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ビジネス【インタビュー】エルフ(大阪市)福田光正社長2014年12月16日08時00分

「小規模多機能と小規模デイの棲み分け図る見直しを」

訪問介護20分未満の身体介護の見直し

1204elf.jpg 訪問介護は、従来から在宅への地域展開型サービスのみを提供しており、30分以上1時間半未満のサービスがメインとなっている。20分未満の短時間型身体介護は実施していない。短時間型身体介護は、夜間・深夜・早朝のおむつ交換や見守りなど、おもに集合住宅などへのサービスを想定したもので、今回の見直しは夜間・早朝・深夜帯の利用についても、日中と同様に一定の制限を設けることで、定期巡回型への利用移行を促していくものだろう。

 ただし、短時間型は、登録ヘルパー主体の事業者では対応は難しいが、一方で短時間型に特化した事業者が将来的に地域展開すれば、地域包括ケアのイメージで描かれるような、必要に応じ柔軟にサービス提供できるような存在になり得るのではないか。

サービス提供責任者の配置基準の見直し

 神戸市内に、道路を挟んで向かい合う形で事業所が並んでいる拠点をもつ。一方は比較的軽度利用者の多い訪問介護事業所であり、もう一方には小規模多機能や定期巡回サービスと併設した比較的重度な利用者が多い訪問介護事業所がある。前者の場合、サービス提供責任者の配置基準を利用者50人に対して1人以上に緩和する見直しは、より効率的な運営につながるため歓迎できる。後者では、現場にも出られるスキルの高い常勤者としてサ責を元々多めに配置しており、人件費はかかっているが、中重度者の重点的な受け入れはクリアできることから、特定事業所加算の新類型の要件を満たすことができる。軽度~中度に特化した滞在型の事業所と、重度者に特化した事業所を両立できる見直しだと評価できる。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護 オペレーターの配置基準の見直し

 神戸市で今年8月に開設した定期巡回サービス事業所は、現在地域展開型で利用登録者は3~4人。利用者の要介護度は3以上で比較的重度になっている。

 かねて、オペレーターの資格要件の緩和が行われないかと考えている。できればサ責の「3年以上の経験」を外してもらいたい。今の課題は、夜間のほとんど通報のない時間帯に、貴重な人材であるケアマネやサ責クラスの人などを事業所に確保しておく必要があり、日中の業務に就いてもらえなくなること。市区町村によっては、携帯電話を持ったオペレーターが自宅等で待機していてもよいところもあり、今回の複数事業所のオペレーターの集約を可能とする見直しによって、より効率的な職員の配置が行えると期待する。

同一建物居住者へのサービス減算の導入

 定期巡回サービスに、事業所と同一建物か隣接する集合住宅等の入居者へのサービスについて、人数に関わらず減算するという案が示されている。

 当社では、来年6月に神戸市でサービス付き高齢者向け住宅を開設する予定。そこへ車で15分ほどのところに自社の定期巡回サービス事業所があるので、直接の影響はない。

 最近、集合住宅居住者への訪問介護では、一人あたり月の介護報酬の収入は20万円ほどと聞いている。集合住宅で複数展開している場合、何カ所かはオーナーから建物を借りる形になるケースがある。いま大阪周辺では、利用者の家賃の値下げ合戦が起きていて、本来オーナーへ支払うべき金額よりも、2万円ほど安い家賃を設定しているところもあるようだ。そこで、自社の訪問介護事業所から入居者へサービス提供し、先に述べた月20万円の介護報酬から10%を当てて差額を埋めようというところもあるとも聞いている。今回の集合住宅等に対する訪問サービスへの10%減算は、そのような介護報酬での家賃の補填をするのではなく、入居者から適切な家賃を徴収しなさい、というメッセージも含まれているのでは、とも考えられる。

小規模多機能型居宅介護 訪問サービスの機能強化

 当社の場合、3カ所ある小規模多機能の訪問サービスについても地域展開型で、ある程度提供回数はあるので、訪問サービスを積極的に提供する体制を評価する見直しは歓迎できる。この見直しは、小規模デイの「お泊りデイ」にはないサービスへの評価なので、同サービスとの差別化を図る部分もあると思われる。現状、小規模多機能の訪問スタッフには資格要件がないので、訪問には比較的取り組みやすいのではないか。

同一建物居住者へのサービス提供についての見直し

 同一建物居住者に対するサービス減算をなくし、別建ての報酬を設けることは、実質、小規模多機能とグループホームやサ高住などを併設するサービス形態を認めたことと受け取れる。報酬は基本型よりも低く設定されるだろうから、前出の訪問体制強化加算と合わせて相殺されるような形となるだろう。当社でも一時期、小規模多機能の上階の集合住宅に、小規模多機能から訪問サービスを提供していたことがあった。当初は小規模多機能も泊まりと通いが中心だったが、次第に訪問が増えて集合住宅のご利用者が小規模多機能の通所にほとんど来なくなった。たしかに効率はよいが、集合住宅のご利用者には訪問サービスは定期巡回で、通いは小規模多機能でと、メリハリをつけた方がご本人にとってはよいのではないかと考える。

登録定員の29人以下への引き上げ

 登録定員の引き上げは、20~40床ほどのサ高住や有料ホームに併設して、入居者を利用登録者にしやすいようにということだろうが、通いの定員が15人のままでは対応が難しい面があるのではないか。

 今後は、小規模多機能と小規模デイによるお泊りデイの棲み分けをどのように図っていくのか。今回の見直しでは、その意図は感じられたが、今すぐに変わるような見直しではない。お泊りデイの必要性は認めるが、小規模デイが小規模多機能にとって変わるような状況は避けなければならない。滞在型の訪問介護と定期巡回サービスが明確に差別化されたように、小規模多機能と小規模デイにおいても、役割と評価を明確に分けるような見直しに今後期待したい。

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