性)、「介護保険の財源を考えると、方向性は仕方ないのかなと思う。ただ、要支援の方へも予防の観点から、サービスの必要性は感じているので、市町村事業に移行しても継続したフォローがなされることを望む」(兵庫県、男性)などの意見があった。

 このほかには、「保険給付の枠のサービスでは、できる行為とできない行為がはっきりしており、支援できる内容に限りがあるため不満の声も聞かれている」(福島県、女性)、「市町村が実施した方が、ボランティアなどの資源も多く取り入れることが出来るし、市の特色を生かして、より自立にむけた取り組みが期待できる」(茨城県)などの意見も寄せられた。

 今回のアンケートから、要支援者を市町村事業に移すことについては一長一短あり、現場では評価が分かれていることが分かった。

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