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ビジネス【インタビュー】やさしい手 中村徹也関西統括部長2014年12月16日08時05分

「定期巡回サービス 同一建物減算導入の影響を懸念地域展開を強化」

定期巡回サービスの普及「地域の理解」不可欠

1204yasashi.jpg 定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービス(以下、定期巡回サービス)について、次期改定の議論で最も懸念しているのは同一建物減算の導入だ。他のサービスに揃えるのなら、事業所と同一建物に居住する実利用者が月30人以上の場合、10%の減算となる。当社ではフランチャイズを除けば、定期巡回サービスを11カ所運営している。そのうち8事業所はサービス付き高齢者向け住宅などに併設している。

 対策としては、これまで以上に積極的な地域展開を図っていくことに尽きる。地域の利用者を新たに獲得することで減収を抑える。そもそも定期巡回サービスは、中重度者を住み慣れた在宅で支えるためのサービスだ。当社はこれまでも、建物外の地域利用者の獲得に向けた取り組みを進めてきた。

 ただフランチャイズも含め18事業所を運営するなかで、定期巡回サービスの普及については「地域差」の存在を強く実感している。地域と建物内の利用者が半々という事業所もあれば、地域利用者は1ケタに止まる事業所もある。

 定期巡回サービスは移動距離やそれに係るコスト・労力などから、よく「都市向けのサービス」と指摘される。もちろん移動に関わる要素もあるが、定期巡回サービスに対する利用者や家族、ケアマネジャー、行政の受け止め方や姿勢も地域によってかなり異なっていて、その部分が地域展開の成否に影響しているように思える。

 例えば、経済的に余裕のある世帯が多い地域では、利用者や家族の意向として、定期巡回サービスの利用よりも施設入所へのニーズが高い傾向がみられる。

 また計画作成責任者の存在や通所サービス利用時の減算など、これまでのサービスにはない仕組みに、抵抗感や不安を覚えるケアマネジャーもいる。定期巡回サービスの普及に熱心な自治体では、地域のケアマネや事業者を集めた説明会や勉強会を自治体主催で行っている。こうした地域のケアマネは利用者の自宅で支える手段として、積極的に定期巡回サービスを活用している。

 将来的には減算に止まらず、同一建物内の提供は別建ての報酬に移行する可能性も考えられる。当社が現在行っている地域に向けた説明会などを、今後は一層強化することで地域での普及に努めていく。ただ現実に一事業者の自主的な活動では限界もある。地域包括ケア構築に向けた国や自治体のさらなる取組みに期待したい。

夜間帯などのオペレーター機能集約化を検討

 一方で、オペレーター配置基準を緩和する案については歓迎している。厚生労働省の提案は、夜間帯などのオペレーター機能について、複数事業所での集約を認めるというものだ。当社は沖縄にコールセンターを構え、「あったか声かけサービス」という自費の高齢者向け見守りサービスを展開している。ケアコール端末による随時対応など、定期巡回サービスと重なる部分も少なからずある。

 改定案通りに進むのであれば、このコールセンターへの集約化を検討したい。当社では利用者情報を積み重ね、共有できる独自のシステムを構築しており、事業所でなくても柔軟かつ適切な対応をとる体制が整っている。

 通所サービス利用日の報酬減算割合の軽減は、実態にあった提案と評価している。現行制度では通所サービスの利用日において、通所サービスの利用時間に関わらず、一律で定期巡回サービスの1日あたりの所定単位数から3分の2相当額が減算されている。デイサービスに3時間いても9時間いても、減算割合が変わらないのは当初から疑問を持っていた。

 また厚労省もデータを示したが、通所介護利用日であっても定期巡回サービス事業所の訪問回数に差がないとする説明についても、事業者として同様の実感があった。送迎の介助を行う場合は、むしろ通所利用日の方が訪問回数は多いケースもあったように思う。

 減算割合を軽減する際、懸念されるのは、利用者の費用負担がこれまでより膨らんでしまうこと。区分支給限度額との兼ね合いで、通所サービスの利用を控えてしまうことも想定できる。そうした利用者に対しては、訪問回数・内容の見直しや安否確認のフォローなどの対応をしっかりと行っていきたい。

連携型事業所の課題は残ったまま

 訪問看護一体型の事業所でも、訪問看護サービスの一部を他の訪問看護事業所に委託できる案については、これまで訪問が難しいエリアなどもあったので緩和策として歓迎したい。

 しかし、当社の定期巡回サービスは1カ所を除いて連携型の事業所。連携型では、訪問看護事業所との委託契約を結ぶのが依然として難しい状況にある。特に報酬の低さがネックとなり、断られるケースが多い。訪問看護事業所が参入しやすいよう、報酬設定も含めた検討を次回以降の改定では行ってもらいたい。

 定期巡回サービスなどの包括報酬サービスについては、他のサービスを併用しやすいよう区分支給限度額を引き上げる提案もあったが、現在の審議をみると、その方向で進むのはどうやら難しいようだ。

 しかし実際に、要介護5の利用者が定期巡回サービスを使い、必要な福祉用具を借りると、訪問入浴を月に2回しか使えないといったケースもある。このとき利用者は定期巡回か訪問入浴かという厳しい選択を迫られる。いずれにしても、利用者が必要なサービスを使えるような手当てが必要だろう。

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