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ビジネスランダルコーポレーション「スマートスロープ」 14年度GD賞2014年11月26日08時00分

 ランダルコーポレーション(埼玉県朝霞市、岡島正和社長、以下ランダル社)の車いす用可搬型スロープ「スマートスロープ」が、この度、2014年度のグッドデザイン賞を受賞した。スロープ上に黄色い矢印を施したデザインと、メンテナンス性・軽さ・丈夫さ・価格など、バランスの良い製品に仕上がっている点が高く評価された。開発に携わったメンバーに、受賞に至るまでの経緯や開発の舞台裏などについて聞いた。

20年ぶりに新型スロープを開発

1111rundal3.jpg もともとランダル社では、介護保険制度が始まる前から、レール式の車いす用スロープを製造・販売してきた。当時は競合も少なく、車いす利用者の外出ニーズに応える貴重な製品として、利用者から多くの支持を得てきた。ただ、近年はカーボンなどの素材を用いた折りたたみ式のスロープが人気で、それに合わせて同社のスロープのシェア率も低下してきたと企画開発課の植原貴久課長は背景を説明する。

 同社は福祉用具のレンタル卸業も展開しているため、折りたたみ式スロープの需要には、他メーカーの商品を仕入れて、レンタル・販売をしてきた。「ただ、営業部署からは、メンテナンス性や軽さ、丈夫さ、価格などのバランスのとれた製品を自社で開発すべきとの声が上がってきました」と箕輪匡行主任は振り返る。そうした市場からの要請と、「外出支援のための用具を新たに開発する」という同社の岡島社長の強い思いもあり、新型スロープの開発プロジェクトが2012年秋に立ち上がった。

 ただ、プロジェクトは立ち上がったものの、同社にとってはおよそ20年ぶりとなるスロープの開発。「ゼロからのスタートに等しかった」と植原課長が振り返るように、月1回開かれる開発会議で、営業部署と開発チームが議論を交わし、まさに手探り状態で製品のデザインやコンセプトなどを検討していった。

「アルポリック」で軽量・丈夫・低コスト

1111rundal.jpg 「スマートスロープ」の開発を語る上で欠かせないのが、建設資材の販売などを行うジーエーピー(東京都江戸川区、佐藤正満社長)の存在だ。同社では、かねてより建設資材の福祉用具への応用を模索しており、共同開発するパートナーを探していた。ランダル社で新型スロープの開発話が持ち上がっているまさにそのタイミングで、偶然にも同社の門を叩いた。この時、すでにランダル社では別の福祉用具メーカーと組み、新型スロープを開発する考えもあったが、同社の提案に魅力を感じ、共同開発することで合意した。

 このコラボレーションにより生まれたアイデアが、建設資材に用いられる「アルポリック」を活用したスロープの開発だ。「アルポリック」は、プラスチックの樹脂芯材にアルミ板を挟んで張り合わせたもので、従来のアルミ板よりも軽量かつ丈夫、低コストという特長を持つ。

 さらにスロープの走行面には、主に階段などに用いられる塩化ビニールの防滑床材のシートを貼ることなども決まり、建築資材をうまく取り入れた、これまでにない新しいスロープの開発へとつながっていった。

黄色い矢印施し走行位置明確に

 開発に着手してからおよそ1年後の13年9月に、「スマートスロープ」は発売の時を迎える。最大の特長は、折りたたみ式のスロープの中では最小幅の69.5㎝を実現したこと。細身設計なので、狭い間口などにも対応でき、使い勝手の良さが売りだ。

 ただ、幅を狭くした分、スロープ上での車いすの操作は難しくなる。そこで、生まれたアイデアが、車いすのタイヤが通る部分に、分かりやすく黄色い矢印をデザインしたことだ。車いすの利用者や介助者は、その矢印部分に、車いすのタイヤを合わせることで、安心してスムーズにアプローチできるようになる。

 開発者の桑折真輝さんは、「デザイナーと相談して、いくつかパターンを出して、最終的に黄色い矢印が視認性も高く、デザイン的にも良いということで決まりました」と、開発の舞台裏を明かす。また、矢印になっているため、スロープを開いた時に、どちらが上か下かが一目で分かるのもメリットだと説明する。

 このほか、スロープの先端部分の芯材にはアルミを使用。これにより、強度を保ったまま、先端部分を薄くすることができ、車いすのスムーズな乗り降りを実現。さらに、介護する人に女性が多いことに注目し、軽量化を図ることも心掛けた。

 サイズのバリエーションも多く、25㎝刻みで75㎝から250㎝まで取り揃えているので、様々な段差に対応できるなど、実用的な製品に仕上がった。

部品交換で対応などメンテナンス性重視

 「スマートスロープのもう一つの大きな特長が、メンテナンス性に優れていることです」。そう強調するのは、品質管理課兼流通課の久保田健介課長。同社にはレンタル卸業で培われた、メンテナンスに関するノウハウが蓄積されており、福祉用具貸与事業者にとって使いやすい製品というものを熟知している。

 そのため、「スマートスロープ」では、負荷がかかる部分には、強力な接着剤や留め具を使用。一方で、交換頻度の高い部品は、簡単に取り外せるような接着剤などを使用し、容易にメンテナンスができるように仕上げた。「多くの部分は部品交換だけで済むため、製品自体を長く使うことができます」と久保田課長は胸を張る。

 「軽くて、コンパクトで、賢く使える」。それらの特長を表すものとして、「スマートスロープ」という名称がつけられた。

目標としたグッドデザイン賞を受賞

 晴れて世に出た「スマートスロープ」だが、発売後も、スロープの先端部分の角度を変えたり、走行面の防滑床材シートの強度を上げるなど、現場の声に一つひとつ丁寧に耳を傾け、改善を重ねてきた。利用者や事業者からは、「軽くて簡単に持ち運びができる」「デザインがかっこいい」「メンテナンスがしやすい」など、評判も上々だ。

 実は「スマートスロープ」を開発するにあたって、同社では一つの大きな目標を掲げていた。それは、日本デザイン振興会が主催する「グッドデザイン賞」を受賞することだ。

 開発から2年。満を持して14年度のグッドデザイン賞に応募。半年に渡る審査を経て、10月1日に見事、同賞を受賞した。

 コメント欄には「メンテナンス性・軽さ・丈夫さ・価格の条件を満たし、利用者のQOLの向上に貢献する姿勢を評価」と、自分たちが掲げたコンセプトやものづくりの姿勢が、全面的に評価されての受賞となった。

 グッドデザイン賞受賞というものづくりに対する高い評価を受けたが、「製品にはまだまだ改善すべき点も多い」と製造部の越場毅部長。開発者たちの挑戦は続いている。

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